【ABEMA配信】“人生ドラマ”だけじゃない。もっと気軽に楽しめる韓国ドラマの魅力
編集部からそう投げかけられたのは、年が明けてしばらくしてからのことだった。
筆者はまったく知らなかった。
ABEMAといえば、2022年のサッカーワールドカップの全試合配信や、ネットならではの切り口と視点で伝えるニュースなどが有名というイメージが強く、今まで一度も“ドラマを観るプラットフォーム”として候補に上がったことがなかったのだ。
「なんでもっと早く教えてくれなかったんだろう」
結論からいうと、ABEMAの韓国ドラマのラインナップは素晴らしい。2010年代の名作から近年の話題作まで揃っている。
ざっくり紹介すると、「トンイ」「奇皇后」などの歴史超大作から「トッケビ」「星から来たあなた」などの超名作ロマコメ、「怪物」や「秘密の森」シリーズなどの傑作サスペンスまでジャンルも豊富だ。
特筆したいのは、ABEMAオリジナル作品が多く配信されている点だ。しかもこのオリジナル作品、ほとんどが1話20分から40分程のエピソードからなり、10話前後で完結する。
「韓国ドラマ=長くて疲れる」というマイナスイメージを抱いている人にとっては気軽に作品に触れられるチャンスだし、しっかりと作り込まれた長編作品が好きな人にとっても、たまに読む漫画の読み切りのように気分転換できる。
そこで今回はABEMAでしか観られない作品の中から、韓国ドラマらしさたっぷりな3つをご紹介したい。
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1.ブルーバースデー
作品紹介
私の誕生日に、好きな子が自殺した。忘れられない初恋を思い続ける主人公のピュアで切ないラブストーリー!
『A-TEEN』や『恋愛プレイリスト』、『TWENTY×TWENTY~ハタチの恋~』といった若者を中心に絶大な人気を集めるWEBドラマを数多く手掛ける韓国の制作会社「プレイリスト」に、『愛の不時着』プロデューサーが加わった新感覚ファンタジーロマンススリラー。
主人公オ・ハリン(Red Velvet イェリ)が10年前の自分の誕生日に自殺してしまった初恋の彼が残した謎の写真を通じて、過去と現在を行き来しながら秘密に包まれた過去を明らかにしていく。果たしてハリンは自殺したチ・ソジュン(PENTAGIN ホンソク)の秘密を明らかにし、過去を変えることができるのか?(ABEMA公式サイトより)
ABEMAの韓流ドラマランキングで常に上位にあり、かつABEMAでしか観られない作品ということでまず紹介したいのが「ブルーバースデー」だ。
いちばんの推しポイントは素晴らしいOST(=Original Sound Track)の数々。良いドラマは脚本やキャストの素晴らしさだけでなく、効果的な音楽がとても重要だ。
「ブルーバースデー」のティーザー動画を観てほしい。
青春ドラマの清涼感たっぷりな雰囲気から現実の喧噪、そして無音からの印象的な効果音で主人公の切実な願い事を残酷な過去とリンクさせ、崩れ落ちるケーキと流れる音楽が打ちのめされる彼女をより鮮明に映し出す。満を持してワンフレーズだけ流れてくる主題歌は、これまでにも数々の韓国ドラマでお馴染みとなったHeizeが歌う「On Rainy Day」。はい、完璧。
この動画から惜しみなく伝わってくる通り、ドラマ本編もOSTが効果的に使われている印象を受ける。
本作は1話20分と短い時間でエピソードがつくられているが、内容は決して軽くない。“過去を変えれば未来も変わる”というタイムリープの理のなかであがく姿も、しっかりと伏線の張られたミステリー構成も、それだけでもじゅうぶんおもしろいストーリーが、OSTによってさらに魅力が高められているのだ。
ちなみに、「お前もタイムリーパーだったのか……」というタイムリープ作品あるあるも、本作の見どころのひとつ。これによって広がる可能性と深まる謎から目が離せなくなることは間違いない。
そしてドラマを観ながら考えてしまった。もしハリンのように過去へ戻れなくても、後悔しないように行動することは今この瞬間にもできるはずなのに、どうしようもなく「明日がある」と信じているのが私たちなんだろうな、と。
>>「ブルーバースデー」(全16話)の視聴はこちらから
2.シェアオフィスで何してる?
作品紹介
【日本初・ABEMA独占】会社を辞めフリーランサーとなった29歳のダイン(ハ・ユンギョン)。仕事はなかなか見つからず、恋愛もうまくいかない。やっとのことで見つかった短期の仕事場は多くの会社やフリーランサーたちが集まるシェアオフィスだった。
そこで元カレのジンソク(チョン・ジェグァン)と、ワンナイトラブの相手ヒョヌ(イ・ハクジュ)と出くわしたダインは偶然にも彼らと一緒に仕事をすることになる。崖っぷち女子のハラハラドキドキラブロマンス。
(ABEMA公式サイトより)
本作は、韓国でドラマやバラエティを配信しているチャンネル・tvNのドラマ プロジェクト「O'PENing」の1作品です。「O'PENing」は CJ ENMの新人作家発掘、育成プロジェクトである「O'PENing」ストーリーテラー公募展で当選した作品を紹介するドラマプロジェクトで、「シェアオフィスで何してる?」はプロジェクトのテーマ「新しい物語が繰り広げられる」にふさわしいストーリーが繰り広げられます。
これぞまさに短編読み切りの大正解といったドラマ。1話40分×全4話という非常にコンパクトな作品だ。しかも主演は演技に定評のある実力派。筆者がABEMAで真っ先に観たのが本作である。
ダインを演じているのはハ・ユンギョン。「賢い医師生活」シリーズや「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」での誠実なイメージをそのままに、素敵な女性ダインを魅せてくれるから安心感が半端ない。
一方ヒョヌ役のイ・ハクジュは「夫婦の世界」や「マイネーム」で見せた悪い男なイメージとは一転、戸惑いながらもだんだんと心を開いていく姿が怖がりなハスキー犬みたいで、近寄りがたい目つきとのギャップが最高である。
ストーリーはというと、いや、ほんとにシェアオフィスで何してんだよ……とツッコみどころは満載なのだけど、そこをまったく安っぽくさせない俳優陣がドラマを完成させているので最後まで抜かりなく楽しめる一作だ。
>>「シェアオフィスで何してる?」(全4話)の視聴はこちらから
3.バッドガールフレンド
作品紹介
「好きな人とは必ず付き合わなければならない」という欲望に忠実な広告プランナーのジス(ピョン・ソユン)。やり手の上司テオ(パク・ヨンウン)とは会社で、快活な年下男子のジホ(OMEGA X ヒョク)とは外で、ギリギリな状態ではあるが完璧に二股をかけていると自負している。
しかし、ジホがジスの会社に勤めることになり、完璧に近かったジスの日常が崩れ始める…果たしてジスはこの全ての状況を収拾し、二股恋愛を続けることができるのか?
(ABEMA公式サイトより)
ここまで単純明快に“二股する女”の欲望を描いた作品が他にあるだろうか。このドラマには裏でコソコソしている者は一人もいないし、「好き」も「嫉妬」も「つらい」も、「関係性」ですらも清々しいほどに表立って描かれている。
まずは主人公ジスの二股マインドを聞いてほしい。
「二股ってどんなに良いかわかる? 魅力も2倍、幸せも2倍よ。うまくやるから大丈夫! バレたら別れればいいだけだから^^」
あっぱれである。
しかしジスのすごいところは別にある。好き勝手に男を弄び簡単に捨てていくなんて一体どんな悪女かと思えば、当人はめちゃくちゃ可愛くてぜんぜん憎めないところだ。一言でいえば素直。その素直さが欲望に忠実な悪女を生んでいるのだが、「素直でいること」はこんなに人を可愛くさせるのだなと感心してしまう。
「ありがとう」「ごめんなさい」「好き」が言える。「こうしたい」と主張できる。「つらい」と伝えることができる。仕事にも好きな人に対しても一生懸命に行動する。これらがジスの素晴らしいところ。恋愛がうまくいくための振る舞いや考え方など、ジスから学べることは多い。
また、韓国ドラマらしいベタな決めポーズシーンも見どころだ。
ジスの相手役であるテオとジホに加え、男友達のヒョヌも登場。仕事中は厳しくプライベートでは甘やかすテオのスーツ姿。人懐っこい笑顔がかわいいジホのカフェ店員姿。高校時代の制服姿と現在の警察官とのギャップで魅せるヒョヌ。
イメージカットですか?と聞きたくなるほど、キャラクターそれぞれの撮り方、魅せ方がずるい。
ストーリーは単純明快なので、最後まで眼福にあずかりながらジスの二股を生暖かく見守ればそれでいい。何も考えずに楽しめるドラマなのだ。こういうドラマも絶対に必要だ。
>>「バッドガールフレンド」(全12話)の視聴はこちらから
“人生ドラマ”だけじゃない。気軽に観られる韓国ドラマの存在
韓国ドラマというと、話題に上がる超傑作のイメージが強いせいか、「骨太で緻密につくられた脚本」だったり「先の読めない展開」や「繊細な人間ドラマ」を期待して視聴してしまいがちだが、もっと軽い気持ちで観ていいと個人的には思う。そして、韓国ドラマに対して「長くて重たい」イメージを持っているなら、ぜひ気軽に観られる作品から触れてみてほしい。
(文:加部)
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