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令和に口裂け女!実在のエクソシスト!18禁ハイジ!この7月公開の攻めたおすすめホラー映画7選!



5:『マッド・ハイジ』(7月14日公開)



児童文学『アルプスの少女ハイジ』に大胆にもほどがあるアレンジをほどこした復讐劇。低俗かつ見世物的な意味を持つ「エクスプロイテーション映画」であることをはっきりと打ち出しており、レーティングは堂々のR18+指定。クラウドファンディングで約2億9000万円もの資金集めに成功したおかげもあってか、血飛沫飛び散るバイオレンスを惜しげもなくぶちまけた内容となっていた。予告での吹き替えが大好評だったため、マジで内田真礼主演の吹き替え版が上映されるのも最高である。

くしくも、同日公開は宮崎駿監督作『君たちはどう生きるか』。その宮崎駿も参加していたアニメの『アルプスの少女ハイジ』とはまったく別ベクトルの解釈をした『マッド・ハイジ』との巡り合わせは、運命的なものを感じさせる。まるで「君たちはどう生きるか」という問いに対し、映画だからこそ許される「やはり暴力…!暴力は全てを解決する…!」を火の玉ストレートで投げてきたような感じだった。

6:『PARALLEL -パラレル-』(7月21日よりテアトル新宿で1週間限定公開)



美少女キャラのコスプレ殺人鬼と、虐待のトラウマを持つ少女が織りなす、「異色のスプラッターラブストーリー」
と銘打たれた作品。殺人鬼の行動原理が創作物と絡む様は菅田将暉&Fukase主演の『キャラクター』も思わせたが、それよりもさらに極端な作風で、唯一無二の映画を作る気骨を存分に感じる、侮れない一本となっていた。

殺人鬼の「アニメの世界へ行きたい」衝動は、アニメならずとも創作物に触れたこことのある人であれば、少なからず共感を覚えてしまうのではないか。もちろん、どれだけひどい世界に生きようとも、根本的に殺人は許されないことだからこその、切なさと悲しさも際立つ物語にもなっていた。青と赤がビビッドに強調された画の数々は、スクリーンで堪能する意義も存分にあるはずだ。

7:『イノセンツ』(7月28日公開)



大友克洋のマンガ「童夢」にインスピレーションを受けた、親たちの目の届かないところで隠れた“力”に目覚めていく、4人の少年少女を追うサイキックスリラーだ。まるで是枝裕和監督作品のように子どもが子どものままの姿を描いており、だからこその子どもが持ち得る残酷性に戦慄した。同じく超人的な能力を手にした、少年の哀しい姿を描いた映画『クロニクル』が好きな人も気に入るだろう。

主人公である9歳の少女には言葉を話せない自閉症の姉がいて、彼女の愛憎入り混じる心理も表現されている。つまり、『コーダ あいのうた』のように、明らかに「ヤングケアラー」を描いた物語でもあるのだ。序盤から淡々と、しかし着実に「積み上げていく」作劇の上手さ、そして「じわじわと忍び寄る」恐怖演出の見事さ。「音」も重要なので、映画館で観てこその作品だろう。終盤ではずっと涙を流していた、個人的にはここで紹介した中でもイチオシの傑作だ。

他にも注目のホラー映画が続々!

筆者は未見ではあるが、スマッシュヒットをした『きさらぎ駅』の宮本武史が脚本を担当した都市伝説ホラー『ヒッチハイク』も7月7日より公開中。『パラドクス』のアイザック・エスバン監督による「おばあちゃんが怖い」系ホラーの『イビルアイ』も7月28日に公開されるなど、やはりこの7月はホラー映画が充実しているのだ。

余談だが、最近は『スマイル』『スクリーム6』『死霊のはらわた ライジング』といった、高い評価を受け大ヒットしたはずのホラー映画が、日本では劇場公開なし(スルー)となり、ホラー映画ファンからの悲しみの声が続々と寄せられていた。もちろん配信やソフトで映画を観るのもいいのだが、劇場の暗く集中できる最高の環境でホラー映画を観られるという機会を逃さないでほしいのだ。

(文:ヒナタカ)

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