松下洸平の魅力——役に“必然性”を感じさせるワケとは?


さまざまな作品で主要な役柄を演じる松下洸平。演技力が素晴らしいことはもちろんだが、彼には演技や役柄以上に人を惹きつける何かがあるように感じる。

ここ数年の役を振り返りつつ、彼の魅力を噛み締めたい。

「やんごとなき一族」深山健太

© Fuji Television Network, Inc.

はい、松下洸平を好きな方がもうきっと2000%好きであろう役がこちら。「やんごとなき一族」で彼が演じた深山健太は、江戸時代から400年以上続く莫大な資産を有する名家・深山家に生まれながらも、素朴で純粋かつ理不尽なしきたりにNOを突きつけられる強さを持つ人だ。

父をはじめとした理不尽な一族から、最愛の妻・佐都(土屋太鳳)のことを守り抜いた。

結婚しようと挨拶に行くも拒否され、健太の幸せを思って別れを告げた佐都。健太はそんな彼女の元におもむき、「俺の顔を見て言える?」とバックハグして「一緒になったら不幸になるんじゃない。一緒にならなかったら不幸になる」と熱烈に訴えるのだ。

佐都の母が倒れたときも、祖母の八寿子(倍賞美津子)に「家族が大変なときに帰れない家って何だよ?おばあちゃんだって苦しんできたんだろ?俺はこの家のそういうところも変えていきたいと思ってる」と強く訴える。健太、最高……というシーンがたくさんある。

妻の佐都が、健太に頼るだけでなく、自分から立ち向かっていく人であることもいい。二人は“さとけんた”と呼ばれて応援されていた。

名場面や名シーンは今回紹介した10倍以上はあるし、おでこにキス、お姫様抱っこなど、王子様ムーブも連発。たまらないので未見の方はぜひチェックしてほしい。

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「アトムの童」菅生隼人



ゲーム業界を舞台に、若き天才ゲーム開発者と老舗玩具メーカーが手を組み、巨大資本の大企業に立ち向かうさまを描いた「アトムの童」。

松下は、主人公・安積那由他(あづみなゆた・山﨑賢人)の親友でゲームの共同開発者でもある隼人を演じた。直感的で猪突猛進な那由他と、そんな那由他をフォローしつつ調整していく隼人。真逆の二人は絶妙なバランスで唯一無二のバディとなっていた。

© 1995-2022, Tokyo Broadcasting System Television, Inc. All Rights Reserved.

時には決裂することがありつつも、結局は二人に戻る様子がもどかしかったり愛おしかったり。那由他は「バカだなお前!俺がここにいんだろ。また一緒につくればいい」「お前じゃなきゃ駄目なんだよ。アトムに来いよ」など、もはやそれはプロポーズでは?というセリフを繰り出す。

ほかにも那由他が珍しく自分の意見を引っ込めようとすれば隼人が「俺が我慢できないんだからお前ができるわけねぇよ」「いつもホームラン狙いで思いっきり全力でバット振るような奴がさ、なんでそれでいいとか言うんだよ」「お前の超絶わがまま、俺がとことん付き合ってやるよ」と声をかける。結局はある意味相思相愛な親友同士で熱い。人生を共にする覚悟が二人ともある。

松下の演じる役の中では、いい意味でのガキっぽさというか少年らしさを感じられるあたりもいいなと思う。

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「合理的にあり得ない 〜探偵・上水流涼子の解明〜」貴山伸彦

(C)カンテレ

「合理的にあり得ない」では主人公・上水流涼子(天海祐希)の相棒となる貴山(たかやま)伸彦を演じた。

IQ140でさまざまな分野に詳しい一方で、女性が苦手・センスがないのが弱点。そして素性が知れない謎に包まれた部分もある。大胆で武闘派な涼子と冷静で頭脳派な貴山の、「アトムの童」とはまた違った凸凹コンビっぷりがよかった。2人が毎回斬新な方法で事件を解決し、敵を追い込むさまは、まさに“痛快エンターテインメント”だ。

コミカルなテイストの作品だが高山の秘密が明らかになっていき、特に後半は感情を揺さぶられるようなシリアスなシーンも多い。時には涙し、時には手に汗を握るような展開で釘付けになってしまう。さまざまな松下洸平、彼の演技力を楽しめる作品だ。

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「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」九条蓮

©Nippon Television Network Corporation

「私も九条蓮と結婚したかった!」「九条蓮みたいな夫がほしい」と視聴者を沼に落としまくったに違いないのが「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」の役だ。

まず“九条蓮”という名前からしていい。蓮は高校の教師である主人公・九条里奈(松岡茉優)の夫だが、元々は里奈に突然離婚届を突きつけてきて離婚してしまう相手だった。

「せっかく出てきたけど離婚する相手だったらもう見られないのか……」と残念に思ったのも束の間、このドラマは生徒の卒業式の日、学校で何者かに突き落とされて命を落とした里奈が“二度目の人生”を生きることになる物語だった。1回目の人生をやり直して結果を変えたかった里奈が行動することによって、蓮との関係も変化。結果、蓮は最終回までがっつり出てくる登場人物となった。おめでとう私たち。



学校での物語が中心ではあるものの、里奈を励まし、2度目の人生という話も疑わずに受け止めてくれる。回を増すごとに“九条蓮”を松下洸平が演じる必然性を感じた。さらに里奈とのやり取りで蓮が語る言葉、その言い方がいちいち素敵なのだ。


1度目の人生では蓮に頼ることができなかった里奈に「俺が里奈のつらいこと全部聞くから言ってほしい、てか、言え」とか、2度目の人生でも死を免れられないではと覚悟する里奈に「未来の話をそんな顔をして聞くな」とか、本当に本当にいい。

彼の作った食べ物や最終回での行動など、素晴らしいシーンばかりなので、まだ観ていない方はぜひ観てほしい。

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「いちばんすきな花」春木椿

©︎フジテレビ

家まで買ったのに、結婚を前にして婚約者に振られてしまう不憫な男・椿。友達に関しても「みんなのいい人にはなれるのに誰かの1番にはなれない」という、何とも切なさがぬぐえないキャラだ。

序盤は婚約指輪を庭に埋め「オクサマ」と書いたアイスの棒を立てて手を合わせたり、他の人の言葉に対してブツブツ自分の悲劇をつぶやいたりとややエキセントリックな行動が目立ち、「これは珍しく『この人はちょっと……』という役になるのだろうか?」と思ったが、椿もどんどん魅力が滲んでくる役だった。

松下洸平という人は、どんな役でも観る人を惹きつけてしまうのだからずるい。


言葉のチョイスが独特でゆくえ(多部未華子)や夜々(今田美桜)にいじられるなど、妙なかわいさがある。個人的に、ゆくえ・夜々・紅葉(神尾楓珠)が家に来ているときに別れた婚約者の純恋(臼田あさ美)がやってきた際の「上で遊んでなさい」がツボだった。(実際は3人とも階段の途中で聞き耳を立てているのだが)

そして、なんといっても押し付けがましくない、さりげない優しさに観ているこちらも救われる。椿の花言葉のひとつが「控えめな優しさ」だと聞いて、ぴったりだと思った。

潜入捜査官 松下洸平:松下洸平



TVer初・在京民放5局のバラエティ番組が制作協力という、かつてない作品に松下洸平本人役として主演。

「俳優・松下洸平は、実は警視庁の潜入捜査官だった」という驚きの設定である一方で、検索すれば実際の彼の画像が出てくるなど、実際の本人に忠実な部分も多く、制作協力したバラエティ番組に出るシーンが実際に出てくる(そして実際にそれらの番組に出演している)ので、事実とフィクションが溶け合っていく感じにじわじわくる。

どちらかというと遅咲きな彼を「売れすぎないようにしろ」と上司たちに言われたからという絶妙な設定にしているのもおもしろい。

潜入捜査官に選んだ理由を「ギリギリ芸能界に入れそう、日の目を見ることが決してなさそうなルックス」と言っていたのにもかかわらず、意に反して売れてしまったことについて「そういう塩顔がブームになるとは思わなかったんだよ」(日の目を見ることがなさそうなんてことは全然ないが)、朝ドラきっかけでブレイクしたことに対して「すべてスカーレットのせい」「スカーレットさえなければ」といまいましそうに言うシーンには笑ってしまった。

潜入捜査官として追う相手が俳優でありながら長年マフィアと関わっているという設定の佐藤浩市(こちらも本人役)、ヒロイン役が「やんごとなき一族」で妹役だった馬場ふみかなど、俳優たちとの関わりにも注目だ。アクションシーンもしっかりとあり、強いのも見どころだ。

佐藤浩市との掛け合いには熱いものがあったし、潜入捜査官という設定の作品ながら、俳優・松下洸平の今後がより楽しみになった。

この取り組みで主演に選ばれることのすごさや、“松下洸平”という人間そのものが制作陣にも愛されていることを感じた。

“松下洸平が演じる必然性”にこれからも期待

2021年に彼に関する記事を書いた際に「新しい松下洸平を観るたび、もっと好きになってしまう気がする」と書いたが、本当にその通りになった。

あらためて振り返ってみて、どの役も結果として「松下洸平が演じる必然性」があったと感じさせられる役ばかりだ。そのような役でオファーされるためかもしれないが、彼の演技や演じているときでも透けて見える人間性が、役をより魅力的に見せているのかもしれない。

2024年は、大河ドラマ「光る君へ」に宋の見習い医師・周明(ヂョウミン)役として出演することが決まっている松下。これから演じる役にも、期待が募るばかりだ。

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(文:ぐみ)

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