「ブギウギ」羽鳥(草彅剛)はイクメン<第34回>


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2023年10月2日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「ブギウギ」。

「東京ブギウギ」や「買物ブギー」で知られる昭和の大スター歌手・笠置シヅ子をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。小さい頃から歌って踊るのが大好き、戦後の日本を照らす“ブギの女王”となっていく主人公・福来スズ子を趣里が演じる

ライター・木俣冬が送る「続・朝ドライフ」。今回は、第34回を紐解いていく。

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秋山、大阪に戻る決意をする

傷心のスズ子(趣里)が下宿に帰ると、羽鳥(草彅剛)藤村(宮本亞門)が新曲を作りながら待っていました。「センチメンタル・ダイナ」を途中の出来ながら歌い踊るふたりが、とても楽しそう。

梅丸を裏切ってしまったことを重く受けとめ、歌えないと拒むスズ子でしたが、歌の力には抗えません。

いまの感情をそのまま歌に託し、楽しいときは楽しく、つらいときはやけくそで、歌う。そうやって生きていく。羽鳥はスズ子の気持ちも取り入れながら曲を作っています。

悩んでいるところに、秋山(伊原六花)が帰ってきます。秋山は中山(小栗基裕)といると「自分らしくおられへんいうか」と彼との公私共にパートナーになることに悩んでいました。

やっぱり、中山が男役から女役に転身しろと言ったのは、彼のエゴでしかなく、秋山はそれに気づいたのでしょう。俺のため的な感じがプンプンしてました。それに比べて、羽鳥は、スズ子の気持ちを歌に取り入れてくれてる。全然違います。

羽鳥は、作曲に夢中ながら、今日は彼がカツオを寝かせつかせる日なのだとあたふた帰っていきます。なんだかんだいってちゃんと育児にも協力しているようです。たぶん、そういう生活も彼の音楽の血肉になっていることでしょう。

では、松永(新納慎也)はどうでしょうか。色仕掛けでスズ子を騙していた疑惑もありましたが、どうやら、単純に、スズ子のパフォーマンスを気に入って、一緒に日宝に行きたかっただけのようです。

やっぱり、親密なコミュニケーションは、欧米的な表現に過ぎなかったのを、免疫のないスズ子が勘違いしてしまっただけなようで……。

日宝行きを断るスズ子に、自分のせい?……と気にする繊細さも持ちあわせている松永。

スズ子は、松永という演出家ではなく、羽鳥という、自分に最高の曲を作ってくれる人物を選んだことになります。

松永の演出家としての手腕がまったく描かれてないので、なんともいえないのですが、彼は彼でスズ子を見出し東京に呼び、甘い言葉でリラックスさせ、自分の思った通りにやればいいという最高のアドバイスもしているので、演者の心に寄り添い、その人らしさをだす演出には長けているような気もします。演出家って、自分の美意識に沿わせようと厳しいイメージもある反面、演者を自由に泳がせる、懐の大きな人も多いです。

でもスズ子は、自分のために曲を作ってくれる人を選んだのです。芸の道を歩む者なら当たり前の選択です。

スズ子が日宝に断りにいったとき、ゴシップ誌に、スズ子と羽鳥のスキャンダル記事が載っていて、師弟愛を超えているんじゃないかと疑われる場面があり、いきなりさらりとそんな大変な感じのことも描かれているのですが、梅丸楽劇団として、そこは大丈夫なのか心配になりました。

記事を読んだら、奥さんの麻里(市川美和子)もどう思うでしょうか。違う話だったらスキャンダル問題をドロドロ描きそう。そんなの見たくないけれど。

秋山は中山に「愛してないんです。まったく愛してないんです」ときっぱり断ち切り、大阪に戻ることを決意。そんな彼女におでん屋の伝蔵(坂田聡)は、これまでないと言ってたコロ(クジラ)をサービス。最初は感じ悪かった伝蔵がどんどん株をあげていきます。

ごくさりげなく、桜の花びらが舞い落ちて、いい感じでした。


(文:木俣冬)

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