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2023年05月19日

「ペンディングトレイン」5話:切なすぎる夢を見る萱島(山田裕貴)がやるせない……幸せなのは“過去”か、それとも“今”か

「ペンディングトレイン」5話:切なすぎる夢を見る萱島(山田裕貴)がやるせない……幸せなのは“過去”か、それとも“今”か


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山田裕貴主演の“金10”ドラマ「ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と」が2023年4月21日放送スタート。本作は、山田裕貴演じる美容師・萱島直哉をはじめ、上白石萌歌演じる体育教師・畑野紗枝や、赤楚衛二演じる消防士・白浜優斗らが、乗車した電車内に閉じ込められ、近未来に飛ばされてしまうSFサバイバルストーリー。

本記事では、5話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。

「ペンディングトレイン ー8時23分、明日 君と」5話レビュー

突如あらわれた“謎の6号車”と手を組むため、本格的に暮らしの環境を整えはじめる萱島(山田裕貴)たち。6号車のリーダーと思しき男・山本俊介(萩原聖人)は礼儀正しく、信頼できそうな雰囲気だ。

しかし、6号車のチームには、加藤(井之脇海)を刺して逃げた加古川辰巳(西垣匠)がいる。当初は、彼こそが“逃亡中の殺傷犯”と思われた。しかし、5話の終盤にて畑野(上白石萌歌)と玲奈(古川琴音)が、地中に埋められた“金髪頭”の死体を発見。田中(杉本哲太)の手にする新聞に掲載されている“殺傷犯”は、すでに亡くなっている可能性がある。


6号車の面々と手を組めば、できることも一気に広がると同時に、多くの情報も集められそうだ。しかし、リスクもある。実際、畑野と玲奈は6号車の男たちに襲われた。唯一、信頼できそうな山本が黒幕である展開も、容易に想像できる。少なくとも彼は、元の世界=過去に戻れる条件を知っている素振りを見せている。

過去に戻る方法を探るか、それとも、今=未来の世界で生きることを選ぶか。果たして、彼らにとってどちらが幸せなのだろうか。

過去に戻っても良いことなんかない、と頑なな態度をとっているのは、玲奈だ。生まれた環境、恋人や友人関係、仕事でのいざこざなど、過去に置いてきて清々したものはたくさんある。彼女の生き様は筋が通っていて美しくも見えるが、どこか痛々しくもある。

切なすぎる夢を垣間見た萱島も、やるせない。無事に過去に戻れた世界線で、萱島が勤める美容院へやってきた畑野。白浜(赤楚衛二)とともに3人でお好み焼きへ行こう、と屈託のない様子で誘う彼女は、リアルすぎた。目覚めた直後、途方に暮れる萱島の表情は、なんとも切ない。

「今までいろんなことあったけど、何が一番つらかったかって、期待して裏切られたときだよ」

毎度のことながら、萱島の言葉はストレートすぎるがゆえに、真に迫る。過去なんて必要ない、今を生きるほうがよっぽどいい、と無理やり前を向く玲奈とは、また違う。萱島は、本当に過去に戻れるなら戻りたいと、きっと誰よりも願っている。けれど、期待して裏切られたときの“痛み”や”絶望”を知っているからこそ、心を守るために防御しているように見える


6号車のリーダー・山本は、奇跡的に繋がった無線から、決定的な情報を得たという。2026年、つまり彼らが生きていた(視聴者である我々が生きている)2023年から3年後、地球に隕石が落下した。30年後の未来であるはずなのに、建物ひとつない原始時代のような景色が広がっている理由は、人類が絶滅してしまったから……だという。

そんな荒唐無稽な! ありえない! と感じるだろう。そんなことは起こりっこない。頭では理解できる。それでも、誰も想像できないような“パンデミック”が現実に起こり得ることを、私たちはここ数年で嫌というほど思い知った。やけにリアルさを感じてしまうのは、無理もないのではないか。

過去に戻ったほうが幸せなのか、それとも……。この問題に、簡単に答えは出せそうにない。

(文:北村有)

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