「どうする家康」30話:家康の最大の敵は? 深まり始めた秀吉との対立
2023年1月8日放送スタートしたNHK大河ドラマ「どうする家康」。
古沢良太が脚本を手がける本作は、弱小国の主として生まれた徳川家康が乱世を生きる姿を描いた波乱万丈エンターテイメント。大河ドラマ初主演となる松本潤が従来のイメージとは異なる「ナイーブで頼りないプリンス」の家康に扮する。
本記事では、第30話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。
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「どうする家康」第30話レビュー
新たな戦の時代が幕を開ける。秀吉(ムロツヨシ)が明智光秀(酒向芳)を討った。
伊賀越えのあと、家康(松本潤)がすぐに動かなかったことに平八郎(山田裕貴)などは不満を口にするが、今は近隣諸国を安定させることが大事。
家康は秀吉とは事を構えず、北条家との戦いに臨むことになる。
一方、秀吉が力を持っていく中で、市(北川景子)は柴田勝家(吉原光夫)と婚姻を結ぶ。秀吉に好き勝手にさせないためだ。そして織田の誇りを守るため。
まもなく、秀吉と勝家は対立。
織田家の家臣たちは勝家につくかと思われたが、次々と調略され、一気に形勢は不利に。
その中でも、市は家康が助けに来てくれると信じていた。小さいころに交わした「お市様のことは、この竹千代がお助けします」という約束。
家康も覚えていたが動くことはできない。動けば、国が危機にさらされることになる。きっと、それは市だって分かっていただろう。
市の中で、家康とのその思い出がお守りのようになっていたのかもしれない。
ひとりめの夫が殺され、兄が死に、家の誇りを守るために二度目の結婚。想像してみれば、そんなささやかな約束が心の支えになっていたっておかしくはない。
しかし、市の娘・茶々(白鳥玉季)は憤っていた。
「(家康は)見て見ぬふり」
「徳川様は嘘つきということでございます。茶々はあの方を恨みます」
市は茶々をたしなめる。
そして、市は茶々ら3人の娘を秀吉に預ける。
秀吉自身は市をもっとも望んでいた。自分の妻にする。
それはずぅっと昔から秀吉が叶えたくて仕方がなかった願いだろう。しかし、市はそれを拒否したのだ。
秀吉は表向きとしては「織田家の血筋を入れたい」。
だから市が欲しかったというわけなのだろうが、実際は……。
しかし、秀吉は強がる。市がいなくとも、3年も経てば代わりができる。
そう言って秀吉は茶々の頬をなぞる。観ているだけでもゾワッとしてしまうシーンだったが、茶々は怯えるどころか、秀吉の手を取り、微笑んだ。それにわずかに動揺したのは秀吉だ。
そんな秀吉を見て、茶々は手を離し、立ち去る。
秀吉は、人の心を掴むことに長けている。相手の懐に入り込み、利用する。信長のことさえも。
逆に、圧倒的弱者だと思っている相手に利用されることにはきっと慣れていない。
茶々は市との別れ際、「母上の無念は茶々が晴らします。茶々が天下を獲ります」と言っていた。
ご存じの通り、茶々は家康の最大の敵としてこの先立ちはだかることになる。その伏線が張られたことになる。
本能寺の変では明智に先を越され、明智討伐は秀吉に先を越された。そして、何もできないまま市は自害。
ここまで、家康側からすると「やった!」と言えるような成功体験が少ない。だからこそ、観ている側のフラストレーションも溜まっていくのかもしれないが……そんなフラストレーションを今後どのように発散していくのか。
家康と秀吉の関係、戦いも多くの人が知っているものだ。
それをどのように解釈し、描いていくのか、期待が高まる。
(文:ふくだりょうこ)
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