続・朝ドライフ

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2024年06月21日

「虎に翼」次週予告で梅子(平岩紙)が再登場<第60回>

「虎に翼」次週予告で梅子(平岩紙)が再登場<第60回>


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2024年4月1日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「虎に翼」。

日本史上で初めて法曹の世界に飛び込んだ女性をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。困難な時代に生まれながらも仲間たちと切磋琢磨し、日本初の女性弁護士となる“とらこ”こと猪爪寅子を伊藤沙莉が演じる。

ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第60回を紐解いていく。

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帰ってきた寿司屋の笹山

亡くなったはる(石田ゆり子)がお骨になって戻ってきました。
猪爪家がお参りしていると、一番うしろにいた道男(和田庵)が謝罪します。あの日の暴挙(に見えたこと)は、猪爪家の家族になりたいという思いからのことであったと。自分の感情を持て余していたけれど、よくよく考えると、夫の代わりではなく子供のひとりになりたかった。父母の愛に恵まれていなかったゆえです。

寅子(伊藤沙莉)は「産んであげることはできないけれど……」と道男を受け入れます。これは花江(森田望智)が言うことなのではとも思いますが、彼女の息子たちの気持ちを思えば寅子でいいのかもしれません。

子供たちも道男を受け入れます。とはいえ、さすがにこのまま道男が家にいることはしっくりこないなあと思って見ていたら、寿司屋の笹山(田中要次)が現れて、道男は寿司屋に住み込みで働くことに。

一人前になったら一番に、猪爪家のみんなに特上寿司を食べさせる、と明るく、道男の話は終わります。寿司は浮浪児たちにまずたらふく食べさせてやってくれ。

このエピソードから得られる教訓は、人生には誤解がつきものだということです。人を見かけで判断してはいけないし、本人すら感情がわからないこともあるものです。だからゆっくりじっくり相手を理解し受け止めていきたい。

そういえば、轟(戸塚純貴)も自分の気持がわかっていませんでした。その轟が、今度はよね(土居志央梨)の気持ちを理解します。

道男の件で相談にきた寅子をよねは執拗に拒絶します。さすがに意地の張りすぎではないかという気もしますが、人生に引き返せなくなってしまうこともあるものです。家事審判所と少年審判所の対立みたいなもので、よねはもう引っ込みがつかないのでしょう。

轟は、寅子が去ったとき心の底から傷ついたから、また関わるのがこわいんだな、とよねの気持ちを代弁します。よねが轟の本音を聞き出し、今度は轟からよね。ときれいに対称になった形です。

簡単に交わらない人間関係。いつか交わるときが来るのを待つしかありません。縁があればまた会える。また繋がることができる。そして、今度はしばらく会っていなかった梅子(平岩紙)と久しぶりに交わる瞬間が来るようです。

さて。この回でいいなあと思った場面は、はるの日記を遺言どおり焼くところです。見ていいのは未来の日記のみ。そこには、10年後までの貯蓄計画が記されていました。

昭和29の寅子の年収150000円 と書いてあり、ずいぶん、期待されていたことを感じ、涙ぐむ寅子。
荼毘に伏す(火葬する)と死者は煙となって空にのぼっていきます。お葬式の場面ではなく、日記を火葬することで、はるの魂が空にのぼっていくところを、寅子と花江が見届ける。炎のおれんじ色は夕焼けのようにどこか郷愁を誘います。とてもいいシーンでした。

さて。週刊朝日編「戦後値段史年表」を紐解いてみると、昭和33年の総理大臣の給料が150000円なので寅子は10ヶ月で総理大臣の1ヶ月分稼ぐということになります(あくまではるの妄想)。
また、はるの予想では賞与は15000円。昭和28年の国家公務員の賞与が15300円とありますので、こことほぼ合致しています。


(文:木俣冬)

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