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2023年12月04日

「どうする家康」第46話:大坂の陣は避けられない戦だったのか。家康の決断は

「どうする家康」第46話:大坂の陣は避けられない戦だったのか。家康の決断は


2023年1月8日放送スタートしたNHK大河ドラマ「どうする家康」。

古沢良太が脚本を手がける本作は、弱小国の主として生まれた徳川家康が乱世を生きる姿を描いた波乱万丈エンターテイメント。大河ドラマ初主演となる松本潤が、従来のイメージとは異なる「ナイーブで頼りないプリンス」の家康に扮する。

本記事では、第46話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。

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「どうする家康」第46話レビュー

戦争がしたければ、適当な理由でもいいのだな、と思い、口の内側を噛み締めてしまった第46話冒頭。

秀吉(ムロツヨシ)の悲願であった方広寺の大仏殿再興。その開眼供養を控え、徳川家はザワついていた。
問題となっていたのは大仏殿の鐘に刻まれた「国家安康君臣豊楽」という銘。
「家康」の名前を胴と首に切り分け、豊臣を主君とする世を楽しむ、ということであるそうな。
え~そんなひどいこと書いてたの? 心が清らかだから気づかなかった! などと言ってスルーできないものだろうか、と思ったが、できないらしい。
放っておけば徳川家の権威は失墜、処罰しようものなら豊臣をつぶすための言いがかりだと言われる。嫌な一手だ。

戦いを避けたかった家康(松本潤)だが、豊臣方はそうではない。もう、仕方がない。
鐘をすりつぶし、秀頼(作間龍斗)が国替えするか、江戸に参勤するか、茶々(北川景子)を人質として江戸に差し出すか、という究極の三択を繰り出す。
が、茶々が受け入れるはずがない。そうなれば、進む道はひとつ。

戦である。大阪の陣だ。

家康が出陣することとなるが、秀忠(森崎ウィン)は気が気ではない。娘の千姫(原菜乃華)は秀頼の正室である。もし、共に戦に巻き込まれることとなったら……。
それなら自分が総大将で、と考える。

しかし、家康は譲らない。

「この戦は徳川が汚名を着る戦」「汚れるのは自分ひとりで十分」

そばにいるのは本多正信(松山ケンイチ)だ。
かつては家康を裏切った男が最後までそばにいることになるとは。
年を経ても、変わらないふたりの小気味の良いやりとりが、おもしろく、切ない。


戦は数で勝る徳川が優位で進む。

しかし、大坂城は難攻不落。
唯一の弱点をついて侵入しようとするが、そこに待ち構えるのは真田信繁(日向亘)だ。有名な真田丸である。次々と徳川の兵を鉄砲で仕留めていく。
信繁を演じる日向亘は今期のドラマで「うちの弁護士は手がかかる」でポンコツ(?)パラリーガルの岩淵を演じているが、ギャップにめまいがする。
その凛々しさよ……! 今年は「ペンディングトレイン-8時23分、明日 君と」や「君となら恋をしてみても」などで瑞々しい高校生役を演じていたが、ここにきてこのギラギラした感じは罪である。

真田の善戦、落ちぬ城。

家康は用意していた大砲を使うことを決める。秀頼がいる場所を目指して。

これに秀忠の顔色が変わる。秀頼のそばには千姫がいる。

止めようとする秀忠に、家康は「主君たる者、身内を守るために多くの者を死なせてはならぬ」と言う。
それは家康が母から言われた言葉。
でも、家康はかつて自分の妻である瀬名(有村架純)と子どもたちを助けるために家臣たちを動かした。

大砲は大坂城に届いた。逃げ惑う女たち。
その中には茶々や千姫の姿がある。千姫は砲撃に震え、動けずにいた。そしてその上には攻撃によって破壊された天井部分が。そのままでは直撃する……というところで千姫をかばったのは茶々だった。
嫁愛おしさにかばったのか、それとも、家康の助けを待っていた母を思い出したのか、いや前者か。
茶々は鬼のような顔を見せることもあれば、どこか弱い、人間らしさも見せる人だ。

続く攻撃に秀忠は呆然とし、それから家康に食ってかかる。

「こんなのは戦ではない!」
かつて、信康(細田佳央太)が長篠の戦いで同じように問いかけていた。
家康はまるで信長のように「これが戦だ」と非情な答えを返したけれど、「この世で最も愚かで醜い人の所業」と続ける。
だから、秀忠には平和な世を築け、というメッセージか……。

一方、大坂城。自分をかばい、意識を失った茶々を見て千姫が叫ぶ。

家康からはもう乱世を繰り返させまい、という強い想いが感じられる。が、ひとつ間違えれば、第二の茶々を生み出すことになるのでは、と思わずにはいられない。

ひとつを守ろうとすれば、どうしても手放さなければならないものがある。
手放された側の傷はどうしたって、癒えない。憎しみで傷口は深くなるばかりだ。


(文:ふくだりょうこ)

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