有村架純の“光と影”を楽しむ「4作品」

『月の満ち欠け』©2022「月の満ち欠け」製作委員会

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守りたい、と思わせる。でも実際には自分の足で立ち、強く前を向く。そんな役が有村架純には似合う。

2022年は「潜水艦カッペリーニ号の冒険」「拾われた男 LOST MAN FOUND」「石子と羽男-そんなコトで訴えます?-」と3本のドラマに出演。

映画では『前科者』『月の満ち欠け』に出演し、活躍を見せた。さらに2023年は映画『ちひろさん』の公開が控えている。そして、大河ドラマ「どうする家康」では物語の重要なキーとなる瀬名姫を演じる。その活躍ぶりは言わずもがな。

ブレイクのきっかけは朝の連続テレビ小説「あまちゃん」。その後、自身も「ひよっこ」で朝ドラヒロインを務めた。一方でそれ以前にも「気がついたらあそこにも、ここにもそういえばいた!」と気がつく。

主役でなくても必ず光る、そんな有村架純の魅力を過去作から探っていく。

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「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」



月9枠で高良健吾と共に主演を務めた、通称「いつ恋」。脚本は坂元裕二だ。

有村架純演じる音と、高良健吾演じる練は2人とも両親を亡くしていた。決して幸せとは言えない2人が北海道で出会い、東京に向かい、別れと再会を経て2人だけの関係を築いていく。

切ないラブストーリーだけでなく、現代の若者のリアルを描くことで、視聴者の心を掴んだ。

有村が演じる音は明るくて前向きな性格ではあるが、隠しきれない影がある。見ている人の心を揺さぶるような、朗らかながらもこの影を出すのが上手い。笑顔を浮かべながら、涙する姿は一度見たら忘れられない。でもそこにあるのは、どんなことがあっても笑顔を絶やさない姿だ。強くあろうとするキャラクターの心情を巧みに描いている。

ちなみに「いつ恋」には主要キャスト以外にも芳根京子・永野芽郁・桜井ユキ・松本穂香・高橋一生・満島ひかりと、現在は主演級で活躍する俳優がずらりと揃っている。

『るろうに剣心 最終章 The Beginning』

(C)和月伸宏/ 集英社 (C)2020 映画「るろうに剣心 最終章 The Beginning」製作委員会

有村架純が影の纏い方を存分に発揮したのが『るろうに剣心』だろう。

剣心(佐藤健)に婚約者を殺される巴役を演じた。剣心の過去を振り返る上では巴とのエピソードは欠かせないもの。巴も人気キャラクターの1人だ。そのため、当時は誰が演じるのかと気になっていた原作ファンも多いはずだ。

正直、最初は「ちょっとイメージが違うのではないか」と思った。だが公開後、彼女に謝りたくなった。巴であり、有村架純が作った「映画の巴」なのだと、感動した。

(C)和月伸宏/ 集英社 (C)2020 映画「るろうに剣心 最終章 The Beginning」製作委員会

“薄幸の美女”のイメージが強い巴は同時に、芯の強さも併せ持つ。だからこそ、悩み苦しみながら剣心に心惹かれていく。剣心を庇って死に、剣心の心と頬に傷を残した。ある意味、剣心にとって一番苦しい方法で復讐を果たしたのだ。短い時間の中で「どれだけ巴に説得力を持たせられるか」という重要な要素を、演技力でねじ伏せてみせた。

そして、巴を演じる有村架純は今までと違う美しさを見せ、新たな魅力を見せたと言えるだろう。

『3月のライオン』

(C)2017 映画「3月のライオン」製作委員会

新境地を開いたといえば、『3月のライオン』の幸田香子もそうだろう。

神木隆之介演じる桐山零の義姉という役どころだ。激しい気性で、「魔女」と言われてしまうことも。零には強く当たり、妻帯者である後藤に想いを寄せてその関係に苦しむ。いわゆる、悪女というポジションだった。

(C)2017 映画「3月のライオン」製作委員会

有村架純の対極に存在しそうな「悪女」というワード。それでいて、零との関係や嫉妬、後藤への想い、父への不信感とさまざまな感情をその体の中に抱いている。ただ、心底悪い女ならよかった。多くの人が抱えるぐちゃぐちゃの人間らしい感情を静かに、そして迫力を持って演じた。

『かぞくいろ RAILWAYS わたしたちの出発』

(C)2018「かぞくいろ」製作委員会

有村が演じるのは、突然、夫を亡くした女性・晶。

夫の死後、息子と2人で鹿児島を訪れる。会ったこともない義父がいる実家に行き、なかば押しかける形で一緒に暮らしはじめ、これからの生き方を模索する。

そこで彼女が選んだのは、電車の運転士になること。理由は単純だ。息子が電車を好きだから。ただ、なかなかうまく事は進まない。夫が死んだこと、実は息子とは血が繋がっていないこと。息子との接し方に悩む一方で、運転士としての適正にも悩む。

(C)2018「かぞくいろ」製作委員会

ここでも明るく前向きな姿が見られるが、両親に愛されていなかったということ、自分は母親としての資格があるのかなど、悩みは尽きない。自分と血がつながっていない子どもを愛し、育てていくという難しい感情を抱く難しい役どころだが、とても自然体だ。気の強さが垣間見える口調もいい。

(C)2018「かぞくいろ」製作委員会

その姿を見て、応援したくなるということではなく「こういう女性はきっとほかにもいるよね」とごく自然に受け入れることができる。言ってみれば、ドキュメンタリーの主人公である女性を自然に演じているイメージだ。

また有村架純と、作品の空気感がとてもマッチしている。物語のテーマとしては重々しさがあるが、観終えたあとに不思議と元気が出る作品だ。

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もっといろんな有村架純を見たい



出演作を振り返ると、有村架純の役柄は本当にバラエティに富んでいる。「コントが始まる」で演じたトリオ芸人にハマるフリーター役もよかったし、「石子と羽男」での東大卒のパラリーガル役もよかった。

コミカルな役だけでなく、バッドエンドのラブストーリーのヒロインもいい。見るたびに可能性を感じさせてくれる有村架純が、これからも楽しみで仕方がない。

(文:ふくだりょうこ)

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| 2018年 | 日本 | 109分 | (C)2018「かぞくいろ」製作委員会 | 監督:吉田康弘 | 有村架純/國村隼/桜庭ななみ/歸山竜成/木下ほうか/筒井真理子/板尾創路/青木崇高 |

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