続・朝ドライフ

SPECIAL

2023年06月27日

「らんまん」竹雄(志尊淳)の名台詞「あなたは呪いじゃなく祝いじゃ」<第62回>

「らんまん」竹雄(志尊淳)の名台詞「あなたは呪いじゃなく祝いじゃ」<第62回>

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2023年4月3日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「らんまん」。

「日本の植物学の父」と呼ばれる高知県出身の植物学者・牧野富太郎の人生をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。激動の時代の中、植物を愛して夢に突き進む主人公・槙野万太郎を神木隆之介、その妻・寿恵子を浜辺美波が演じる。

ライター・木俣冬が送る「続・朝ドライフ」。今回は、第62回を紐解いていく。

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竹雄と綾、万太郎と寿恵子

2組の男女の物語が描かれました。

まず、感心しました。
竹雄(志尊淳)の「あなたは呪いじゃなく祝いじゃ」というセリフ!
これまでずっと「呪い」という言葉が流行ってきて、ドラマでよく使われてきましたが、綾(佐久間由衣)が囚われていた「呪い」を解くのみならず、「祝い」に転換して、前進したのです。

誰もが生まれてきたことを、祝われ、寿がれる。
誕生日、おめでとう ってそういうことです。

竹雄は、身分制度から解き放たれたら、ますます魅力的になりました。少々の毒を放ちます。それも甘い毒を。

綾がはりきって酒蔵の組合を作ろうと、近隣の酒蔵を訪ね歩きますが、相変わらず女であることでどこも相手にしてくれず(「きれいな姉様がシャラシャラしたがを従えて」とか「おまんごと峰屋をもろうちゃる」とか)、落ち込んで、竹雄に夫婦になろうと持ちかけたとき、拒否したときのセリフがこちら。


「そうじゃあ。飲んだくれの女神じゃ。わしはそういう女神様に欲しがられたいがじゃ」
(竹雄)

めちゃくちゃ色っぽい口説き文句でありますし、竹雄の性癖がわかります。
開放的で創造的な人が好きなのでしょう。これはギリシャの酒神・ディオニソス的な存在ということ。お酒と神様は切っても切れない関係ですから。

そんな竹雄を「めんどくさい」と言いながら、綾と竹雄はーー。

この場面をかなり引きで、手前に狛犬(神様のお使い)を置いて見せます。「欲しがられたい」と意外と生々しいセリフのあと、うんっと引きで見せる上品さ。

そして地面にはバイカオウレンが咲いています。

綾が酒蔵を任されてから、まったくほかの酒蔵と関わりがなかったのかーとか、いっさいのつきあいもないのにいきなり組合の話を相談にいったのかーとか、気になる点も多々ありましたが、そのへんが気にならないほど、綾のまっすぐさと竹雄のちょっと危うい生命力がまぶしい場面でした。

竹雄は、綾に、闇の酒を作ればいいとか、

「滅ぶがだったら滅んだらええ。まっすぐに作りたい酒を貫く。それだけでええがじゃ」
(竹雄)
とか、なかなかやんちゃな意見を言います。規律正しい奉公人だったとは思えない自由さです。
でもこれは正論。たとえ、認められずとも、滅んでしまっても、自分のすべてを燃やしつくせば、神様に祝福される。自分を曲げてはいかんのです。

一方、万太郎(神木隆之介)寿恵子(浜辺美波)。万太郎が桜の病を治そうと必死に研究し、夕ご飯に顔を出ささないことで、寿恵子が苛立ちます。
これもまた、夕飯を万太郎の部屋に持ってきてあげればいいのに、とも思うけれど、いったん、部屋を出て、戻ってきて、食べ物(万太郎の好物・山椒餅)を置いて去っていったような描写はありました。

でも、ふたりのはじめての仲違いは、すぐに解消します。綾と竹雄と寿恵子が3人で万太郎の悪口を言って解消し、万太郎が平謝りで、ほっとなりました。

寿恵子を「邪魔」と言ってしまったあとのランプの明かりが暖色なので、印象が柔らかくなるし、そこで時間の経過が表され、寿恵子の置いていった食べ物が映り、万太郎が慌てる。ちょっとしたいさかいからの反省の流れが見事。脚本がいいから演出も乗っているのかなあ。

エンド5秒は「しそんじゅん」さんの投稿でした。
エンド5秒 朝ドラ辞典参照のこと

(文:木俣冬)

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