「転職の魔王様」5話:交通事故の被害者・来栖(成田凌)が加害者の葬式に参加した理由
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成田凌主演、小芝風花がヒロインをつとめる“月10”ドラマ転職の魔王様」が2023年7月17日放送スタート。成田凌が毒舌転職エージェント・来栖嵐を、小芝風花が3年で広告代理店を辞めた新卒社員・未谷千晴を演じる。人生のステージを変える「転職」をテーマに、異色のタッグが繰り広げる爽快エンターテイメントドラマ。
本記事では、第5話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。
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「転職の魔王様」5話レビュー
「俺は、俺の短所を長所にできるとは思いません」……そろそろ試用期間が終わりかけている千晴(小芝風花)が、初めて来栖(成田凌)のサポートなしに一人で担当した求職者が、戸松卓郎(葉山奨之)だ。彼が千晴に対し言い放った言葉は、少なくとも、前向きに転職を検討している人間のものとは思えない。それもそのはず。タイムカードの打刻をごまかし、内緒で残業をさせるような会社に異議を唱えたことで、結果的に退職を迫られた戸松。そんな経験が20代のうちに立て続けば、間違ったことは許せず、正義感のある性格だって、ポジティブには捉えられなくなるだろう。
千晴の言うように、戸松は、わざと自分の人生を悪い方向へ向かわせようとしているように見える。なぜ彼は、仕事に夢を見出せなくなったのか。それには、ほかにも理由がある。
彼は間接的に来栖と繋がりがあった。来栖が足を引きずって歩くようになった原因の交通事故、その加害者が、戸松の婚約者だったのだ。
彼らは、ともに励まし合いながら、過酷な労働環境を乗り切っていた。つらいことも、同じような状況にいる仲間が身近にいると、頑張れる。それは、言葉にすれば美談だが、逆に言えば、仲間を失った瞬間に"自分を支える杖もなくす”ということだ。
例の事故により、戸松の婚約者は命を落としていた。形の上では加害者となる彼女の葬式に、なぜ、被害者である来栖が参列したのか。それは、しばらく明かされていない謎だった。
連日の労働による寝不足で、彼女は居眠り運転をしかけていた。ハッと目が覚めた瞬間には、もう遅い。「逃げて!」と繰り返しながら必死でハンドルをまわす。ぶつかってしまうギリギリまで、なんとか事故を回避しようとしていたのだ。
来栖が葬式に参列したのは、その事実を伝えるためだった。
いくら加害者といえど、命を落とした側の、しかも婚約者の立場からすれば来栖の行動は不可解だ。恨み言を言うためにわざわざやってきたか、嫌がらせとしか思えないだろう。まさに因縁の再会となってしまった来栖と戸松は、長年の鬱屈と、密かにしまっていた思いをぶつけ合う。
「仕事に夢を見ないのはご自由です」
「でもあなたは、自分の未来にすら希望を持っていないじゃないですか。あなたの人生、このままでいいんですか?」
来栖の口から、事故の瞬間、婚約者がどんな様子だったかを直接聞くことで、頑なだった戸松の心は柔らかにほぐれた。事故によって大切な人を亡くした喪失感と痛みからは、そうそう逃れられるものではない。
逃げたいと思ってもいけない、もしかしたらそんな呪いが、彼を縛っていたのかもしれない。
好きなことを仕事にしよう、“得意"を仕事に活かそう……来栖は、そんなアドバイスはしない。しかし、自身の経験も踏まえながら、淡々と助言する。「人は、合わない仕事をしていると肉体的にも精神的にも殺されるんです」「自分の人生を諦めないでください」と。
どれだけ大袈裟と思われようと、人生はほとんどが仕事でできている。楽しさ、嬉しさ、やりがい、そんなポジティブな感情で100%埋められないのなら、せめて、“合う”仕事を探したい。肉体的にも精神的にも、健やかに生きるために。自分の人生を、諦めないために。
今回で、来栖の過去にまつわる最大の謎も解き明かされた。ドラマの折り返し地点、次回以降はどのような展開で最終回までの道を示してくれるのだろうか。
(文:北村有)
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