続・朝ドライフ

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2024年02月12日

「ブギウギ」タイ子(藤間爽子)の荒んだ生活が心配<第92回>

「ブギウギ」タイ子(藤間爽子)の荒んだ生活が心配<第92回>


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2023年10月2日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「ブギウギ」。

「東京ブギウギ」や「買物ブギー」で知られる昭和の大スター歌手・笠置シヅ子をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。歌って踊るのが大好きで、戦後の日本を照らす“ブギの女王”となっていく主人公・福来スズ子を趣里が演じる。

ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第92回を紐解いていく。

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戦争に負けた弊害

第20週「ワテかて必死や」(脚本:櫻井剛)には第91回でちらっと顔を出したタイ子(藤間爽子)が本格的に再登場しました。タイ子は大阪時代、スズ子(趣里)の幼馴染。芸者さんの娘で、結婚、妊娠して東京に行きましたが、スズ子と連絡をとっていたかは不明です。

スズ子は「東京ブギウギ」が、”戦後の混乱のなか先行きの見えない”人々を励まして大ヒット。”ブギの女王”の異名で、大スターの道を歩んでいました。

愛子は楽屋で山下(近藤芳正)が面倒を見ていて、ステージが終わるとスズ子は一目散に楽屋で待っている愛子のもとへと向かいます。

人気が高いいま、もう一曲出して、さらに盛り上げていこうと、羽鳥(草彅剛)に頼んでいるところですが、彼もまた「東京ブギウギ」が大ヒットしたため、仕事の依頼が引きも切らず、スズ子の新曲に手が回らなくなっていました。

みんなに「信じてお待ち下さい」とだけ言い続けるしかなく、山下に「信じて!」(間)「お待ち下さい(にっこり)」という草彅さんの話し方が面白かった。

スズ子の人気は、もちろん、天才作曲家・羽鳥の力と、スズ子の歌と踊りの魅力によるものではあるのですが、どうやら雑誌「真相婦人」の記事が人々の関心を煽っているようでもありました。

スズ子が妊娠して「ジャズカルメン」を演じていた頃から周囲をうろつき「腹ボテカルメン」と記事を書いた鮫島(みのすけ)が最近も、「コブ付き」と記事を書き、それが、新しい女性の生き方として評判を呼んでいたのでした。

大げさに誇張し、虚偽も曖昧な、俗っぽい記事は、書かれた当人としてはこんな書き方はいかがなものかと思うものですが、これによって一層多くの人たちの興味を引くことも事実。マスコミとスターはある種、持ちつ持たれつのような関係であることは、いまも昔も変わらないようです。

鮫島は、戦争に負けた弊害が噴出していて、夜の街に、パンパンと呼ばれる街娼たちが存在することを懸念し、スズ子に意見を求めます。

スズ子は「どないな事情があるかわからへんのに良いも悪いも言えまへん」「生きるためにしてることを他人がとやかく言えまへん」等と答えますが、書かれた記事を読んだ、ラクチョウのおミネ(田中麗奈)が勢いよく楽屋に乗り込んできました。何をそんなに憤慨しているのでしょうか。田中麗奈さんの振り切った演技に迫力があって、場が引き締まりました。

戦争による弊害――といえば、靴磨きの少年が街にいることも、そのひとつでしょう。
少年・達彦(蒼昴)は稼ぎを増やすために、道に水たまりを作って、お客を罠にかけようとします。少年がこんなズルをするようになるのも、戦争で貧しい生活を強いられているから。

そして、この少年が実はタイ子の息子であることを、スズ子はまだ気づいていません。タイ子は病に伏せっていて、代わりに達夫が懸命に働いているようです。
タイ子は息子が口ずさむ「東京ブギウギ」を「その歌嫌いなの」と強く拒否。スズ子の歌だと知っての言動なのでしょうか。
あんなに明るく輝いていたタイ子がすっかり荒んだ姿になっていて、心配です。

先週から戦後復興編(?)の趣が加わりました。が、なんだか唐突に、困窮している人たちが出てきたり、困窮している人たちがスズ子の歌で救われることがナレーションで説明されていたりして、おばちゃんである筆者は惜しい感じがしています。が、民衆を描けないのは、いまにはじまったことではなく、現代的な表現の変化あるいは進化とも言えるでしょう。

(文:木俣冬)

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