「ブギウギ」小夜ちゃん、米兵についていくのは無防備過ぎる<第70回>
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2023年10月2日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「ブギウギ」。
「東京ブギウギ」や「買物ブギー」で知られる昭和の大スター歌手・笠置シヅ子をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。歌って踊るのが大好きで、戦後の日本を照らす“ブギの女王”となっていく主人公・福来スズ子を趣里が演じる。
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第70回を紐解いていく。
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「もう我慢できへん」
茨田りつ子(菊地凛子)が歌い終わり、次はスズ子(趣里)の番。長らく、動かずに歌わせられていたので、むずむずして、「もう我慢できへん」と爆発的に「ラッパと娘」を歌い踊ります。客席も大盛り上がり。
カメラがラフなアングルで撮影し、躍動感を表します。スズ子をぐっと煽った画に勢いがありました。
福来スズ子とその楽団たちは、演奏のとき、すごくいい表情をしているので、曲の良さが感じられます。
一井(陰山泰)はやっぱり渋くて洒落た感じがあって、二村(えなりかずき)は一瞬の決めの表情の付け方の勘が抜群にいい。
三谷(国木田かっぱ)はいつも背後から優しくスズ子を見ながら弾いていて、安心感があります。四条(伊藤えん魔)は演劇活動のほかにバンド活動もしているから、音楽に乗ってる感じにリアリティーがあります。弦楽器をやっているようなのですが、役ではドラム。スティック回しが華麗です。
この最高の演奏を羽鳥(草彅剛)が客席から立って見ています。公演終了後は、スズ子とりつ子の楽屋に駆けつけました。
上海で銃を突きつけられて、どうなったのかと心配でしたが、なんとか助かったようです。
そのへんの話はスピンオフ「羽鳥善一の華麗なる冒険」みたいなものをぜひ制作していただきたいです。
麻里(市川実和子)と子どもたちも自宅も無事でした。麻里さんはもうひとり赤ん坊も生まれていました。戦争中、夫がいなくて、出産して……とさぞ大変でしたでしょう。そんなとき、スズ子は愛助(水上恒司)のことばかり考えていたんですね。戦時中は皆、自分のことだけでせいいっぱい、半径1メートルくらいのことしか考えられなかったのかもしれません。
客席には愛助もいましたが、彼は楽屋には来ません。秘密の交際だからでしょうか。
スズ子が帰宅すると、玄関に正座して待っていて、彼女のパフォーマンスを絶賛します。
妻が三つ指ついて待っている、というのとは逆パターンです。
音楽のある楽しい日常が戻って来ました。でも、街には米兵がうろついていて、戦争以前とは少し違います。小夜(富田望生)は、英語を勉強中。宝くじは外れてしまいましたが、
たばこと替えてもらって、宝くじを一枚買ってくれたサム・ブラウン(ジャック・ケネディ)にお返しします。意地汚い小夜にしては、義理と人情のある行為です。
サムはお礼のお礼に(?)小夜を食事に誘います。意地汚い小夜ですから、食べ物と聞いたら、尻尾を振ってついていきます。あんなに、男は最初のうちはやさしいがすぐに変わるとか言っていたのに。こんなふうに目先の欲望に流されやすいからひどい目にあってきたのでしょう。
サムが日本人女性を騙してひどいことをする人かはわかりません。いまのところはいい人のように見えています。
「バッド・ラック!」 小夜は「グッド・ラック」を間違えて覚えているみたいです。BAD ENDになりませんように。
(文:木俣冬)
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