続・朝ドライフ

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2023年01月23日

「舞いあがれ!」ナポリタンを作ってくれる貴司(赤楚衛二)、デラシネは癒やしの空間<第77回>

「舞いあがれ!」ナポリタンを作ってくれる貴司(赤楚衛二)、デラシネは癒やしの空間<第77回>


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2022年10月3日より放映スタートしたNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」。

本作は、主人公・岩倉舞(福原遥)がものづくりの町・東大阪と自然豊かな長崎・五島列島で人との絆を育みながら、空を飛ぶ夢に向かっていく挫折と再生のストーリー。

ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は第77回を紐解いていく。

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第17週「大きな夢に向かって」(演出:野田雄介)は2013年の夏になり、状況がずいぶん変わりました。舞(福原遥)は営業部のエースになったとナレーション(さだまさし)が報告します。営業部の先輩はどうしたんでしょう、出世して現場から退いたのでしょうか。それはともかく舞は言動がしっかりしてきました。もともと機械が好きだから自信をもって商品知識を披露し提案します。飛行機の絵を描いていたことも手伝ってか、図もうまい。車も運転しています。自立した人という感じです。

舞はめぐみ(永作博美)のことを「社長」と呼んでいます。それが当たり前。つまり、IWAKURAはすっかり通常営業になったということです。安定してきたので従業員を増やそうとして、以前リストラした人たちを呼び戻します。一度断られたネジの検品パートの人たちを舞が熱心に頼んで戻ってきてもらいました。ひとりはすでに戻ってきていました。こういうのはほっこりしますね。

ただ、イケズキャラ・山田(大浦千佳)とはすっかりふつうに話すようになっているのは、そうなると張り合いないと思ってしまうのが視聴者の身勝手。でも、山田、表情が柔らかくなって、あたたかいリアクションしていて、キャラ変しすぎ。やっぱりあの時期はリストラが怖くて、人が変わったようにピリピリしていただけなのでしょうか。合コンはどうしたんでしょうか。

推測ですが、作家は山田の描写にはさほど興味がないのだろうと思います。デフォルトのキャラですからね。心がこもっているのは、貴司(赤楚衛二)です。歌人として順調に活躍しています。貴司の短歌は脚本家の桑原亮子さんが作ったものだそうで、大変すてきではありますが、それを褒めるセリフを自分で書いくとき、どういう気持ちなのかなと気になります。
「ひととちゃうとこ見てる そこがいいねん」と自画自賛になるわけですよね。でも、いい歌なので自画自賛してもOKです。
貴司は舞に料理(ナポリタン)も作ってくれます。仕事で疲れて立ち寄る場所ですてきな男子がナポリタン作ってくれる。最高じゃないですか。

デラシネに、かつての貴司のような少年が来ています。ずっとここにいたそうですが、友達が「たこせん食べにいこ」と言うと気を変えます。この友達は気難しい少年の扱いを理解しています。五島にも、東大阪にも、社会に馴染めない子供の受け入れ場所があります。

そして舞は父の悲願をかなえようと考え始めます。飛行機から遠く離れたように見えて、再び、飛行機に近づいてきました。お父ちゃんの夢かなえたいと言いつつ、自分の夢もまだ捨てきれていないのではないでしょうか。

【朝ドラ辞典 時間経過(じかんけいか)】
主人公の人生、半生を描く長いドラマなので途中、時間が一気に飛ぶときもある。

【朝ドラ辞典 ナポリタン(なぽりたん)】
喫茶店の定番。「あまちゃん」(13年)のナポリタンを「あばずれの食い物だよ」というのは名セリフ。昔のドラマや映画の不良はナポリタンを食べると春子(小泉今日子)が言う。

(文:木俣冬)

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