「ブギウギ」五木はやっぱり悪い人だったのか<第59回>


「木俣冬の続・朝ドライフ」連載一覧はこちら

2023年10月2日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「ブギウギ」。

「東京ブギウギ」や「買物ブギー」で知られる昭和の大スター歌手・笠置シヅ子をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。歌って踊るのが大好きで、戦後の日本を照らす“ブギの女王”となっていく主人公・福来スズ子を趣里が演じる。

ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第59回を紐解いていく。

[※本記事は広告リンクを含みます。]

▶︎「ブギウギ」画像を全て見る

「ブギウギ」をU-NEXTで視聴する

五木アウト、山下達夫イン

長野に巡業に出たスズ子(趣里)
そこには、五木(村上新悟)を「父ちゃん」と呼ぶ少年(三平)が……。
その母親ナツは、各港に女あり、の五木の女性のひとりなのでしょうか。

ナツに五木は、スズ子を育てていくと大風呂敷を広げていることがわかります。
「子供も日本各地にいるのかねえ」と、楽団員たちも、ちょっと批判的です。

五木は、第58回で、「俺だって食わせなきゃいけない相手……」とスズ子に言いかけていました。それがこの女性と子供なのかーー。

五木がナツにお金を渡しているところを目撃するスズ子。

三平は五木の子供ではないけれど、五木はナツと三平のことが大事なようで、各地の女性と縁を切ったとスズ子に語ります。

五木はどこまで本当のことを言ってるのか、ちょっとわかりません。
こういうとき、じつは、各地に女性がいる、というのは冗談と言いそうなものなのに。そこは撤回しないのです。

スズ子は、五木が、本当の子供じゃない三平に情を抱いていると知って、たぶん、自分の家庭のことを考えたのではないでしょうか。お金をいくばくか支援すると申し出ます。

もともと、スズ子がこの楽団を作ったのだから、彼女が楽団員を食べさせないといけないような気もしますから(茨田りつ子はそうしているような気がするので)、当然の配慮かもしれません。スズ子が、楽団の経営事情をあんまり考えてない感じがしますが、まあ、よく、芸能人が、マネージャーにいっさいを任せていて、お金を持ち逃げされる事件もあるようですから。

五木も、置き手紙を残し、お金を持ち逃げして、ナツと三郎と3人でどこかに行ってしまいました。

朝ドラ名物 展開早い。であります。

ナツと三平が突然出てきて、突然、五木と去っていく。びっくりです。

ナツの夫は戦争で亡くなって苦労して、五木がほっとけなくなってしまったという事情で、それは戦時中、みんな貧しくて困っている一例、そして、スズ子も五木も、こんなご時世に、愛だの恋だの言ってる愚かな、でもすてきな人たちという部分を、このパートが担っているようですが、あまりに駆け足じゃないでしょうか。

これが一時間ドラマのワンエピソードだったら、もうすこし、五木とナツと三平のドラマが描けたでしょうけれど。なにしろ15分ですから…。

五木がいなくなった代わりに、新キャラも出てきます。

愛助(水上恒司)が、スズ子の役に立ちたいと、新たなマネージャーを紹介します。愛助の爺やだった山下達夫(近藤芳正)です。

近藤芳正さんは、朝ドラ常連。「ブギウギ」で8作めであります。

山下は愛助の父代わりで、小さい頃から甘やかして育ててことがよくわかる、ふたりの会話が楽しそうでした。駆け足でも長い歴史を、演技で感じさせることも可能であるということです。近藤さん、さすがであります。

村山興業の敏腕社員だったらしき山下に、愛助がこっそりスズ子のマネージャーを頼むことで、トミ(小雪)の怒りが爆発。いよいよ、トミが、スズ子と愛助の前に立ちはだかるか。

ところで。結婚については愛助はまだ考えてないという言葉に、スズ子が若干、微妙な反応だったように見えました。30歳過ぎたスズ子には結婚が視野にあるけれど、そこが9歳差、まだ学生の愛助との温度差でしょうか。

(文:木俣冬)

“朝ドラあるある”満載!「朝ドラ辞典」を見る


木俣冬著「ネットと朝ドラ」、現在好評発売中

「ブギウギ」をU-NEXTで視聴する

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

(C)NHK

RANKING

SPONSORD

PICK UP!