続・朝ドライフ

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2023年05月31日

「らんまん」寿恵子の読んでいた「豆腐百珍」とは<第43回>

「らんまん」寿恵子の読んでいた「豆腐百珍」とは<第43回>

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2023年4月3日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「らんまん」。

「日本の植物学の父」と呼ばれる高知県出身の植物学者・牧野富太郎の人生をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。激動の時代の中、植物を愛して夢に突き進む主人公・槙野万太郎を神木隆之介、その妻・寿恵子を浜辺美波が演じる。

ライター・木俣冬が送る「続・朝ドライフ」。今回は、第43回を紐解いていく。

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万太郎のお出かけ2本

万太郎(神木隆之介)のお出かけ、その1は、倉木(大東駿介)に案内してもらっての、植物採集。

でもなかなか帰って来ないので、竹雄(志尊淳)がやきもきします。
前夜、「楽しみで寝つけんで」そのまま出かけたので、倒れたのではないかと先走り、医者を呼ぼうとすると、りん(安藤玉恵)えい(成海璃子)は、万太郎はそんなにカラダが弱くない(「とっても丈夫なおひとだよ」)というのです。その言い方が傑作。

「毎日、夜明けから東京中を歩いてそのまま大学にいって研究なさって、帰りもウロウロして〜〜(以下略)」

「いつ寝てるのかもわからないのにニコニコしてて」

「うちのひととね、槙野さんはなんて丈夫な人だろうって話していたんですよ」

「ウロウロして」とか「いつ寝てるのかもわからないのにニコニコ」とか、好意的というよりは懐疑的というか訝しんでいるような節すら感じる言い方です。

病弱だった少年はもういません。竹雄はちょっぴり寂しそうに見えます。

りんに「世話好きだねえ」と言われてしまう竹雄。「世話好き」という言葉がぴったり。世話をするのが好きなのに世話ができなくなってしまう日が近づいてきているのでしょうか。

万太郎のお出かけ、その2

田邊教授(要潤)に誘われて、高藤(伊礼彼方)の屋敷で開催される室内演奏会に同行した万太郎。立派なお屋敷の華やかな雰囲気を楽しみます。きれいな花を「貴婦人さまじゃのう」と呼んで愛でるのが万太郎らしい。とそこへ現れたのは、花のような、あの人でした。

好きなことに邁進する万太郎と、「男にすがって生きてほしくない」と母・まつ(牧瀬里穂)に心配されてる寿恵子(浜辺美波)が高藤の屋敷で出会います。ここは、一見、華やかで、先進的な場所のようですが、実のところ、旧来の男たちの欲望のるつぼのような場でもあるのではないでしょうか。

お金や身分、新しいものを理解しているという見栄を張り、美しい女性も男性の所有物のひとつのような場所。それをまつは心配しているのです。

でも、寿恵子はそんな旧来の悪習はさておき、新しい文化の面白さだけに目を向けています。文化は悪くないのです。

妾だったまつが「男にすがって生きてほしくない」と考えているエピソードと、クサ長屋のゆう(山谷花純)がワケありで、地方から東京に出てきて働いている(朝方まで客につきあわないといけない、詳しいことはぼかしたい仕事)ことも描きます。彼女が隠していた故郷の話が出るきっかけが、「ヒルムシロ」という地域独特の植物の呼び名であることが「らんまん」らしいです。

さて、冒頭、まつのつくった味噌田楽が美味しそうでした。寿恵子が読んでいた「豆腐百珍」は江戸時代の大ヒットレシピ本。天明2(1782)年に、豆腐を使った料理100品の作り方を6つ(尋常品、通品、佳品、奇品、妙品、絶品)に分けて解説した本が出て、人気を博したそうです。これが受けたので続編も出たり、豆腐以外の百珍シリーズも出たとか。
豆腐料理を百個も考案した人も、万太郎的な人に違いありません。


(文:木俣冬)

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