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2024年02月24日

『ソウルメイト』リメイク元『ソウルメイト/七月と安生』との違いとは?

『ソウルメイト』リメイク元『ソウルメイト/七月と安生』との違いとは?

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ミン・ヨングン監督がメガホンをとり、キム・ダミを主演に迎えた『ソウルメイト』が、2月23日(金・祝)より新宿ピカデリー他にて公開中だ。

ミソ(キム・ダミ)とハウン(チョン・ソニ)は、小学生からの大親友。絵を描くのが好きな2人は、性格も価値観も育ってきた環境も違うが、大切な存在だった。しかし、ジヌ(ピョン・ウソク)との出会いが二人の運命を大きく変えていく。想い合いながらもすれ違い、疎遠になっていた16年目のある日、ハウンはミソに“ある秘密”を残して忽然と姿を消してしまう。

思いもよらない壮絶な半生が紐解かれるとき、涙なしでは観られない“2人だけの秘密”が明らかになる―。

リメイク元は『ソウルメイト/七月と安生』



いつの時代も色褪せることのない至極の感涙ドラマが話題を呼び、多くの観客の心を掴んだ本作、リメイク元となるのは、デレク・ツァンによる単独監督デビュー作『ソウルメイト/七月と安生』。

デレク監督といえば、『少年の君』が第93回アカデミー賞国際⻑編映画賞にノミネートされ、ヒットメーカーのエドガー・ライト監督をして「本作のノミネートが心から嬉しい」と言わしめた、今世界中から注目を集める新進気鋭の監督だ。

デビュー作にして傑作との呼声が高い同作品を再構築しリメイクしたのが、2010 年に『短い記憶』で第36回ソウル独立映画祭3冠、第15回釜山国際映画祭監督賞を受賞し、華々しいデビューを飾ったミン・ヨングン監督。

出会った瞬間に強い繋がりを感じたミソとハウンの半生を描き、実写映画として韓国興行収入ランキング初登場1位(2023.3.16-3.19 BOX OFFICE MOJO 調べ)を記録するなど、大いに反響を集めた。

『ソウルメイト』オリジナル版との違いや魅力


中国・香港の合作で制作されたオリジナル版を韓国でリメイクするにあたりヨングン監督は、物理的には近いが心理的な面ではお互いを懐かしむ場所にする必要があると考え、済州島とソウルを新たな物語の舞台にチョイス。

両作品には細かな違いはあるものの、オリジナル版への愛が十分に込められているからこそ、リメイクされた本作も劣らないほどの傑作に仕上がっていると明言するのは、映画評論家の松崎健夫。

たとえば、オリジナル版の冒頭では、幼なじみの女性二人の友情を綴ったインターネット小説が物語を動かすきっかけとして登場する一方、本作の冒頭で登場するのはハウンが描いたミソの似顔絵。


本作ではモチーフを絵に変えたことに対し、松崎健夫は「本作は心情を言葉で伝えるよりも、“視線”で表現するシーンが多く、その分切ない気持ちを増幅させる作品だと思います。あれだけ写実的な絵が描けるのは、相手を隅から隅までよく見ていたということの表れ。“絵”という要素を加えたことで、オリジナル版にも劣らない魅力を与えていると思います」と解説する。

さらに物語の中盤で描かれる、ミソとハウン、ジヌの3人が遊びに出かけた帰り道のシーンでも細かな違いが。

オリジナル版の同シーンでは、主人公・安生(チョウ・ドンユイ)が親友・七月(マー・スーチュン)と家明(トビー・リー)をバスに乗せ、自身は自転車で後を追いかけるように走る姿が描かれているのに対し、本作ではスクーターで先を走るミソの後ろ姿を見つめるハウン、というように見せ方に変化を持たせている。


このシーンの表現について絶賛するのは、映画活動家/放送作家の松崎まこと。「このような違いによって、登場人物同士の関係性のような部分をより際立たせているのは、本作の方だと思います。オリジナル版が素晴らしい分、上手くこのような描写を引き出すことができたのかもしれないですよね。リメイク元からの変更点がことごとく成功しているのは珍しい」と熱弁している。

岩井俊二監督作品からの影響



本作を称賛する両者は、岩井俊二監督作品からの影響についても言及する。デレク・ツァン監督は岩井俊二が好きだと公言しており、オリジナル版でも『Love Letter』のオマージュと思われるシーンが登場している。

また、岩井監督の『Love Letter』(95)は、韓国で初めて大ヒットを記録した日本映画として知られており、本作でメガホンを取ったミン・ヨングン監督も岩井俊二ファンを公言。


松崎まことは「岩井監督の作品といえば、『Love Letter』や『花とアリス』など、二人の女性をヒロインにした作品が多いですよね。いわゆる“シスターフッド映画”の走りと言われているところもありますが、これらの作品が韓国映画にもすごく影響を与えていて、この作品でも同様だと思います」と分析する。

ミン・ヨングン監督自身もオフィシャルインタビューで、「90年代半ば頃、韓国で日本映画が初めて解禁になりました。その当時、岩井監督の『Love Letter』が知られていましたが、この作品を機に私も日本映画に興味を持つようになりました。日本人監督たちの感情表現は、僕と好みが合うように感じます」と明かしている。


岩井俊二監督作品ほか、日本映画から影響を受けたエッセンスも散りばめながら、オリジナル版『ソウルメイト/七月と安生』にも劣らない魅力を放つ傑作に仕上がった映画『ソウルメイト』。

オリジナル版もぜひチェックの上、本作を何度でも楽しんでほしい。

『ソウルメイト』作品情報

ストーリー
公募展で大賞に選ばれた「作者・ハウン」という記載だけで応募された絵画。そこに描かれていたのは、高校生のミソだ。ギャラリーの担当者から、ハウンとコンタクトを取りたいと連絡を受けたミソだが、ハウンとは幼い頃に遊んだだけの仲だと語る。ハウンのブログにはミソとの深い関係が綴られているにもかかわらず…。

ミソとハウンは小学生からの大親友。性格も価値観も育ってきた環境も正反対だが、唯一の共通点は絵を描くのが好きなことだった。ずっと一緒に生きていくと約束する2人だったが、17歳の夏、ハウンに恋人ジヌができたことで少しずつ気持ちがすれ違っていく。そんな中、ミソは済州島を離れてソウルで暮らすことを決意。

しかし、ソウルでの暮らしは精神的にも肉体的にも過酷だった。生きていくだけで必死な日々を過ごしていたミソだが、ハウンには絵の勉強をしながら旅をしていると嘘の手紙を送っていた。それから5年が経ち、再会を果たした2人は、釜山旅行に出掛ける。久しぶりに2人で過ごす時間に気持ちが昂るも、価値観の違いによって大喧嘩に。

それを機に、疎遠になっていた16年目のある日、ハウンは忽然と姿を消した。2人だけの“秘密”を残して…。

予告編


基本情報
出演:キム・ダミ、チョン・ソニ、ピョン・ウソク

監督:ミン・ヨングン

配給:クロックワークス

公式サイト:https://klockworx-asia.com/soulmatejp/

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