「インフォーマ」最終話:木原(桐谷健太)も誰かの「兄ちゃん」になりたかっただけなのかもしれない
桐谷健太主演のドラマ「インフォーマ」が2023年1月19日深夜にスタートした。
沖田臥竜の同名小説を映像化した本作は、情報屋のカリスマが週刊誌記者とともに連続殺人事件の謎を追うクライムサスペンス。情報屋・木原慶次郎を演じるのは初の連続ドラマ単独主演となる桐谷健太。共演は佐野玲於、森田剛ら。
本記事では、最終話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。
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「インフォーマ」最終話レビュー
黒幕とも言える石上(石橋蓮司)が冴木(森田剛)に銃殺される。石上の行動には正義も信念もなかった。ただの娯楽のため。
自分がかわいがっていた冴木と木原(桐谷健太)を闘わせるという趣味の悪い娯楽。
三島(佐野玲於)は木原を目的地に連れていく道中で真相を聞く。
冴木とは同じ施設で育ったこと。
石上は木原にとって重要な情報源だったこと。
信頼しつつも、石上に対する疑いはあったこと。
冴木が自分を信じる心。木原の愛之介(横浜流星)のための復讐。
それらを利用した石上の行動は最悪である。
そして木原は冴木と決着をつけるため、かつての自分たちの児童養護施設へ。廃墟となった建物の中。
そこで2人は再会する。
「兄ちゃん」と呼びかける木原。
ここに来て、ようやく冴木に表情が感じられる。空虚だった冴木の瞳に動きが出た、気がする。
自身の手で父代わりであった石上を殺した冴木に、木原は「本当の両親を探しに来たんか?」「情報が欲しければ、力ずくで奪ってみろ」と煽る。
そして冴木も木原のことを思い出してきた、と言う。
「ここにいるときもよく泣いてたね」
どっちも煽るなあ……。
(余談だが「泣いてたね」って……「泣いてたな」じゃなくて「泣いてたね」って冴木みたいなキャラクターが言うの、個人的に刺さる)
ドロドロになりながら、殴り合う木原と冴木。
そこで木原は冴木に気持ちを吐露する。
施設を去る冴木に行かないでほしかった、と。
幼いときの冴木は木原に言い聞かせる。
「強くなれ。大丈夫だ」と。その言葉が木原の中にはずっとあったのかもしれない。
そして、「兄ちゃんを見つけるために情報屋になったんじゃ!」と叫ぶ木原。
そうだったの!? と驚いてしまったが、そうだったらしい。
泣きながら、冴木を殴る木原。別に、殴りたくて冴木を探していたわけではないのに。辛い。
そんな木原に冴木は銃口を向ける。が、その銃を木原に握らせ、銃口を自分に向ける。
「殺れよ」「殺れ」
「ごめんな、兄ちゃん」
響く、銃声。
1週間後。
それぞれの日常が戻りつつあった。
三島が書いた記事が世の中に出た。
警察に圧力をかけていた勢力にも捜査の手が伸びる。
デスクの箱崎(山中崇)も復帰した。無事でよかった。
そして、行方知れずだった木原と三島の再会。それも三島がナナ(北香那)といい雰囲気のときに。
もちろん、木原は手ぶらではない。何やら重要な情報を持って。もちろん知ってしまうと命が狙われるようなヤツだ。
早速やってきた追手から逃げる三島と木原だが、心なしか楽しそうである。生きろ、2号くん……!
ラストシーンは、のどかな町のベンチで煙草を吸う冴木の横顔。生きてた!!
木原は冴木を殺さなかった。木原が引き金を引いたあと、どのようなやりとりが2人の間であったのか。
ただ、木原のベースには子どものころの冴木がいる。きっと、木原は冴木のように「誰か」の「兄ちゃん」になりたかったのだろう。
それにしても、一連の事件に関しては、探すまでもなく正義がなかった。
正義などくそくらえ、ぐらいの勢いで行動を起こす人間もいるのだということは、心に刻んでおきたい。
そしてそういう人間は、恐ろしい。
(文:ふくだりょうこ)
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