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2023年03月27日

「罠の戦争」最終回:闇落ちした鷲津(草彅剛)の行く末は?そこはかとなく漂う劇場版の香り

「罠の戦争」最終回:闇落ちした鷲津(草彅剛)の行く末は?そこはかとなく漂う劇場版の香り


草彅剛主演の“月10”ドラマ「罠の戦争」が2023年1月16日放送スタート。本作は、草彅剛演じる議員秘書の鷲津亨が、愛する息子を傷つけられた復讐に燃えるリベンジエンターテイメント。共演は井川遥、杉野遥亮ら。

本記事では、最終回をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。

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「罠の戦争」最終回レビュー

鷲津(草彅剛)の闇落ちが止まらない。怪文書の犯人が蛯沢(杉野遥亮)とわかるや否や彼を解雇、ついていけなくなった蛍原(小野花梨)にも「退職届、書いといて」と言い渡し、ついには可南子(井川遥)との関係も破綻してしまう。

熊谷記者(宮澤エマ)にはとっくに愛想を尽かされ、どんなときも話を聞き、力になってくれた鷹野(小澤征悦)とも決裂してしまった。竜崎総理(高橋克典)側についた時点で、鷲津は破滅への道を歩み始めてしまったのかもしれない。

権力の味を覚え、どんどん悪の方向へと舵を切る鷲津。彼の目を覚まさせてくれたのは、可南子から離婚届を突き出された瞬間、そして、自分の教えを守りイジメられっ子を助けた息子・泰生(白鳥晴都)の存在だろう。

鷲津は本来、泰生の事故をきっかけに「弱い者のために権力に立ち向かう力をつけたい」と思ったからこそ、議員を志したのだ。それがいつしか、鶴巻幹事長(岸部一徳)が言ったように「人を救うことに気持ちよさを覚える」ようになってしまった。

家族のために立ち上がったはずの鷲津が、いつの間にか、自分自身が家族を傷つける立場になっている。引き返すには、もう遅いかもしれない。味方が誰一人残っていない状態だ。

ここで思い出されるのは、鷲津が蛯沢から聞いた、滅多に咲かない真竹の花の話。

彼が花が咲いたあとの竹の行く末を調べたのは、いつ、どのタイミングだったのだろうか。

竹の花が枯れたあとは、古い竹藪はなくなり、まっさらな土地に日光がさす。そして、また新たな竹が生え始める。古いものは淘汰され、新しいものが芽吹く。

自分がすべきこと、本来やろうとしていたことを思い出した鷲津は、すべてを公にするために記者会見の生中継を決行。

「中継が切れる前に本当のことを伝えておきたい!」

「私は罪を犯しました!」

当然、総理側の妨害に遭ってしまうが、場所を議員室に移しネット配信に切り替え、これまで掴んできたさまざまな不正を暴露した。鷲津を演じる草彅剛の真骨頂、進化し続ける表現力が垣間見えたシーンである。

「不正を隠蔽しなければ守れない? そんな政治、壊れちまえばいいんだよ!」

壊れたっていい。必死に守ろうとして、足掻かなくたっていい。だって、壊れてもまた再生できるから。すべてを無に帰して、ゼロからやり直したほうが、上手くいくこともあるから。

可南子、泰生、鷹野、蛯沢、蛍原、熊谷……これまで支えてきてくれた仲間を裏切り、信頼を失った鷲津だからこそ、自らゼロになることを選べたのかもしれない。

すべてを告白した鷲津は、蛯沢にこれまでのことを詫び、警察へ出頭。女性支援のために政界に打って出た可南子は見事当選を果たし、なんと、その秘書として鷲津がおさまった

なんとも綺麗な幕引きで、大団円という言葉がピッタリ当てはまる。犬飼元大臣(本田博太郎)が1シーンだけ登場し、あの独特な「鷲津っ!」を聞かせてくれたのも、嬉しい展開だった。

しかし最後の最後で、ちゃっかり総理になった蛭谷(小野了)と鶴巻(岸部一徳)の姿が……。エンドクレジットで「また、どこかで」と出ていたあたり、もしや劇場版が期待できるのでは? と嬉しい勘ぐりをしてしまう。

「銭の戦争」「嘘の戦争」に続く戦争シリーズ「罠の戦争」が完結。またどこかで、彼らに会えるのを楽しみに待ちたい。

(文:北村有)

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