

「SUPER RICH」第8話レビュー:「女性の在り方」に迫った、どこまでも現実的なドラマ(※ストーリーネタバレあり)

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<SUPER RICH>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
江口のりこが主演、赤楚衛二が共演する「SUPER RICH」が2021年10月14日より放送スタート。
お金はあっても愛に飢えた孤独な女社長と、愛はあってもお金がない貧乏専門学生。真逆の2人が出会い、会社に襲いかかる困難を次々と乗り越えて前へ進んでいく姿に元気づけられること間違いなし!
毎分、毎秒でめまぐるしく変化していく登場人物たちの心情と、原作のない完全オリジナルドラマだからこその予測不能かつスリリングなストーリー展開をお見逃しなく!
本記事では、第8話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。
「SUPER RICH」第8話レビュー
今吉(中村ゆり)と、鮫島(菅野莉央)の退職。
衛(江口のりこ)にとって、ともにスリースターブックスを盛り上げてきた仲間からの、突然の退職宣言がなされた。今吉と鮫島は会社にとってなくてはならない存在。オフィスを移転し再帰しようとしているこのタイミングで抜けられると、経営が立ち行かなくなる恐れもある。
今吉は、思い人である衛と優(赤楚衛二)が共にいるのを見届けるのがつらいために、退職して衛と離れることを決意。そして、鮫島は妊娠5ヶ月であることが判明。つわりがこんなにつらいとは思わなかった、妊婦の状態で働き続けることはできない——そう言って、涙ながらに「辞めさせてください」と口にした。

鮫島の言うように、決してスリースターブックスは、妊婦や母親が働くことを想定した会社ではない。必要な制度がない事実は、共に働いてきた鮫島には筒抜けだ。つわりのせいで心が弱くなっている彼女には、余計に「退職」の選択肢しか見えないのだろう。
元のオフィスへと戻る目処がようやく立ってきたにも関わらず、立て続けに災難に見舞われるスリースターブックス。彼らが立たされた窮地は、現代社会の問題を炙り出す。「女性の活躍」を目指すと言っておきながら、いつまでも整わない制度。性別によって役割が分担され、女性にばかり負担がかかるケースが多い現実。同性愛者に対する偏見や差別……。
「女性の在り方」に迫った、どこまでも現実的なドラマだ。

同性愛者である事実がSNS上で面白おかしく拡散されたことにより「会社に対して申し訳ない」とすぐさま身を引こうとする今吉。しかし「そんなことでなくなる仕事だったら、こっちから願い下げ!」「今吉という一人の人間の、心の話をしてる」と言ってのけた衛。凄まじくかっこいい……。これは、男女問わず惚れてしまうだろう。
結婚や出産にまつわる、女性のキャリアを想定した制度作りに対しても、本格的に乗り出すことを衛は約束した。「遅いかもしれないけど、手伝ってくれないか」と申し出た衛に、笑顔で応える鮫島。どうやら、会社にとっての心臓である二人の退職は避けられたようである。

お気づきだろうが、このドラマの展開はまさにジェットコースター。ひとつの問題が片付いたかと思いきや、また新たな問題が浮上する。衛と優の間でちょっとした価値観の齟齬があり、喧嘩になってしまったのだ。
「私には私の世界がある。優くんと全部共有せなあかんのかな」
「好きな人だからって、全部を話すことはない」
衛としては、自分の世界は自分だけのものとして、好きな人とは「共有したいことだけ」共有したいと思っている。しかし、優は真逆だ。好きだからこそ相手のことはすべて知りたい。そう思うのは悪いことじゃないはずだーーどちらも間違っていないからこそ、なかなか答えが出せない問題である。

「ちょっと頭を冷やしてくる」と言って出て行く衛。向かった先はバーで、なんとカウンターには空(町田啓太)の姿が……! 優しく包み込み、慰めてくれる空に対し「ありがとう」と返す衛。ここで空、一発大逆転ホームランか!? と全視聴者は色めき立ったことだろう。
そんな矢先、なんと優がコンビニ強盗に襲われ重体、瀕死の危機に!
結果的に一命を取り留め、この事件を機に衛と優の仲も深まった様子。これでようやく、本当の本当に一件落着かと思いきや……急勾配なストーリー展開に必死で食らいつく私たちに突きつけられたのは、「1年4ヶ月」という時の経過だった。
年単位で急に話が飛びすぎです、このドラマ……。
なんだか優くんは感じが変わってしまっているし、MEDIAからヘッドハンティングされているらしい空の動向も気になるところ。そろそろ終結が近いはずだが、まったく終わりが見えてこないと感じるのは、筆者だけだろうか。
「SUPER RICH」8話のストーリー
『スリースターブックス』は、以前のオフィスビルに戻る寸前まで業績を回復。そんな中、氷河衛(江口のりこ)と春野優(赤楚衛二)が結婚の予定であることを仲間たちが知る。突然のことに衝撃を受ける仲間たち。とりわけ、宮村空(町田啓太)と今吉零子(中村ゆり)の胸中は複雑だ。
今吉は出社時間を早めて会社に行き、衛に『スリースターブックス』を辞めると告げる。衛は今吉を引き留めようとするが、今吉の決意は固い。
また、田中リリカ(志田未来)だけが気づいていた鮫島彩(菅野莉央)の妊娠も、衛が知ることになる。さまざまな問題が浮き彫りになり、『スリースターブックス』の仲間たちに崩壊の危機が訪れようとしていた。
そんな中、『スリースターブックス』に恨みを持つ人間が次々に現れ、会社は窮地に立たされる。そして、優にも危機が…。大波乱の第2章が完結!
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(文:北村有)
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