『タイタニック』満席続出が大納得の理由、そして「今」映画館で観る意義とは
ドルビーシネマでこその「夜」の美しさ
そして、せっかく劇場で観るのであれば、筆者はぜひドルビーシネマ版をおすすめしたい。ドルビーシネマは「色の明暗がよりくっきりとわかる」映像が特徴。特に「黒を基調とした映像がよりバキバキにキマって見える」ので、暗いシーンや夜の場面が多い映画でこそおすすめしたい上映形式だ。
そして『タイタニック』のクライマックスは、まさに夜。船の明かりと、暗い海とのコントラストはより鮮明になり、スペクタクルシーンの迫力がマシマシ。しかも、夜空に輝く星の美しさも相まってか、より冷たく広い海上に取り残された時の恐怖も感じられるようになっていたのだ。
しかも、ドルビーシネマは「音声オブジェクト」と「天井スピーカー」を導入した音響システム「ドルビーアトモス」も導入されており、より立体感のある音の演出を楽しむことができる。今回の『タイタニック』ではその演出はもちろん、船が沈むときの轟音(空気の振動)により座席までがブルブルと震えることにも驚いた。「4D」上映に近い体験もできるというのは、なんというお得感だろうか。
そして、改めて申し上げておくが、このドルビーシネマ版『タイタニック』が観られるのも、2月23日(木・祝)までなのだ。ファンはもちろん、観たことがないという方も、優先的にドルビーシネマ版を選ぶことをおすすめする。
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映画館で観る「体験」を示唆するセリフ
映画の序盤に年老いたローズが、タイタニック号が沈むまでの過程のCG映像を、モニターで見るシーンがある。そこで彼女は、わかりやすい説明がされたことを感謝をしつつ「私が体験したのは、こんなものでは……」と呟き、そして自身の17歳の頃の物語を語り始める。
そこからスクリーンに映されるのは「そこに本当にある」としか思えない、巨大かつ豪華で「夢の船」と呼ばれるほどのタイタニック号の姿。乗り込んだジャックが「世界は俺のものだ!」叫ぶほどのスケールを、まさに「体験」できるのだ。
しかも、それはまだ序盤も序盤。メインは言うまでもなく、終盤のタイタニック号が沈んでいく、スペクタクルシーンだ。船内に水が溢れ、船が傾いていき、人々が垂直になった船の「後ろ」へと落下していく。やはり「そこに本当にいる」としか思えないほどの迫力とリアリティ、恐怖や悲劇が入り混じる複雑な人間模様、それはやはりスクリーンで観てこその体験であり、小さなモニターで映されたCG映像とは全く違うのだと、ローズのセリフを振り返って思うことができる。
また、タイタニックの調査員のブロックが「3年間、俺の頭の中はタイタニックのことでいっぱいだった。でも何もわかっていなかった」と言う一幕もある。これは、どれだけ資料や文献、はたまた海に沈んだタイタニック号を見たとしても、ローズが語る「物語」は知り得なかったということだ。加えて、この映画を観た観客は、その物語を「映画」で体験できる。
その体験は大きなスクリーンで、しかも「そこに来た観客と共に観る」一体感があってこそ、よりかけがえのないものになるだろう。
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