「おむすび」言語聴覚士・杉沢(犬飼貴丈)の裏設定とは【96回】

続・朝ドライフ

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2024年9月30日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「おむすび」。

平成“ど真ん中”の、2004年(平成16年)。ヒロイン・米田結(よねだ・ゆい)は、福岡・糸島で両親や祖父母と共に暮らしていた。「何事もない平和な日々こそ一番」と思って生きてきた結。しかし、地元で伝説と化した姉の存在や、謎のギャル軍団、甲子園を目指す野球青年など、個性的な面々にほん弄されていく。そんな仲間との濃密な時間の中、次第に結は気づいていく。「人生を思いきり楽しんでいいんだ」ということを――。
青春時代を謳歌した自然豊かな糸島、そして阪神・淡路大震災で被災するまでの幼少期を過ごした神戸。ふたつの土地での経験を通じて、食と栄養に関心を持った結は、あることをきっかけに“人のために役立つ喜び”に目覚める。そして目指したのは“栄養士”だった。
「人は食で作られる。食で未来を変えてゆく。」 はじめは、愛する家族や仲間という身近な存在のために。そして、仕事で巡りあった人たちのために。さらには、全国に住む私たちの幸せへと、その活動の範囲を広げていく。

ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。
今回は、第96回を紐解いていく。

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「コーヒーを自分でいれて飲む」杉沢

聖人(北村有起哉)の胃の調子が心配な第20週「生きるって何なん?」(演出:松木健祐)のはじまり。結(橋本環奈)は担当していた八重ちゃんに膵臓の腫瘍がみつかって心配。自分には経験も知識も足りないと反省していると、塚本(濱田マリ)は「この仕事に絶対に慣れないこと」と説きます。

結が管理栄養士になって4年という設定は、この展開には絶妙。3年くらいやると自信がついてきて慣れが出てしまいます。結のこれまでの態度ーー妙に患者さんと馴れ合っている感じ(タメ口とか)、やたらと問題に首を突っ込む感じ、居酒屋で知識披露しすぎちゃう感じなどは、そのせいだったのかなという気がします。新人ゆえの失敗はドラマにありがちだし、ベテラン過ぎて失敗するキャラも痛いし、3年過ぎたあたりの人の物語は興味深いです。

八重ちゃんの夫は結を非難しますが、八重は結を信頼しています。でもなんだか食事が食べにくい。
言語聴覚士・杉沢(犬飼貴丈)が診ると、痩せて義歯が合わなくなって食べにくいことがわかりました。東日本大震災の避難所に入れ歯を流されて食事が採りにくい人物がいました。そして再び、歯の問題で食事が採りにくい人物が。義歯問題は朝ドラを見ている高齢者にとって共感ポイントなのでしょうか。

今日は、杉沢を演じる犬飼貴丈さんのコメントをご紹介しましょう。

想像の余地があるキャラクター
Q1 出演が決まったときの気持ちは?

もともと『おむすび』の 1 人の視聴者として、ギャルを全面に押し出しているのが斬新だなと感じながら楽しく見ていました。そんな話題の朝ドラにまさか自分が関わるとは思っていませんでしたが、出演のお話をいただいて素直にうれしかったです。朝ドラは「なつぞら」以来約 5 年ぶりで、帰ってこられた感じもうれしいです。今回は大阪での撮影というのも、純粋にすごく楽しみでした。撮影現場の温かさは東京も大阪も同じですが、大阪は音的ににぎやかですね。こんなにしゃべるんだ、と(笑)。僕は四国出身なので、すごくリラックスして入れました。それから、この作品に出ているからか、おむすびをよく食べるようになっています(笑)。関西と関東のコンビニおむすびの味の違いを楽しみながら、仕事でもプライベートでもおむすびが身近になっています。


Q2 演じる役・杉沢聡について

言語聴覚士は今回初めて聞いた職業で、調べてみると飲み込みや言葉にフォーカスした仕事だとわかりました。

病院で働いている方って笑顔で明るくて優しいイメージがあるので、杉沢として少しでも患者さんの不安を取り除いてあげられるような話し方や表情を意識しています。杉沢のプライベートに関してはプロデューサーさんからいただいたメモがあり、「服装の通りロックが好き」「コーヒーを自分でいれて飲む」「言語聴覚士になった理由」など、本編には出てこないバックボーンが細かく書かれているので、役作りの面ですごく助かりました。僕自身も学生の時にバンドを経験しているのですが、ロック好きの役ははじめてなので、杉沢には親近感やリンクしやすさを感じます。病院勤務だから髪を短く切るのかなと思っていましたが、監督が病院を視察したときに髪が長い言語聴覚士さんもいたそうで、このままになりました。そんな今っぽさにも気づいてもらえたらいいですね。杉沢は髪を結ぶためのヘアゴムを絶対に左手首に付けているんですよ。くくるときもあるんだろうなとか、想像の余地があるキャラクターなので、そんな楽しみ方もしながら見てほしいです。


Q3 NST メンバーの雰囲気は

なんかもう、あのままの感じで(笑)。みんな配役がぴったりなんです。カメラが回ってないところでも NST があのままいるような感じです。初共演の方が多いのですが、初めましてじゃないぐらい溶け込みやすかったですね。結役の橋本環奈さんは現場を引っ張っていってくれる存在。誰に対してもフランクに接する姿が結そのままです。意図してか、意図せずしてか、途中から参加する僕らもスッと入っていける環境作りをしてくれてるんだろうなと感じます。


Q4 視聴者へのメッセージと見どころ

僕自身、管理栄養士さんと密に関わった経験がなく、カロリー計算や献立を組んでくれる人というイメージでしたが、結が一人一人に丁寧に寄り添ってその人のことを思いながら献立を考えているのを知って、すごくすてきな職業だなと感じました。新淀川記念病院に来るいろんな患者さんには、当たり前ですけれど一人一人に「こんな性格でこんな風に生きてきた」という人生があり、その人生のターニングポイントに杉沢や医療現場で働く人たちが関わっているんだなということにも気付かされました。そして、その人の人生がちょっとでもいい方向へ向くように何かしていくのが、杉沢たちの仕事。病気を治すどうこうではなく、最終的には「人」と「人」なんだなと思います。だからこそ結がこれまで培ってきたことが、この病院編で患者さんに影響を与えていきます。人と人がつながって輪になっていくところや、愉快な NST の仲間たちとの関係をぜひ楽しんでご覧ください。

「病院勤務だから髪を短く切るのかなと思っていましたが、監督が病院を視察したときに髪が長い言語聴覚士さんもいたそうで、このままになりました。そんな今っぽさにも気づいてもらえたらいいですね。杉沢は髪を結ぶためのヘアゴムを絶対に左手首に付けているんですよ」という犬飼さん。出番が少ないながら工夫しているんですね。こういうコメントを読むと応援したくなります。

さて、第96回。幸子(酒井若菜)が突然米田家にやってきて、わやわやしたまま「つづく」になりました。これって第73回の「そっか」で感じた、え、ここでおわり?感。同じかたが演出しているのかと思ったら違いました。これは配信で続けて見る人を視野に入れたものでしょうか。

(文:木俣冬)

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–{「おむすび」第20週あらすじ}–

「おむすび」第20週あらすじ

第20週 「生きるって何なん?」(2/17-2/21)


胃の調子が悪い聖人は、精密検査が必要となり胃カメラの検査を受けることに。結は、実家で聖人から胃がんについて質問され、心配になる。そんなある日、聖人が理容店の休憩時間に外に出たまま帰ってこなくなる。

聖人は歩の仕事ぶりを見るため、歩が勤めている古着店に来ていた。するとそこに神戸に帰ってきた渡辺孝雄(緒形直人)も来て、元気がない聖人をどうにかしようと街へ誘う。一方、家で心配しながら待つ愛子たち。遅くに帰ってきた聖人は、愛子から本気で頭にきたと言われてしまう。

–{「おむすび」作品情報}–

「おむすび」作品情報

放送予定
2024年9月30日(月)より放送開始

出演
米田結(よねだ・ゆい)/ 橋本環奈
『おむすび』の主人公。平成元年生まれ。 自然豊かな福岡県・糸島で、農業を営む家族と暮らしている。 あることがきっかけで、人々の健康を支える栄養士を志すようになる。

【結の家族・米田家の人々】

米田歩(よねだ・あゆみ)/ 仲里依紗
主人公・結の8つ年上の姉。
福岡で“伝説のギャル”として知られる。 奔放な振る舞いで米田家に波乱を巻き起こすが、ギャルになった裏にはある秘密が…。
主人公・結の父。 娘のことが心配でしょうがない、真面目な性格。 奔放な父の永吉とは言い争うこともしばしば。 元理容師。今は糸島で農業にいそしんでいる。

米田聖人(よねだ・まさと)/ 北村有起哉
主人公・結の父。
娘のことが心配でしょうがない、真面目な性格。 奔放な父の永吉とは言い争うこともしばしば。 元理容師。今は糸島で農業にいそしんでいる。

米田愛子(よねだ・あいこ)/ 麻生久美子
主人公・結の母。
結の祖母・佳代と家事をしながら、聖人の営む農業を支えている。 絵を描くのが得意。

米田永吉(よねだ・えいきち)/ 松平健
主人公・結の祖父。
野球のホークスファンで、自由奔放な“のぼせもん”。 困っている人がいたら放っておけない、情に厚い性格。

米田佳代(よねだ・かよ)/ 宮崎美子
主人公・結の祖母。
古くから伝わる先人たちの知恵に明るく、結が困った時の良きアドバイザーでもある。

【福岡・糸島の人々】

四ツ木翔也(よつぎ・しょうや)/ 佐野勇斗
福岡西高校に野球留学中の高校球児。
四ツ木という姓と眼鏡姿から「福西のヨン様」と呼ばれている。 糸島に練習場があり、結と時々出くわす。栃木県出身。

古賀陽太(こが・ようた)/ 菅生新樹
結の幼なじみで高校のクラスメイト。野球部員。
父は糸島の漁師だが家業を継ぐ気はなく、IT業界を目指している。 ある約束により、結のことを何かと気にかけている。

風見亮介(かざみ・りょうすけ)/ 松本怜生
書道部の先輩。
結にとって憧れの存在。 書道のイメージを一新するような書家を志している。

宮崎恵美(みやざき・えみ)/ 中村守里
結のクラスメイトであり、高校での最初の友達。
結を熱心に書道部へと誘う。 派手なギャルが苦手。

真島瑠梨(ましま・るり)<ルーリー>/ みりちゃむ
結の姉・歩が結成した「博多ギャル連合」(略してハギャレン)の、現在の総代表。
ハギャレンの復興を目指している。

佐藤珠子(さとう・たまこ)<タマッチ>/ 谷藤海咲
ハギャレンのメンバー。
子どものころからダンス好きで、ハギャレンではパラパラの振付を担当。 筋が通らないことを良しとしない、一本気タイプ。

田中鈴音(たなか・すずね)<スズリン>/ 岡本夏美
ハギャレンのメンバー。
結と同い年で、いつもスナック菓子を食べている。 手先が器用で、ネイルチップ作りが趣味。

柚木理沙(ゆずき・りさ)<リサポン>/ 田村芽実
結のクラスメイト。
学校では校則を守るおとなしい女子高生だが、実は隠れギャル&ハギャレンメンバーでもある。ギャルの歴史を本にすることが夢。

ひみこ / 池畑慎之介
糸島の「スナックひみこ」の店主。
年齢、性別、経歴、すべてが不詳の謎の人物。 糸島の住人一人一人の事情をなぜか把握している。

草野誠也(くさの・せいや)/ 原口あきまさ
糸島の商店街で陶器店を営んでいる。
ホークスの大ファン。

古賀武志(こが・たけし)/ ゴリけん
結の幼なじみ・陽太(ようた)の父親。
糸島で漁師をしている。

大村伸介(おおむら・しんすけ)/ 斉藤優(パラシュート部隊)
糸島の商店街で薬店を営んでいる。
ホークスの大ファン。

井出康平(いで・こうへい)/ 須田邦裕
結の父・聖人(まさと)の幼なじみ。
糸島の農業を何とかしたいと日々奮闘している。

佐々木佑馬(ささき・ゆうま)/ 一ノ瀬ワタル
結の姉・歩と行動を共にする“自称・米田歩のマネージャー”。

大河内明日香(おおこうち・あすか)/ 寺本莉緒
結の姉・歩と対立していた、元天神乙女会のギャル。

飯塚恭介(いいづか・きょうすけ)/ BUTCH
福岡県博多のカフェバー「HeavenGod」の店長。


根本ノンジ

音楽
堤博明

主題歌
B’z「イルミネーション」

ロゴデザイン
大島慶一郎

語り
リリー・フランキー

制作統括

宇佐川隆史、真鍋 斎

プロデューサー
管原 浩

公式サイト

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