「ブギウギ」トミ(小雪)が結核で亡くなったのは感染したのか<第104回>
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2023年10月2日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「ブギウギ」。
「東京ブギウギ」や「買物ブギー」で知られる昭和の大スター歌手・笠置シヅ子をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。歌って踊るのが大好きで、戦後の日本を照らす“ブギの女王”となっていく主人公・福来スズ子を趣里が演じる。
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第104回を紐解いていく。
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山下爺の辞意
トミ(小雪)が亡くなりました。愛子(小野美音)が生まれてすぐ、スズ子(趣里)を訪ねて来てから、ずっとご無沙汰していたようで、葬儀に愛子を連れて参列したスズ子は、もっとしゃべりたかったと惜しみます。
結核を患っていたようで、トミは会うことを遠慮していたのかもしれません。
結核といえば、愛助(水上恒司)。
トミはマスクもしないで、つきっきりで看病していたので、感染したのかも。
そう思うと、スズ子は丈夫だし、恵まれています。
久しぶりに登場した坂口(黒田有)が、すっかり気の抜けたような表情をしていて、ずっと気を張ってトミに尽くしてきたのだなあと思わせました。「ブギウギ」の収穫のひとつに、黒田有さんの演技力を知ったことがあります。
東京に戻ってきたスズ子に、羽鳥(草彅剛)が新曲「買物ブギ」を届けます。
スズ子が訪ねて来たときに、買い物カゴをぶら下げて、にんじん、ごぼう……と買うものを懸命に記憶しようと繰り返していたことから発想が生まれたのです。
史実では、モデルの服部良一は落語から発想を得たようです。
その歌は、大阪のノリが色濃く、今まで以上に難しい。「ややこし、ややこし」とスズ子は、珍しく、譜面に赤鉛筆でチェックを細かく入れて、練習に励みます。
第103回でタナケン(生瀬勝久)の舞台に賭ける激しい情熱に感化されて、「負けていられない」と言っていたので、その影響かもしれません。いや、これくらいは、皆、いつもやっていることだと思うのですが……。
音楽に関しては筆者は専門ではないのですが、俳優の場合、台本にチェックを細かく入れるのは若い人には多いようです。以前、キネマ旬報で映画に関するインタビューをしたとき、草彅剛さんもはじめの頃は台本に書き込みをしていたらしいです。だんだんそういうことはをしなくなって、その場で感じたことを表現するようになったとか(大意)。
また、沢口靖子さんは台本に付箋がびっしりついているとか。
逆に台本はそのままきれいな人もいるようです。
そういう感じで、人それぞれだし、キャリアがあがると取り組み方も変わっていくことはあるようです。鍛錬の仕方は人それぞれで、大事なのは、常にルーティーンにならないように、新鮮な気持ちで仕事に取り組むことができるように心がけることなのではないでしょうか。
ワンマンショーに向けてはりきるスズ子に、山下(近藤芳正)が辞めると言い出します。トミが亡くなって彼もまた気が抜けてしまったようです。
愛助にべったりでトミに首にされたようですが、トミ、愛助と二代に渡って村山興業に尽くしてきて、自分の仕事はもう終わりと思ったようです。
スズ子に尽くしてきたのも、結局は、村山家への忠誠心だったのかもしれないです。
トミの祭壇の前で、ひとり佇む山下の背中のカットが、山下の長い道のりと、そうして歩んで来た「心の糸が切れた」様を表しているようでした。また、たくさん集まった記者を抑える手際はよくて、山下のキャリアの長さと敏腕さを感じました。
スズ子は必死に止めますが、山下は聞かず、「わしらの時代は終わったんや」「スズさんはこれからの人と仕事をするべきだと思うんです」と言って、若い後継者として柴本タケシ(三浦獠太)を連れてきます。
ところで。この回、お葬式に記者がたくさん押し寄せていました。関西芸能界の大御所・村山トミが亡くなったこと、生前、ひっそりと関わりのあった福来スズ子が葬儀に現れたということで、大注目だったのでしょう。
でも、そこに鮫島(みのすけ)はいません。スズ子をあんなに追いかけていたのに。りつ子(菊地凛子)に「消えなさい」と言われてすごすご消えちゃったのでしょうか。それとも彼は、大勢の記者が集まる場には行かず、個人プレーの記者なのでしょうか。あー気になる。
(文:木俣冬)
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