<7月公開>必見の“韓国映画”をチェック!
2020年『パラサイト 半地下の家族』がアカデミー賞で非英語作品として初の作品賞を受賞してから早くも4年。今年も『パスト ライブス/再会』が2部門にノミネートされるなど、ますます世界で韓国映画の存在感が増す中、7月は多種多様な話題の韓国映画が毎週公開されるという贅沢な月となっている。
ノワール・SFアドベンチャー・クライムアクション・ホラーとバラエティに富んだ傑作揃い、きっとあなたの心にフィットする1本が見つかるはず。
『このろくでもない世界で』(7月26日公開)
ある地方の暴力が蔓延る町で貧困にもあえぐ18歳の高校生・ヨンギュと、彼の絶望漂う瞳にかつての自分を重ねた裏社会の男・チゴン。傷だらけのふたりが交錯した時、彼らの運命は思わぬ方向へ猛スピードで走り出す―――。
登場人物それぞれの望みさえ抱けない境遇とは裏腹に、自由を渇望する彼らの深淵にまで触れる韓国ノワールの傑作だ。すでに始まっているマスコミ試写会では「とても力のある作品でした」「さすがの韓国ノワール!」「新しい才能(監督)が毎年のように現れる」「上半期No.1かも、というくらい惹きつけられた!」と映画のプロたちをも唸らせている。
監督・脚本は、韓国映画界の未来を担う新たな才能と期待される本作が初長編作品となるキム・チャンフン。実話ではないものの、監督自身が社会で苦労した経験をエッセンスとして盛り込み、身体的痛みと心の叫びが渾然一体となった脚本に惚れ込んだソン・ジュンギがチゴン役を熱望したことから、この企画が本格的に動き出したという。
ⓒ 2023 PLUS M ENTERTAINMENT, SANAI PICTURES, HiSTORY ALL RIGHTS RESERVED.
ソン・ジュンギは「これは韓国映画界に絶対に必要なプロジェクトだと信じていたので、参加する機会を頂けて感謝している」とその理由を語っている。
チゴンの属する犯罪組織の門戸を叩くほかなかったヨンギュは、仕事という名の“盗み”を働き、徐々に憧れのチゴンに認められていくが……。ヨンギュ役に扮したのは映画初主演のホン・サビン。この役を勝ち取るまでに三度のオーディションを経たという。
そして、ヨンギュの義妹・ハヤン役に同じく新人のキム・ヒョンソ。百想芸術大賞では<新人演技賞>に見事輝いた。アーティストとして、BIBI名義で韓国ではもちろんアメリカのラジオ市場を席巻、Mediabaseトップ40のポップラジオチャートで20位以内にチャートイン、さらには「コーチェラ」で2度ステージに上がるなど、めざましい活躍を見せている。
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そんなフレッシュなメンバーのなか、「ヴィンチェンツォ」「財閥家の末息子~Reborn Rich~」『ロ・ギワン』などで主演を務め、視聴率が「愛の不時着」を超えたと話題沸騰のTVドラマ「涙の女王」に“ヴィンチェンツォ役”としてカメオ出演、さらには小栗旬・赤西仁出演のNetflixシリーズ「ロマンチックアノニマス」に特別出演も発表された、飛ぶ鳥を落とす勢いのグローバルスターであるソン・ジュンギが果たした役割は大きかった。
「トキメキ☆成均館スキャンダル」「太陽の末裔」で女性ファンを夢中にさせて以来、常にトップスターであり続けたジュンギが、大きく作り上げた体躯になまなましい傷を全身に刻んだ犯罪組織のリーダーという、これまで目にしたことのない姿で登場。表情や声のトーンまで徹底的に変身させて、チゴンというキャラクターを時に大胆に、時に繊細に演じ切った。
その渾身の演技と若手チームとの協働により、このフレッシュなチームでカンヌ国際映画祭&釜山国際映画祭を大いに賑わせたこの夏必見の話題作だ。
『THE MOON』(7月5日公開)
『パラサイト半地下の家族』でアカデミー賞を制したCJ ENMが新たに贈るのは、月探査ミッションにたった一人で挑む宇宙飛行士の大冒険を描いたエンターテインメント超大作。
月面の友人探査を叶えるべく、三人のクルーを乗せた韓国の有人ロケットウリ号は宇宙へ旅立った。しかし、月周回軌道への進入を目前にしながら太陽風の影響で通信トラブルが発生、修理中の事故によりクルーの命が失われる。唯一残された新人宇宙飛行士ソヌを生還させるため、5年前の有人ロケット爆発事故の責任を鳥組織を去った当時の責任者ジェグクが宇宙センターへ呼び戻される。
一方、仲間の遺志を継ぐ決断をしたソヌは、重大な危機に直面しながらも月面への着陸を成功させる。僅かな救出の可能性に賭けて地上スタッフが奔走するなか、果たしてソヌは再び地球の大地を踏むことができるのかー。
「神と共に」シリーズのキム・ヨンファ監督が、人気K-POPグループ「EXO」のド・ギョンスが宇宙飛行士ソヌ役で兵役後初の長編映画出演を果たして話題を集めたほか、『ペパーミント・キャンディー』のソル・ギョング、『ユンヒへ』のキム・ヒエが共演している。
『密輸 1970』
2023年サマーシーズンの韓国で500万人以上を動員した、実話から生まれた予測不能な海洋クライム・アクションで、第44回青龍映画賞で最優秀作品賞など4冠に輝いた。1970年代半ば、韓国の漁村クンチョン。海が化学工場の廃棄物で汚され、地元の海女さんチームが失職の危機に直面する。
リーダーのジンスクは仲間の生活を守るため、海底から密輸品を引き上げる仕事を請け負うことに。ところが作業中に税関の摘発に遭い、ジンスクは刑務所送りとなり、彼女の親友チュンジャだけが現場から逃亡した。その2年後、ソウルから舞い戻ってきたチュンジャは、出所したジンスクに新たな密輸のもうけ話を持ちかけるが、ジンスクはチュンジャへの不信感を拭えない。
密輸王クォン、チンピラのドリ、税関のジャンチュンの思惑が絡むなか、苦境に陥った海女さんチームは人生の再起を懸けた大勝負に身を投じていくのだった……。
「国家が破産する日」のキム・ヘスがチュンジャ役、「完璧な他人」のヨム・ジョンアがジンスク役を務め、「モガディシュ 脱出までの14日間」のリュ・スンワンが監督を務めた。また『このろくでもない世界で』では、犯罪組織の一員であるチゴンの非情なボス役で出演しているキム・ジョンズが、こちらでは税関係長を演じ、5月に行われた百想芸術大賞にノミネート。
本作で候補に挙がっていたソン・ジュンギと助演男優賞を争い、キム・ジュンスに軍配が上がった。
『怪談晩餐』(7月19日公開)
カカオウェブトゥーンで連載され、若者を中心に絶大なる人気を得たホラー漫画が映画化。
監督は、『ブラインド』のアン・サンフン、『ホテルレイク』のユン・ウンギョン、『殺人漫画』のキム・ヨンギュン、『時間回廊の殺人』のイム・デウン、『シャーク 覚醒』のチェ・ヨジュン等、K(韓国)ホラーの担い手たちが集結。
出演は、EL7Z UPのメンバーであるイェウン、元CLCのスンヨン、スンヒ、「イカゲーム」のキム・ジュリョン等、期待の若手から実力派俳優まで、豪華な顔ぶれが揃う。動画配信者や受験生など若者を主役とした物語も多く、日常生活に潜む恐怖を描いた本作は、Z世代・α世代を魅了する極上のホラー作品に仕上がっている。
『このろくでもない世界で』作品情報
【予告編】
【ストーリー】
暴力沙汰を起こして高校を停学、その上、示談金を求められる。生き抜く術のないヨンギュは、地元の犯罪組織のリーダー、チゴン(ソン・ジュンギ)の門戸を叩くほかなかった。仕事という名の“盗み”を働き、徐々に憧れのチゴンに認められていくが、ある日、組織の非情な掟に背いてしまい……。
このろくでもない世界で、ほんの一瞬でも彼らに陽が注ぐことはあるのだろうか?
【クレジット】
監督・脚本:キム・チャンフン
出演:ホン・サビン、ソン・ジュンギ、キム・ヒョンソ(BIBI)
配給・宣伝:ハピネットファントム・スタジオ
公式サイト:https://happinet-phantom.com/hopeless
ⓒ 2023 PLUS M ENTERTAINMENT, SANAI PICTURES, HiSTORY ALL RIGHTS RESERVED.
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