「虎に翼」シソンヌふたりの弁護対決が迫力<第9回>
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2024年4月1日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「虎に翼」。
日本史上で初めて法曹の世界に飛び込んだ女性をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。困難な時代に生まれながらも仲間たちと切磋琢磨し、日本初の女性弁護士となる“とらこ”こと猪爪寅子を伊藤沙莉が演じる。
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第9回を紐解いていく。
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「自分なりの解釈を得ていくものと言いますか……」
続きが気になって仕方ない!はじめての裁判傍聴でぶち当たった、女性問題。
婚姻状態にある女性は財産の管理も夫に委ねられていて、嫁入りのときに持ってきた母の形見なども自由にできない。それにナットクできない寅子(伊藤沙莉)が女子部でその話をしていると、穂高(小林薫)がみんなで考えてみようと宿題にしました。
張り切って考えようとする寅子とよね(土居志央梨)が図書館で判例集を取り合います。男爵令嬢の桜川涼子(桜井ユキ)と弁護士夫人の大庭梅子(平岩紙)、留学生崔香淑(ハ・ヨンス)も加わって、竹もとで甘味を食べながらみんなで考えることになりました。
梅子のおごりでスイーツ界の淑女・みつまめを食べながら語り合う一同。よねだけひとり席なのはお約束。
お弁当といい甘味といい、最もお金持ちそうな男爵令嬢・涼子がふるまわず、梅子であるのは年功序列なのか、はたまた、お金持ちがおごるとひけらかした感じに映る危険性があるからでしょうか。涼子のおつきの玉ちゃん(羽瀬川なぎ)にまで梅子はごちそうするのです。
令嬢が自分のところの使用人におごってもらって、「お相伴に預かりなさい」と礼儀正しく平然と受け入れているのは、貴族(日本では華族)ってそういうものなのでしょうか。そのへんの身分による感覚の違いに戸惑うのですがこのドラマではそこは主軸ではなくリーガルドラマなので、気にせず先に進みましょう。いや、貴族と庶民の身分制度も男女格差と同じく法律の問題であります。なお、華族制度は昭和22年に廃止されます。
甘味の美味しさに感動する間もなく、寅子たちは判例集やら穂高の著書などを引きながら議論します。そこで、女性がいかにこの時代、不利であるかが語られます。
「諦めたらそれで終わりじゃないですか」とスラムダンクみたいなことを言う寅子。
でも、いろいろ論じたすえ、どうにもならない、着物は取り戻せないという結論に達します。
それでも寅子はあきらめたくない。
勉強は続き、穂高は「いい、実にいい」と満足げ。
1週間後の授業の日、いっそ、みんなで裁判を傍聴するのはどうかと提案し、穂高は「課外授業か」と嬉しそうに許可します。
そのとき梅子、涼子、崔香淑はそれぞれの家庭事情を想います。なんだか意味深。
寅子が民事訴訟法第185条を、
「法律や証拠だけでなく社会 時代 人間を理解して 自由なる心証の下に 判決をくださなければならない」と理解したので、裁判官がどう判決を下すか見に行くと言うのです。
これは優三(仲野太賀)が、第6回で法律とは「自分なりの解釈を得ていくものと言いますか……」と言っていたことに繋がってきます。
寅子はいつもまだるっこしい話し方をします。新聞取材でも前置きをしてそこを切り取られてしまいましたし、よねはせっかちなようで「言い訳はいい。結論だけ伝えろ」と寅子の話し方にいらいらするようです。寅子も、よねも、どちらもこういうタイプいますよね。
よねは法律で決まっているからと潔いのですが、寅子はその決まってるとはいえほかに方法はないかと考えるため、結論を出すことに時間がかかります。いろんな可能性を考えているからです。
家でも、ダイニングと居間の間をうろうろうろうろ行ったり来たりしているところは、彼女のあれやこれや考えてる脳みそが視覚化されています。
裁判当日、ぞろぞろと裁判傍聴にやってくる女学生たち。
笹本(田中要次)は女性ばかりで満席になった傍聴席に面くらいます。
田中裁判長(栗原英雄)と穂高は軽く会釈し合います。知り合いなのでしょう。
東田(遠藤雄弥)側の弁護士(シソンヌ長谷川忍)、峰子(安川まり)の弁護士(シソンヌじろう)はそれぞれの主張を述べます。人情ありそうな弁護士とクールな弁護士の差が鮮やかで、ふたりの滑舌がよく、言葉が粒立ってわかりやすく、その場の緊張感も伝わってきました。
休憩後、判決が出ることになり、固唾をのんで待つ一同。
いつの間にか、桂場(松山ケンイチ)ものぞいています。
裁判長が「主文。」と読み上げたところでつづく。ええーここでつづくだなんて、明日のお楽しみのほうがいいのはわかりつつも、判決聞きたかった!
田中裁判長が、裁判のはじまる前や休憩中に、ものすごく真剣に、いろいろ考えている様子が伝わってきました。責任重大なお仕事です。
(文:木俣冬)
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