「どうする家康」第18話:家康に響く「殿は、きっと大丈夫」
2023年1月8日放送スタートしたNHK大河ドラマ「どうする家康」。
古沢良太が脚本を手がける本作は、弱小国の主として生まれた徳川家康が乱世を生きる姿を描いた波乱万丈エンターテイメント。大河ドラマ初主演となる松本潤が従来のイメージとは異なる「ナイーブで頼りないプリンス」の家康に扮する。
本記事では、第18話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。
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「どうする家康」第18話レビュー
家康が死んだ? いやいや、家康はここでは死なない。ならば、どのようにして生き残ったのか。
時はしばし戻る。
武田軍の待ち伏せに遭い、散り散りになった徳川軍。不意を突かれただけでもピンチなのに、相手はあの武田軍。
家康を始め、それぞれが絶体絶命の危機に陥っていた。
家康(松本潤)は、本多忠勝(山田裕貴)、榊原康政(杉野遥亮)らと共に武田軍の追撃から逃げていた。どう見ても、家康が討ち取られるのは時間の問題。
そこに現れたのは夏目広次(甲本雅裕)。
助太刀かと思いきや、家康に具足を脱がすように命じる。そして自身も具足を脱ぎ始めた。その場にいた全ての者が、夏目が何をしようとしているのか察した。家康もだ。激しく抵抗する。
「やめろ、夏目吉信!」と叫ぶ。夏目の名は広次だ。
家康はなかなか夏目の名前が覚えられずにいたが、それには理由があった。
実は家康が小さいころによく遊んでくれていた家臣、それが夏目だった。しかし、夏目はとんでもない失態を犯す。若き家康を織田に奪われたのだ。切腹を望んだが許されず、「吉信」から「広次」に名を変えて仕え続けていた。家康の中には当時の名前が残っており、今の名前がしっくりこなかったのだろう。
夏目は家康のために命をかけられる場所を探していたのかもしれない。激しく抵抗する家康に向って、夏目は昔のように語り掛ける。
「殿は、きっと大丈夫」
武田軍が取った首は家康ではなく、夏目だった。
家康が浜松城に戻ったとて、武田が優勢であることは変わらない。苦肉の策として石川数正(松重豊)と酒井忠次(大森南朋)が「空城の計」を実行する。これが若き武将・勝頼(真栄田郷敦)には不気味に感じられたようで、兵を引き返す。
兵法だと知った勝頼はただちに浜松城を落とすというが、それを止めたのは武田信玄(阿部寛)だった。
時が惜しい。倒すべきは信長。武田軍は西へと向かう。
戦国時代、いつ死ぬか、どのように死ぬか分からない。
が、自ら選ぶこともできる。
夏目、そして本多忠勝の叔父・本多忠真(波岡一喜)は自分の死に方と死に場所を選んだ。忠真は酒を飲みながら、ここからは一歩も通さぬと戦い抜いた。
忠勝は、忠真と共に戦おうとしたし、夏目が果たそうとした役割を自分が引き受けようとした。
しかし、忠真も夏目も忠勝が死ぬのはここではない、と言った。
家康と共にこの先、未来を生きろ、と。家康は「自分は生かされた」と言った。忠勝も同じなのかもしれない。若者たちはこの先を作る。そのために大人たちは何を教えたのか。若者は何を学んだのか。その答えはまだ先にある。
(文:ふくだりょうこ)
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