「ブギウギ」なぜ鈴子より歌も踊りも下手な子が受かるのか<第4回>
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2023年10月2日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「ブギウギ」。
「東京ブギウギ」や「買物ブギー」で知られる昭和の大スター歌手・笠置シヅ子をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。小さい頃から歌って踊るのが大好き、後に戦後の日本を照らす“ブギの女王”となっていく主人公・福来スズ子を趣里が演じる。
ライター・木俣冬が送る「続・朝ドライフ」。今回は、第4回を紐解いていく。
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鈴子、花咲歌劇団をお受験
ツヤ(水川あさみ)は、自分で進む道をみつけてすごいと褒めていましたが、学校の先生には歌を歌ってる似顔絵を描かれ、友人・タイ子(清水胡桃)にも、歌がうまいので、花咲歌劇団に入るといいと言われ、だんだんその気になっていく鈴子(澤井梨丘)。
さらに、風呂屋で働いている(居候?)のゴンベエ(宇野祥平)にも風呂を炊きながら鈴子の歌を聞くのが楽しみと言われ、じつはまわりから攻められている感じです。
風呂場の掃除をしながら、そこをステージのようにして歌い踊る。お風呂屋さんになると決めていた鈴子が、風呂屋一択の可能性から、歌って踊るという別の可能性を見つけた瞬間の舞台としては、実家の風呂場は格好の場所です。風呂屋から花開くスターの予兆。
でも、花咲歌劇団受験にはお金もかかります。両親におずおずと相談すると、ツヤも梅吉(柳葉敏郎)も応援体制です。
梅吉は元々、映画を作りたくて香川から大阪に来たので、娘がエンタメの職につくことに理解があります。
あれしろこれしろ言わないで、子供に自分自身で道をみつけさせることはなかなかできることじゃないが、鈴子は自分で見つけたすごい、と感心する梅吉ですが、だから教師、タイ子、ゴンベエがあれしろこれしろと言ったわけではないけれど、うっすら影響を与えていたことを知りません。若干親ばかです。でも、なんだかあったかいムードなのでいいのです。
しっかり者のツヤは、なんとかお金を工面しようと決意。
なんでこんなに子供に寛容なのでしょうか。
まだはっきり明かされていませんが、ふたりの子供に関係しているようです。
出産の際、香川に帰っていたツヤ。戻ってきたときにはふたり連れていて、梅吉は「双子やったか?」と首をかしげますが、不問に付します。梅吉ってとってもおおらかです。
もうひとりの子(男子)は早くに亡くなって、いまは鈴子と、その後生まれた六郎(又野暁仁)のふたり。
第2回の、中越典子さんが出てきた意味深な場面もありますし、絶対に何かあるーー。
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ツヤと梅吉が鈴子を大事に愛情深く育てている理由が明かされるときは、いつでありましょうか。
朝ドラでは家が貧しくやりたいことを我慢しないといけない主人公も少なくないなか、「らんまん」に続いて、好きなことをやれる環境にある鈴子。さっそく花咲歌劇団をお受験します。
試験には、ツヤも付き添います。
鈴子はのびのびと、歌い踊り、面接では饒舌過ぎるほど語り、自己アピール。
自信満々でしたが、結果はーー。
自分よりも歌も踊りも下手な子が受かっていると、受験番号と人物をちゃんと認識していたのか、発表の掲示板の前で喜んでいる子の顔を見てそう思ったのか。いずれにしても、鈴子は歌も踊りもしゃべりもうまいのに……。
ひじょうに門戸が狭いこともありますが、もしかして、出来レース的なもの? いやいや、たぶん、おしゃべり過ぎたのがいけなかった気がします。何度も練習しましたアピールにも面接官は辟易していた気がします。
言動から、鈴子はおせっかいででしゃばりでがさつな印象も受けますが、「恋はやさし野辺の花よ」を歌う声は繊細で美しい。鈴子の心は清らかで優しいのでしょう。
さて、この回、印象的なのは謎のゴンベエ。記憶を失ったまま花田家で働いています。
花田夫婦が、鈴子だけ溺愛しているわけでなく、誰彼問わず、慈愛ある夫婦であることがわかります。
自分が何者なのかわからないゴンベエが、鈴子の歌を聞いてると何かを思い出す気がするというのも、鈴子の歌が聞く人に希望を与えるポテンシャルを持っているという、おそらく物語の根幹がここで示されています。
(文:木俣冬)
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