俳優・映画人コラム
2023年春ドラマ、“やられまくった”5人の男たち
2023年春ドラマ、“やられまくった”5人の男たち
今回も容赦なくやってまいりました、3ヶ月ごとに訪れるこの瞬間。そうです、ドラマロスです。
虚無感に襲われる理由の一つは、紛れもなく登場人物にある。特に、架空の人物のはずなのに、本気で心惹かれてしまう男たちには細心の注意を払わなければならない。
にもかかわらず、あいも変わらず“やられまくった”男たち・5人を紹介していきたい。
「あなたがしてくれなくても」陽ちゃんとしての永山瑛太
好きと嫌いは紙一重——この言葉が最も似合う男
2023年春ドラマ1の注目株だったといっても過言ではない「あなたがしてくれなくても」。
「昼顔」スタッフの再集結、“セックスレス”という波乱と共感を生むテーマ——全国民が食いつかないわけがない。
「最高の離婚」然り「あなたのことはそれほど」然り「ホリデイラブ」然り、夫婦二組のいざこざを描いた作品は、なぜこうも無条件に心惹かれるのか。そして、それぞれのキャラクター設定が濃ければ濃いほど、物語に没入する。
「あなたがしてくれなくても」で最も沼に堕ちながらも嫌悪感が増していったのは、紛れもなく永山瑛太演じる陽ちゃんだった。
ドラマ「エルピス-希望、あるいは災い-」「ミステリと言う勿れ」、映画『怪物』など、ここ最近は不穏な空気に包まれた役柄の印象が強い永山瑛太。
だが遡ってみると、ドラマ「オレンジデイズ」「アンフェア」「ラスト・フレンズ」など、くったくのない笑顔が脳裏に浮かぶ“THE 瑛太”作品も数多い。そんな彼が“セックスレスを勃発させる張本人役”として出演することに、期待しかなかった。
掴めないミステリアスな雰囲気、それでいてまるで子供のような我儘さを持ち、気がついたときにはすっかり相手のペースに乗せられている。いやぁ、こういうタイプが一番厄介。
一瞬の欲望にかまけて一晩だけ寝た女に対しての裏切りもまぁひどいこと。罪悪感に苛まれるくらいなら最初から抱かなきゃいいのに——とは思いつつ、欲望をコントロールできていたら世の中に“浮気”や“不倫”なんて概念は存在していないはずですよね、はい。
妻・みち(奈緒)への思いだって独りよがり。ずっと一緒にいたいけど子供は欲しくないという本音を最後の最後にぶちまけ、それでも「みちがいないと俺はダメだ」の一点張り。
もし、筆者がみちだったら「人生、どうしてくれんのよ!」と叫びたくなってしまうかもしれない。でもそれは、陽ちゃんという人を愛してしまったが故の宿命なのだろう。どうやっても陽ちゃんという存在を避けることはできなかっただろうし、愛さずにはいられなかったのだと思う。
そんな摩訶不思議な魅力を持つ陽ちゃんに、最終回を迎えた今も、誰もが夢中になってしまっているはずだ。
【関連記事】「あなたがしてくれなくても」全話レビュー
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「王様に捧ぐ薬指」神山くんとしての坂東龍太
過去イチのビジュ×オタク要素がぶっ刺さる
(c)TBS山田涼介×橋本環奈という目にも眩しいカップルに釘付けだった「王様に捧ぐ薬指」。
ヴィジュアルが顔面国宝すぎてそれだけでもうありがたく、正直ストーリーなんてどうでもよかった。よくある「契約結婚から気付いたら本当に好きになっちゃってました」的なストーリーだと思っていた。
総論、確かにそうではあったのだが、本物の夫婦にいたるまで紆余曲折あり、思わず涙せずにはいられない箇所が多くあったことは想定外だった。
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— TBS火ドラ『王様に捧ぐ薬指』【公式】 (@ousama_tbs) April 11, 2023
放送開始まであと7日! ˗ˏˋ📢
\#坂東龍汰 さんのクランクインの日のお写真📸
メガネがお似合いの神山くんです👓♡#橋本環奈 さん演じる綾華との関係性にも注目⁉︎♡
4月18日よる10時START!
『#王様に捧ぐ薬指』お楽しみに💗#坂東龍汰 #ばんちゃん #王ささ #TikTokも開設しました㊗️ pic.twitter.com/omhSjCp4P3
本ドラマ内でまさにスパイス的存在として、私たちの心を盛り上げ時にはざわつかせてくれたのが、坂東龍汰演じる神山くんだ。
綾華(橋本環奈)の高校時代の同級生であり、初恋の相手でもあった神山くん。ラ・ブランシュでまさかの再会を果たし、お互いに当時の恋心を思い出す。今も昔も真摯に尽くしてくれる神山くんが、まさか黒幕の手によって染められているなんて、誰も思わなかっただろう。
ドラマ「にぶんのいち夫婦」「真犯人フラグ」「ユニコーンに乗って」「リバーサルオーケストラ」などでじわじわと頭角を現し、映画『フタリノセカイ』で主演を務め脚光を浴びた坂東龍汰。
整った顔立ちに引けを取らない演技力を持つ彼だが、本ドラマでさらに知名度を上げたように思う。
まず、とにかくビジュがいい。センターパートの神山くんスタイル、最高か。また、あのイケメンにして勉強オタクな感じもたまらない。少し影のある美男子オタッキー、大好物です。
あれから数年経った今でも綾華に思いを寄せる姿に心はキュンと締めつけられたが、その好意を逆手に取って駒にした母上、絶対に許さない。あなた、神山くんの気持ち、考えたことある?
……それでも、その間少しでも綾華と時間を過ごせたことは、神山くんにとっては最良だったのかもしれない。
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「隣の男はよく食べる」蒼太くんとしての菊池風磨
あぁ、ギャップ萌えってこういうことか。
タイトルからほとばしるエロさにノックアウトしてしまう「隣の男はよく食べる」。「隣の男はよく食べる」
— 隣の男はよく食べる❤️🍴【公式】最終回6月28日(水)深夜1時放送! (@tx_yokutabe) June 22, 2023
最終回30秒PR解禁🎊#倉科カナ × #菊池風磨(#SexyZone)
麻紀の決意と蒼太の覚悟
二人の未来は…
6月28日(水)いつもより30分遅い
深夜1時放送📺️
Paraviで全話配信中
TVerで第1~3話・最新話見逃し配信中
⏩️https://t.co/D1Gkykn1nd
最後までお見逃しなく❤️🍴#よく食べ pic.twitter.com/9qU55xqWjY
漫画原作である本ドラマ、筆者は未読なのだが、どうやら漫画の方がエロいらしい。菊池風磨を通して原作通りに実写化するには、刺激が強すぎると判断したのだろうか。
マンションの隣同士に住む男女が、恋に落ちていくというストーリー。なんだかもうそれだけでエロいのよ。ありそうでないこの展開、現実世界で起こらないかと、毎朝自宅を出るたび、帰宅するたびにこっそりドキドキしているのは、私だけ?
しかもお相手は、年下イケメン男子。甘いマスクにウィスパーボイスで30代女性の心を鷲掴みにしたのは、菊池風磨演じる蒼太くんだ。
本ドラマでなによりも驚いたのは、菊池風磨のイメージ転換である。
ドラマ「ファイトソング」ではヒロインの幼なじみ役・慎吾を好演。優しく明るい天真爛漫なおちゃらけ男子として、完全に菊池風磨以外考えられない配役だった。また、CM「ボールド」でもそのおちゃらけ加減は健在で、「いやこれもうただの菊池風磨やろ」と突っ込んでしまいたくなるくらいには彼らしさが際立っていた。
もちろんイケメンなことには違いないのだが、“陽気なムードメーカー幼馴染ポジション”を確立していた菊池風磨が、ここにきて“年下沼系男子ポジション”に切り替わるのは、いくらなんでもずるすぎる。
個人的には、TVerで視聴した際に「ボールド」のCMが流れたときの笑いが止まらなかった。色気の振り幅、すごすぎる。
菊池風磨が隣に引っ越してくることを願って、これからも生きてゆきます。
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「合理的にあり得ない」貴山としての松下洸平
貴山と恋愛できないなんて現実的にあり得ない
(C)カンテレ一話完結ながら、上水流涼子(天海祐希)の闇に葬られた過去が暴かれていく展開から目が離せない「合理的にあり得ない」。
天海祐希が出ている作品という時点でもう間違いないのだが、そこに松下洸平演じる貴山とのタッグを組ませる着眼点に脱帽だ。
松下洸平といえば、やはり「最愛」だろう。あぁ、大ちゃん。放送から暫く経った今も鮮明に思い出す、あの事件の全貌。
筆者が彼の存在を知ったのは、「知ってるワイフ」での津山だった。元春(大倉忠義)の同期として登場していた彼の、とんでもない爽やかさととてつもない善者っぷりに、見事ノックアウト。当時、筆者の中では初見だったため、その後「最愛」で目にした際に「知ってるワイフの津山!!!!!!」と叫んだことは記憶に新しい。
そんな彼は、「最愛」を機に「やんごとなき一族」「アトムの童」と立て続けに人気ドラマにメインキャストで出演し、すっかり人気俳優の一員となった。
そして、「合理的にあり得ない」。属性的には「王様に捧ぐ薬指」の神山くんに近く、何事も卒なくこなす優秀イケメンという立ち位置。だがしかし、貴山にはひとつ欠点がある。そう、“恋愛経験ゼロ”なのである。
ここで、CINEMAS+ライター・駒子氏による秀逸すぎるレビュータイトルを紹介させてほしい。
貴山、松下洸平の見た目と雰囲気で「恋愛経験0」なんて合理的にありえない……。
「うまい!一本取られた!」としか言いようがない。もう、この一文に貴山のすべてが詰まってる。そこだけはある種、キャスティングミスと言っても過言ではない。いや、決してそんなことはないのだが。
「合理的にあり得ない」、貴山を恋愛市場においても一人前にさせない限り最終回を迎えるなんてドラマ的にあり得ない。
……とは言いつつも、恋愛ベタな彼のかわいさに、こっそりときめき続けているのである。
【関連記事】「合理的にあり得ない」全話レビュー
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「unknown」加賀美としての町田啓太
バグに近い距離感の近さに毎週過呼吸
吸血鬼×「おっさんずラブ」チーム制作という異色すぎるイントロダクションに、放送前は若干の不安さえあった「unknown」。
だが、そんな不安は見はじめるとすぐに消え去った。ヒロイン・こころ(高畑充希)の吸血鬼という設定も、なぜかすぐに受け入れられた。そう、「あぁ、もしかすると身近にもいるのかもしれない」と思えるほどには。
なによりも拍手喝采だったのは、やはり「おっさんずラブ」チーム制作ということ。ラブ・サスペンスというテーマにもかかわらず、要所要所でスローになるカメラワークや、まさかの“田中圭×吉田鋼太郎の復活愛”も垣間見ることができ、さすがとしか言いようがない。
/#unknown
— 【公式】「unknown」4月18日スタート💜テレビ朝日火曜9時ドラマ (@unknown_ex2023) June 6, 2023
最終話 予告🦇
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「俺が全員殺した」
ついに現れた殺人鬼…
その正体は加賀美(#町田啓太)⁉️
信じがたい真実に慟哭する
こころ🧛(#高畑充希)と虎松🐯(#田中圭)
連続殺人事件に張り巡らされた伏線…
何が本当で何が嘘なのか?
全ての真相が明かされる🩸
最終話は6月13日(火)よる9時🌃 pic.twitter.com/mPZN5B1HMQ
だが、このドラマの楽しみは他にもあった。それは言うまでもなく、町田啓太演じる加賀美。もう、加賀美の存在そのものが尊い。尊いのである。
こころの同僚であり相棒として、多くの時間をともに過ごしてきた加賀美。加賀美の恋心の矛先にこころがいることは、一目瞭然だった。距離感の近さ、フーディー紐ぐい、唐突すぎるキス、それでいてスンとした対応……加賀美を見ているだけで、キュンキュンとハラハラが交互に迫りくる。
なんだ、この人。これまでどれだけの女を堕としてきたのですか、ねぇ。
町田啓太といえばやはり「SUPER RICH」での宮村空がリアコだったが、「unknown」の加賀美によって最高が更新された。
……サスペンスドラマに、悪者はつきもの。ドラマ中盤からなんとなく、嫌な予感はしていた。最終話直前、全視聴者が画面越しに落胆していたに違いない。
ただそれ以上に、幼少の頃に聞かされた都市伝説としか思えない嘘を信じ続けて生きてきた加賀美のピュアさが眩しく、心苦しい。
まさに町田啓太の新境地が切り開かれた本ドラマ。加賀美は、いつまでも私たちの心のなかで生き続けることだろう。
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2023年夏ドラマ、一体どうなる?
後ろ髪を引かれつつも、まもなく夏ドラマがはじまる。個人的に気になるのは大体このあたり。- 「真夏のシンデレラ」間宮祥太朗
- 「18/40(エイティーン/フォーティー)~ふたりなら夢も恋も~」上杉柊平
- 「ウソ婚」菊池風磨
- 「こっち向いてよ向井くん」岡山天音
- 「トリリオンゲーム」目黒蓮
- 「初恋、ざらり」風間俊介
- 「癒やしのお隣さんには秘密がある」小関裕太
- 「VIVANT」松坂桃李
……いやいや、多いな。
引き続き、やられまくらないように気をつけながらも、積極的に沼落ちしていきたい所存です。
(文:桐本絵梨花)
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