続・朝ドライフ

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2024年06月25日

「虎に翼」愛のコンサートに福来スズ子を呼べるのか<第62回>

「虎に翼」愛のコンサートに福来スズ子を呼べるのか<第62回>


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2024年4月1日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「虎に翼」。

日本史上で初めて法曹の世界に飛び込んだ女性をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。困難な時代に生まれながらも仲間たちと切磋琢磨し、日本初の女性弁護士となる“とらこ”こと猪爪寅子を伊藤沙莉が演じる。

ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第62回を紐解いていく。

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梅子の苦悩の10年

大庭家の遺産相続問題で、寅子(伊藤沙莉)梅子(平岩紙)が再会。最初はスンっとしていた梅子ですが、誰もいないところで寅子に声をかけてきました。

きゃっきゃと少女に戻ったように再会を喜びあう寅子と梅子。よね(土居志央梨)香淑(ハ・ヨンス)のようにそっけなくなくてよかった。よね、香淑、梅子と再会する人する人に冷たく対応されていたら心折れますし、寅子、いったいどんな深い業を背負ってるんだという感じになりますから。

寅子は、よねと轟(戸塚純貴)のもとへ梅子を連れていきます。
高等試験を受けずに皆の元から去った梅子がなぜいまでも大庭家にいるのか、その経緯が明かされます。
連れ戻された梅子は、ちょうど倒れた夫の介護を10年以上やっていたとか。離婚できないままに。それはそれは辛い状況であったことでしょう。

「戻ったみたい 私の人生が一番輝いていたあの頃に」と感無量の梅子。よっぽど辛かったのでしょう。平岩さんの不幸顔(演技)がぴったり。

寅子は知り合いの梅子の案件に自分が関わっていいのか気にしますが、人手不足を理由にそのままやることに。事情はわかりますが法曹界って案外いい加減なんじゃないかと筆者は不信感を抱いてしまいます。最近のリーガルドラマ、身近な人の弁護や取り調べエピソードが多いので。

轟とよねが相続問題の手伝いをすることになりますが、寅子と轟、よねと三人、梅子の同期でますます身内感が強くなっております。

あっけなく、妾のすみれ(武田梨奈)の持っていた遺言書は偽物だと判明し、議論は家族間でどう分けるかという話になります。雷雨が激しいなか、大庭家は醜い争いをします。長男の嫁・静子(於保佐代子)まで加わって、犬神家の一族的な感じに。

戦前なら、長男ひとり占めでしたが、いまや、家族で分けることに法律で定められています。梅子まで、相続放棄はしないときっぱり。まあ、ずいぶん、ひどい目にあってきたのだから、財産くらい欲しいですよね。

この件、現代だったら、具体的な分け方(土地や建物だったらどう分ける?とか)で揉めたりしそうですが、民法が改正されたばかりなので、長男ひとり占めを強引に押し通そうとする人たちもいたのかもしれません。この件に限らず、法律をちゃんと知ることで、ごまかされないようにしたいものです。

大庭家の人々は子供の喧嘩のように、相続放棄しろしないみたいな感情論のまま、話し合いは調停に持ち込まれることになります。

一方、例の愛のコンサート。多岐川(滝藤賢一)は会場を押さえ、「東京ブギウギ」の福来スズ子を呼びたいと大望を抱きます。「東京ブギウギ」は実際は笠置シヅ子の曲ですが、「虎に翼」は「ブギウギ」の世界線です。朝ドラユニバースですね。寅子は梅丸少女歌劇団のファンでもありました。コロンコロンレコードも出てきたし、脚本協力:足立紳 とあったし、福来スズ子出てきちゃったりして。

さて。
「マスター残念だったわね」と梅子に言われ、空襲で亡くなったマスターの感慨にふけろうとしたところを轟がうるさく騒ぐのでむっとするよねという芝居の流れがよかった。土居志央梨さんは黙っていても表情も大きく動かさなくても心が動いているのがわかるお芝居をするいい俳優だなと思います。対する戸塚純貴さんは熱量あるオーバーアクトが得意技で、静と動のいいコンビであります。


(文:木俣冬)

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