<明日カノ2>茅島みずき・入山法子・齊藤なぎさ——名演と魅力を振り返る

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MBS・TBS「ドラマイズム」枠で放送中のドラマ「明日、私は誰かのカノジョ season2」が6月27日(火)に最終回を迎える。

原作は、漫画配信サービス「サイコミ」で連載されている、をのひなおの同名漫画。学費や生活費を稼ぐためにレンタル彼女になる大学生、ホスト沼から抜け出せず夜の街を彷徨うデリヘル嬢、孤独を紛らわすために男性と肉体関係を持つパパ活女子など、幸せを求めてもがく女性たちの心情を繊細に描き、若者を中心に「リアルすぎる」と支持を集める人気作だ。現在は最終章に突入しており、主人公・雪の物語の行方が注目されている。

そんな通称「明日カノ」の実写ドラマが2022年4月期に放送され、原作に忠実なストーリー展開と実力派キャストによるキャラクターの再現度が話題を呼んだ。本作はその続編となる。最終回を目前に、前回同様、原作に最大限のリスペクトを払った続編を振り返っていきたい。

齊藤なぎさが流石の名演を見せた“ゆあてゃ誕生秘話”


ドラマ「明日カノ2」のヒロインは、女子大生の留奈(茅島みずき)と、彼女が働くソープ店の同僚・菜々美(入山法子)の二人だが、最初の2週は前作に登場した“ゆあてゃ”こと、ゆあの(齊藤なぎさ)過去を描く特別編が放送された。

今や、ホストにハマる地雷系女子の代名詞となっている“ゆあてゃ”。彼女は、「私はみんなと違って“自分”を持っている」と自負する女子大生の萌(箭内夢菜)で描かれるホスト編に登場するキャラクターだ。萌をホストの世界に導く重要な役どころではあるが、彼女がこれまでどんな風に生きてきたのか、なぜホストにハマったのかについてはそこまで深く前作では描かれていない。だけど、原作でゆあの高校時代が描かれた番外編の実写化を望む声は多かった。

それはひとえに、ゆあを演じる齊藤なぎさのハマりっぷりが尋常じゃなかったからだろう。ビジュアル面で言えば、もはや元から齊藤がモデルだったんじゃないかと思うほどの再現度。でも決してそれだけじゃない。

指原莉乃プロデュースのアイドルグループ「=LOVE(イコールラブ)」のメンバーとしてデビューし、昨年まで活動していた齊藤。「アイドルになるために生まれてきた」と言っても過言ではないほどの輝きを見せた彼女がグループを卒業したのは、女優業に専念するためだ。それに対してSNSでは様々な意見が挙がっていたが、私は女優・齊藤なぎさとしても必ず成功すると確信していた。それは、「明日カノ」で彼女の名演を見ていたからである。

その日暮らしの生活をのらりくらりと送っているようで、根底にあるゆあの世間に対する憤りや抵抗の色が齊藤の演技には滲んでいた。そんな彼女が今回は、前作とまた違ったゆあを見せてくれている。

田舎特有の干渉社会で祖母と二人暮らしを送っていた高校生のゆあ。街にも学校にも馴染めない中、認知症を患っているけれど愛情を注いでくれた祖母を亡くし、彼女は一人になってしまう。それでも完全に絶望したわけではなく、まだ「東京に行けば何かが変わる」という希望があった。前回とは異なり、その一筋の光が演じる齊藤の目に宿っていたように思う。だから全体的に前作で感じたゆあの激しさは抑えめ。一緒に東京へ行くと約束したみぽつ(寺田光)が土壇場で怖気付いても、ガッカリするだけで怒りを露わにすることはない。


そして、ここからがドラマオリジナル。2週目では一人で上京したゆあがスカウトマンの“まきゅ”こと、牧由人(本田響矢)に出会って恋に落ちるも、体良く利用される様が描かれた。本田響矢の演技がまた良くて、クズっぽさを匂わせながらも一か八かで信じてみたくなるような絶妙な加減で視聴者を翻弄。そんな奴の手にかかるゆあが心配で、でも可愛くて願うような気持ちで見守っていたが、結局あっさりと由人はゆあの元を去っていった。まきゅ、許すまじ。

そして、その時見せた斎藤の慟哭の演技や“ゆあてゃ”になる瞬間の表情がとにかく素晴らしくて。齊藤なぎさ、これからが本当に楽しみな女優だ。

“洗脳”もある種の“救い”? season2の奥深いテーマ


ドラマ「明日カノ2」はそれぞれ何かしらに“洗脳”された女性たちの物語である。最初の主人公は先ほども紹介した女子大生の留奈。彼女は大学を休学し、生活費や学費を稼ぐためにソープで働いている、悪く言えばドライ、良く言えば自立した女性だ。若干、前作で吉川愛が演じた雪に考え方は似ているかもしれない。何かに寄りかかることはないし、頼れるのは自分だけと思っている。

そんな彼女も無自覚だが、あるものに洗脳されている。それはお金だ。児童養護施設で育った留奈は貧しさに対する恐怖を常に持っている。ホストやバンドマンにハマる人と同じように、彼女は彼女でお金を心の支えにしているのだ。


それに本人が気づいたのは、人気配信者“バシモト”こと、隼斗(綱啓永)に出会って、恋愛関係に発展したことがきっかけ。彼はいわば、洗脳する側の人間だ。もちろんファンのことは大事にしているし、仕事も誇りを持って頑張っている。だけど、本当の意味で何もかもから自由なのは彼であって、お金に縛られている留奈とは最後の最後で分かり合えないのだ。

このエピソードが辛いのは悪役がいないところ。育った環境やそれに伴う価値観が違うだけで留奈の気持ちも隼斗の気持ちも分かるし、隼斗のファンである心音(新井美羽)もただ純粋に彼のことが好きなだけで何も悪いことはしていないので、「留奈と隼人に幸せになって欲しかった」という気持ちの持って行き場がなくてしんどかった。


しんどさで言えば、次の菜々美の物語も負けていない。美人で愛嬌があり、若い頃は無敵だったが、40歳になって何もない自分に打ちのめされる菜々美の状況は、彼女と同じ年代の女性だけではなく、「今はいいけど、歳を取ったらどうなるんだろう」と不安に感じている若い女性も身につまされるものではないだろうか。

父親が亡くなったことをきっかけに、母親が一人で暮らす実家に出戻りし、地元のスナックで働き始める菜々美。そんな彼女がハマってしまったのが占いだ。菜々美はレター先生(橋本マナミ)という見るからに怪しい占い師を崇拝しており、彼女の導きで運命の相手かもしれない岩崎(稲葉友)という客と勢いで身体の関係を持つ。彼もまた怪しさ満点で思わず頭を抱えてしまうが、菜々美の気持ちは分からなくもない。

多かれ少なかれ、誰もが何かに支えられて生きている。自分が置かれている状況が過酷であればあるほど、人はその何かに縋ってしまう生き物だ。“洗脳”と言われればそれまでだが、菜々美がレター先生と出会った時に「死にたい」と思っていたように、それが生きるための手綱だった場合はどうすればいいんだろう。「明日カノ2」はそんなことを考えさせられる。

一方で菜々美の物語にはまだ救いがある。占いに勧誘してもただ否定するのではなく話を聞き、見捨てないでくれたスナックのママ。彼女が菜々美の新たな命綱になってくれたらいいのだが……。

あのキャラにまた出会わせてくれて、ありがとう


……とまあ、見ているだけで色々と胸が苦しくなる場面も多い「明日カノ2」だが、今回はご褒美も用意してくれている。それはSeason1主要キャラの再登場だ。第2話では、留奈の大学の同期である雪とリナ(横田真悠)が登場。彼女たちの物語もかなりきついものではあったが、なんだかんだ元気にやっているようで安心した。

さらに隼人がいるバーでは、萌がハマったホストの楓(高野洸)と、七星(坪根悠仁)がチラリ。特に高野洸は本領を発揮して演じた楓は、ダメだとわかっていても抗えない魅力で視聴者を沼にハマらせたキャラクターだ。

私個人としてもこの1年間忘れられなかったので、また“高野楓”に出会わせてくれたことに大大大感謝。ただ君、萌ちゃんのこと忘れてない?その女の子たちは第二の萌ちゃんか……? 兎にも角にも、この世界のどこかで彼らが生きていると思わせたくれたことが嬉しかった。

最終回もサプライズゲストの登場なるか。ドラマ「明日、私は誰かのカノジョ season2」、ぜひお見逃しなく。

(文:苫とり子)

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