「舞いあがれ!」ほんとうに起業して大丈夫?<第105回>
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2022年10月3日より放映スタートしたNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」。
本作は、主人公・岩倉舞(福原遥)がものづくりの町・東大阪と自然豊かな長崎・五島列島で人との絆を育みながら、空を飛ぶ夢に向かっていく挫折と再生のストーリー。
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は第105回を紐解いていく。
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大樹と陽菜の仲直り
舞「御園さんが提案してくれはってん」貴司「御園さんが?」
舞「私が起業するんやったら御園さんも一緒にやりたいって」
めぐみ「(しばし考えて)どんな仕事するの?」
この会話を見てると、御園(山口紗弥加)に舞(福原遥)が食い物にされそうで、家族が心配しているようにしか思えません。作り手側にはそういう話にする意図はまったくないと思うのですが、なんでそう思えてしまうのか。
めぐみ(永作博美)は社長としては舞にIWAKURAを続けてほしいと言い、母親としては好きなことをしてほしいと言います。「社長」「母親」のほかに、”めぐみ”としてはどう思っているのか。一番大事な”めぐみ”の気持ちを言葉にしてほしい。
口当たりのいい言葉とは別の、めぐみの気持ちが気になる第105回では、言葉とは何か問いかけます。
中学生になって交友関係が変わりデラシネに来なくなった陽菜(徳網まゆ)が、久しぶりにデラシネに現れます。
辞書を開いて「言葉ってこんなにいっぱい要らんくない?」と貴司に問いかけます。
中学では「やばい」「かわいい」「きもい」という言葉だけ言っていれば済むと言う陽菜に貴司はこう語りかけます。
言葉がいっぱいあんのはな 自分の気持ちにぴったり来る言葉を見つけるためやで
(貴司)
さすが、気持ちにフィットする言葉を短歌にしている貴司です。陽菜が中学で大樹(中須翔真)を排除する側に回ってしまっていることに罪悪感を覚えていることを貴司は見抜き、彼女のほんとうの気持ちに気づかせようとします。
自分の気持ちを掘り続けている貴司は、他者の気持ちの奥にあるものにも気付けるようです。だからこそ短歌教室をして、自分の気持ちが明確に自覚できない子供たちに手を差し伸べようとしているのでしょう。感情はただのエネルギーで、そこに名前をつけることで、その感情の出しどころがみつかるのです。
貴司の旅短歌の企画は着々と進んでいます。
公式Twitterに企画書の全貌が紹介されていました。
こちらは北條さんがデラシネに置いていった企画書です。北條さん気合い入ってますね。もう第3回までの案が考えてあります👀
— 朝ドラ「舞いあがれ!」 (@asadora_bk_nhk) March 1, 2023
タイトルは「にっぽん一周、短歌おしえます」。
貴司くん、そのうち我が街にも来てくれないかなぁ…#朝ドラ #舞いあがれ #舞いあがれ美術図鑑 #らんまん pic.twitter.com/GOy7H7kyy5
これを見ると、旅の最初は五島で、2回目は、牧野富太郎ゆかりの高知です。次作の「らんまん」にかけた遊び心ですが、本編ではそこは見えませんでした。
さて、めぐみは、舞のことを心配して、悠人(横山裕)に相談します。当人の状況も心配されると「俺やで」と答えます。この「俺やで」というセリフは悠人の屈折した性格をよく表していますね。彼はいろいろあって変わったこともあるだろうけれど変わってないところもあってホッとします。
【朝ドラ辞典 起業(きぎょう)】ヒロインが起業することも朝ドラにはよくある。「あさが来た」は女性実業家の話で、「半分、青い。」も後半は会社を作って扇風機を作っていた。
(文:木俣冬)
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