続・朝ドライフ

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2022年12月22日

「舞いあがれ!」柏木より貴司のほうが舞に寄り添って見えていいのか<第59回>

「舞いあがれ!」柏木より貴司のほうが舞に寄り添って見えていいのか<第59回>

2022年10月3日より放映スタートしたNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」。

本作は、主人公が東大阪と自然豊かな長崎・五島列島でさまざまな人との絆を育みながら、空を飛ぶ夢に向かっていく挫折と再生のストーリー。ものづくりの町・東大阪で生まれ育ち、 空への憧れをふくらませていくヒロイン・岩倉舞を福原遥が演じる。

本記事では、第59回をライター・木俣冬が紐解いていく。

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「真夜中のパーティや」

祥子(高畑淳子)の家にふらりと現れた貴司(赤楚衛二)は、休みを利用して泊まりに来たのです。
お土産はミカン。ふだんは五島で漁港やミカン農家などで働き、遺跡発掘の仕事もしていると言って舞(福原遥)を驚かせます。貴司は手紙で舞が来ていることを知って来たのでしょう。
テーブルで、祥子と舞はミカンを食べているのに貴司は手をつけないのは、さんざん自分は食べているからなのでしょう。

縁側では今日も黙々と朝陽(又野暁仁)が赤い実を白い布に並べています。舞はそれが星座だと気づきます。朝陽は星が好きでとても詳しいのでした。

貴司がミカンを持ってくると「土星は食べない」と言う朝陽。赤い実(南天)と比べるとミカンは土星の大きさだと知って舞は驚きます。空の好きな舞ですが、そのさらに上の宇宙のことは知りません。世界には知らないことがいっぱいあるのです。肉眼で見えない星のように。

舞と朝陽のぽつりぽつりと話す間に、ちち、ちちと鳥の声が合いの手のように入ります。それがなにかいい雰囲気です。
舞、貴司、朝陽の3人が静かに並ぶと何か共有できているように見えます。じつにゆったりしていて、わいわい早口で何かを語らなくてもいい空気ができあがっています。

基本的に口数が少なく、でも言いたいことはあって、それを文字にしている貴司。
舞は基本的にはのんびりしているようですが、航空学校のおしゃべりな人たちとも合わせることのできるバランサータイプのようです。
朝陽はふだんは黙っていますが、得意なこと好きなことになると饒舌です。

”まわりにあわせなくていい、堂々と行きたらよか” と祥子の言葉が舞や貴司を支えています。

祥子は就職延期に関して悩んでいる舞とお酒を酌み交わします。「真夜中のパーティや」と喜ぶ舞。幼い頃はできなかったことができるようになった祥子と舞。

祥子は、嵐が来たとき、家にじっとしている間はできることをコツコツやりながらじっと晴れるときを待つことを語ります。
いつかは空も晴れる。それまででくっことばやればよかとじゃなかか

向かい風を受けて飛ぶ凧、難を転じる南天、日中は太陽に隠れている無数の星、ものごとには波があって、一見不利に見えることでもいつか必ず報われると信じていたいものですね。
【朝ドラ辞典  旅人(たびびと)】

「舞いあがれ!」の貴司のようにたまに登場する旅人キャラ。「とと姉ちゃん」の主人公のおじさん鉄郎(向井理)や「カムカムエヴリバディ」の兄・算太(濱田岳)など。俳優のスケジュールの事情であろうか。


(文:木俣冬)

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