続・朝ドライフ

SPECIAL

2023年01月31日

「舞いあがれ!」婚約者の母(羽野晶紀)に佳晴(松尾諭)がタックル<第83回>

「舞いあがれ!」婚約者の母(羽野晶紀)に佳晴(松尾諭)がタックル<第83回>


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2022年10月3日より放映スタートしたNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」。

本作は、主人公・岩倉舞(福原遥)がものづくりの町・東大阪と自然豊かな長崎・五島列島で人との絆を育みながら、空を飛ぶ夢に向かっていく挫折と再生のストーリー。

ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は第83回を紐解いていく。

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いやな人、続々

第82回ではお祝いムードだった、舞(福原遥)、貴司(赤楚衛二)、久留美(山下美月)でしたが、早くも雲行きがあやしくなってきました。

舞は航空機部品の試作をライバル会社に遜色ないものを作りますが、大量生産するとなったら対応できるのかと問われます。

製品試験の場になったライバル会社は大きく、大量生産が自社で可能です。
一方、舞たちはネジ自体も、東大阪の町工場ネットワークを駆使して力を合わせてなんとか作ったもので、もし請け負うことになったら、自社だけでなくやはり協力を得ないとならないでしょう。発注者の荒金(鶴見辰吾)は舞たちの理念が実現化の可能性もあると言いますが……。

毎回、あとから、問題に気づくパターンで、これだけ大きな仕事に当たって、実作業についてまず考えないのがIWAKURA。浩太(高橋克典)と舞の似ているところです。石橋を叩き過ぎて渡れないのも考えもので、ときには
考えずに飛ぶことも大事ではありますが、どうも舞たちは考えなさすぎではないかということはさておき。次に、貴司です。

短歌賞をとった貴司のもとに編集者・リュー北条(川島潤哉)がやってきます。アー写を熱心に撮り、

歌集売りたいなら、作者の顔が大事よ?

なんてことを言います。短歌のようなジャンルの文芸編集者にもこんな胡散臭い人がいるんでしょうか。いまやもうどこもこんな感じなんでしょうか。なんだかショックです。このひとが「切実」という言葉を使っていたのを聞いて、「切実」も紋切り型だから使わないようにしなくてはと思いました。

そして、久留美。両家の顔合わせに、八神蓮太郎(中川大輔)の母・圭子(羽野晶紀)がひとりだけやって来て、久留美との結婚はなかったことにしてほしいと言います。問題は、佳晴(松尾諭)が定職についていないからでした。

そもそもこんな店で顔合わせなんて非常識でしょう

佳晴が選んだノーサイドを、圭子は馬鹿にします。第82回で蓮太郎がうめづを「こんなところ」と言ったことと重なり、八神家と望月家の厳然とした違いを感じさせます。ただ、プロポーズがノーサイドだったことを圭子は知っているのでしょうか。

佳晴がノーサイドを選んだ理由が泣かせます。いい店だと緊張してしまうから。唯一の自信であるラグビーの話をここならできるから。

アイデンティティーだったラグビーが不運の怪我でできなくなってしまってからどれだけ経過したでしょうか。久留美が27歳ということは20年近く経っているはずです。いまだにラグビーの話しか自信をもってできない佳晴のことを理解しようとせず、頭ごなしに馬鹿にする圭子に、佳晴はタックルを仕掛けます。20年以上経過してもカラダが覚えているんですね、ラグビーを。

それにしても、八神と久留美も、結婚の前に、父母に根回ししないんだなあと、舞もそうだし、誰もかれもが場当たり的です。朝ドラって登場人物が場当たり的なことが少なくありません。慎重だと物語ってできないものなんですね。

【朝ドラ辞典 場当たり的(ばあたりてき)】

後先のことを考えず、物事を進めてしまう人物は視聴者の格好のツッコミ対象である。

【朝ドラ辞典 (しゅうとめ)】

ヒロインに立ちはだかる強烈な人物。昭和の朝ドラは「いびり」が定番だったが、平成後半から令和にかけてコンプライアンスが厳しくなって「いびり」は天然記念物的存在になってきている。


(文:木俣冬)

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