『タイタニック』満席続出が大納得の理由、そして「今」映画館で観る意義とは
現代の若者にこそ届いてほしいメッセージ
改めて『タイタニック』を観て思ったことは、本作で描かれた価値観は、25年の時を経ても全く古びていないということだった。それは生まれ持った環境だけでは何も決まらない、その人の自由意志こそが生き方を決めるということだ。
それはジャックがポーカーで勝ってタイタニック号に乗り込めた経験を、「人生は贈り物」「次にどんなカードが配られても、今を大切にしたい」と表現したことでも示されている。「親ガチャ」という言葉が流行っているような、生まれ育った環境を自虐的に表す若い世代こそ、この価値観は「ささる」のではないか。
「生きた証」を観ることができる
皮肉にも、ジャックはそのポーカーで勝ったからこそ死んでしまったのだが、彼の言葉と行動は間違いなくローズの人生を救った。そのジャックの生涯、またローズとの交流が短かったとしても、ローズにとってずっと大切な思い出、いや彼が「生きた証」になる。その「生きた証」は実際にタイタニック号で悲劇に見舞われた、亡くなった方々にもある。例えば、生存者を捜すため救命艇に戻るように告げた“不沈のモリー・ブラウン”は実在する人物であるし、“最後まで演奏を続けた音楽隊”も実話に基づいている。
現代でも、大規模な事故や災害で亡くなる方は多い。その悲劇に見舞われる、または生前の姿を映画で観られることも「生きた証」そのものであり、その「鎮魂歌」にもなると思うのだ。だからこそ、『タイタニック』はやはり「今」観られるべき、普遍性と時代を超えた意義を持ち続ける名作なのだろう。
(文:ヒナタカ)
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