『最後まで行く』の爆笑ポイント“ベスト5”!この岡田准一ファンへのサービスが嬉しい!
1位:電話での「ば〜か!」からのリアルでボコられるのコンボ
映画を観る前から期待していたのは、予告編でも観られる、岡田准一が電話の相手へ「ば〜か!」と小学3年生のような罵倒をするシーンだった。実際に本編でお出ししていただいたのは、その期待をさらに上回っていた。「死体を埋めた場所を知っているんだな!(実際の死体はお母さんといっしょ)」というカマをかけてからの、「お前はなぁ、本当は何にも見ちゃいねぇんだな!」「ば〜か!」なので、そりゃもう大笑いするってもんである。
しかし、真の爆笑の理由はその後にあった。その「ば〜か!」を言ったばかりの岡田准一は、即座に車から引き摺り下ろされ、その電話の主の綾野剛にボコられるのである。電話越しだからこそ「ば〜か!」と言い切って、気持ちよく「ふぅ〜」と安心していたところへ、スピーディな引き摺り下ろしボコられコンボには吹き出さずにはいられなかったのである。
しかも、その後に明らかになるのは、矢崎が磯村勇斗演じる若いチンピラからメールでもバカにされてたという事実だった。その怒りの沸点が、リアルなボコボコっぷりで大爆発していたとわかるのもなんとも可笑しい。あと、結婚相手に手紙を読んでもらう最中でバカにするメールを目の当たりにするも、それでも手紙の内容に対して「感動した!」と笑顔で言う綾野剛の笑顔はなんだか守りたくなった(かわいそう)。
サービス満点のクライマックス!
笑いを通り越して感動したのは、オリジナル版にはない、というよりもその「先」を描いたようなような、二段構え、いや三段構えのクライマックスである。劇中では「砂漠の上で脚をバタバタさせる一匹のトカゲ」の話が繰り返し出てきているが、ここで本当にトカゲのように這いつくばりながらの攻防が展開するのである。さらに、オリジナル版とは違うのはラストシーンそのもの。ある意味では「終わらない」ラストに賛否両論はあるかもしれないが、絵面としても最高にカッコいいし、タイトルさながら、その後に「最後まで行く」ことを「想像」させる、見事な幕切れだったと思う。
オリジナル版との違いは?
『最後まで行く』のオリジナルは2014年公開の同名の韓国映画。そのフランス版リメイク『レストレス』もNetflixで配信中だ。さらに、中国とフィリピンでもリメイクされるという人気ぶりで、それぞれを見比べてみてみるのも面白いだろう。
今回の日本リメイク版では、種々のシーンでブラックコメディ要素がマシマシになった他、エリート検察官のエピソードや、前述するクライマックスなどが付け加えられている。
ピンポイントで言えば、オリジナル版ではとある「おもちゃ」のギミックがある場面を、今回の日本リメイクでは『ダイ・ハード』よろしく身体を張ってダクトを通るという、これはこれでアクション俳優である岡田准一のファンに嬉しいサービス的な改変がされているのも嬉しかった。
搾取される側を描く、藤井道人監督の作家生は一貫している
本作は藤井道人監督作では珍しいブラックコメディかつリメイクであるが、「搾取されたり抑圧される人間を描く」作家生がやはり一貫しているというのも面白い。主人公の刑事・工藤も敵となるエリート検察官・矢崎もまったく正しくはない人物であるが、そこには「そうすることでしか生きられなかった」悲哀も多分に込められていたのだから。思えば、直近のオリジナル企画の藤井監督作『ヴィレッジ』も、見方を変えれば「ひどすぎて笑ってしまう」内容でもあった。喜劇と悲劇は表裏一体。それを表現できるのも、また映画や創作物の豊かさだと思い知ったのだ。藤井監督作の過去作も振り返りながら、そのことを再確認してみるのも良いだろう。
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同じく韓国映画の日本リメイクの傑作『見えない目撃者』もぜひチェックを!
これほどまでに面白い、リメイク映画が日本で作られたことも実に喜ばしい。そして、同じく韓国映画のリメイクながら、見事なアップデートが行われた、2019年の『見えない目撃者』もおすすめしておきたい。
こちらでは吉岡里帆が視力を失った元警察官、高杉真宙が斜に構えた高校生を熱演しており、その年齢も性別も立場も違う2人の「バディ感」も見所。視覚以外の感覚も研ぎ澄まされるかのようなクライマックスの演出、ネタバレ厳禁のオリジナル版から改変された感涙もののラストなど、褒め称えるところばかりなのである。
R15+指定されるほどの猟奇的な描写もあるが、それも作品には必要なもの。先日のラジオ番組「アフター6ジャンクション」の投票企画「リメイク映画総選挙」で堂々の1位となったことも納得の出来栄えだ。ぜひ、こちらも優先的に観てほしい。
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(文:ヒナタカ)
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