「おむすび」調理実習にはネイルもメイクもふさわしくない【38話】
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2024年9月30日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「おむすび」。
平成“ど真ん中”の、2004年(平成16年)。ヒロイン・米田結(よねだ・ゆい)は、福岡・糸島で両親や祖父母と共に暮らしていた。「何事もない平和な日々こそ一番」と思って生きてきた結。しかし、地元で伝説と化した姉の存在や、謎のギャル軍団、甲子園を目指す野球青年など、個性的な面々にほん弄されていく。そんな仲間との濃密な時間の中、次第に結は気づいていく。「人生を思いきり楽しんでいいんだ」ということを――。
青春時代を謳歌した自然豊かな糸島、そして阪神・淡路大震災で被災するまでの幼少期を過ごした神戸。ふたつの土地での経験を通じて、食と栄養に関心を持った結は、あることをきっかけに“人のために役立つ喜び”に目覚める。そして目指したのは“栄養士”だった。
「人は食で作られる。食で未来を変えてゆく。」 はじめは、愛する家族や仲間という身近な存在のために。そして、仕事で巡りあった人たちのために。さらには、全国に住む私たちの幸せへと、その活動の範囲を広げていく。
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。
今回は、第38回を紐解いていく。
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個性的なクラスメイトたち
「あんた なめとん?」
神戸栄養専門学校入学の日、結(橋本環奈)は気合を入れたギャルの格好にキツいダメ出しをされてしまいます。
ズバッと断じたのは、矢吹沙智(山本舞香)。
あらかじめインフォメーションされている設定では、「高校時代は有名な陸上選手。当時はまだ珍しい、スポーツ専門の栄養士を目指している」とあります。
結をやんわりかばったのは、湯上佳純(平祐奈)。でも、結の髪色が彼女のペットのトイプードルに似ていると言い、やんわりしているけれど実は嫌味? 京都の人? 違います神戸の病院のお嬢様設定です。
派手なギャルの格好をクラス中から白い眼で見られても、結は好きを貫こうとします。
が、初日から、すぐに授業がはじまり、実習もあり、スズリン(岡本夏美)がくれたネイルをはずせと言われてしまいます。さらにメイクも調理実習に衛生的によろしくないと、とることになって……。結の存在完全否定という感じです。
実習があると知っていればメイクも抑えめにしたのかもしれませんが、言われるまで
とろうとしもしなかった結の認識の浅さがドラマとはいえ気にかかります。学校では完璧に地味にしていたリサポン(田村芽実)を見倣ってほしい。
ただ、学校も事前に、規定事項を文書で通知しておくものなのではという気もします。
ドラマですからあらゆる面で誇張、割愛しているということでスルーが吉とはいえ、自己紹介のとき、志望動機を「彼のため」と言うのも、いかがなものか。案の定「あさイチ」で博多大吉さんが疑問を発していました。
まあまあ、若いときには誰しもこんなこともあるよねえということかもしれません。
「なめとんの」と喧嘩ごしだった沙智とは実習の際、同じ班になってしまいましたが、彼女は何かと結に対して舌打ちしていて、感じ悪い。先が思いやられる感じです。
今日はこの感じ悪い(でも結への反感はごもっとも)沙智を演じる山本舞香さんのコメントを掲載します。お芝居では対立していますが、橋本環奈さんとは過去にも共演していて仲良しのようです。ツンツンしていることにも複雑な感情があるみたいです。
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Q1 出演が決まったときの気持ちは
お話をいただいたときは、え!?って(笑)。嬉しいなとは思ったんですけど、朝ドラに呼んでいただけると思っていなかったので、なんでだろう?と疑問でした。現場に入ってしばらくたってから「沙智はもともと山本舞香で書いている」と脚本家さんがおっしゃっていたと聞いて、「もっと早く言って!」て感じでした(笑)。でも、そう言っ
ていただけてすごく嬉しかったです。ヒロインの橋本環奈とは映画「カラダ探し」で共演して以来の仲だから、環奈と一緒にお仕事できることもすごく嬉しかったです。初めての朝ドラだったので、環奈がいてくれて心強いなと思いました。
Q2 演じる役・矢吹沙智について
栄養学校メンバーのみんなは本当に栄養士になりたくて入学していますが、中でも沙智は難関と言われる「スポーツ栄養士」を目指してる子。自分の経験を踏まえた上でスポーツ栄養士を志しているから中途半端にやりたくないし、結を冷たく突き放したりもするんです。結と仲良くなりたいのか、壁を作ってるのかわからないようなところが難しい役だなと思いました。まだ 10 代の女の子だし、子供ながらに大人びようとして、栄養士になりたくて必死にもがいてるっていう感じですね。
ギャルの格好して登校する結も結だけど、突っかかっていく沙智も沙智。わざわざ「なめてるの?」って言うところとか、無視すればいいし、話しかけられたら冷たく返せばいいのに、ずっと結を気にかけていて。心のどこかで結と仲良くなりたいと思っているのかなとも取れますよね。もうちょっと口数少なくてもいいなって思っていましたが、良く言えば、沙智は自分の気持ちをちゃんと言葉にして伝える人なので、悪く言えば、おせっかいのうるさい人になってしまうから、そのさじ加減が難しかったです。
演じる上では、怒るレベルを結構考えました。ここで怒りすぎたら後がきかないなとか。だから、台本と向き合う時間がすごく長かったですね。
Q3 神戸ことばでのお芝居について
神戸ことばがすごく難しかったです。中途半端にはやりたくないので、ずっと音源を聞いていました。でも、口に出してみるとまた全然違うんです。ことば指導の先生につきっきりで居ていただいて、頭の中が神戸ことばでいっぱいでした。(森川役の)小手さんだけ標準語でずるいな!って(笑)。視聴者の方に「全然方言できてないじゃん」って言われるのも悔しいし、かといって、完璧に方言ができいてるわけじゃないのもわかっているから芝居で魅せたいし…っていう葛藤がすごくありました。やりきれてるのかなあという不安と闘いながらの撮影でした。私は集中していると周りから不機嫌だと思われちゃうけど、「大丈夫よ!みんななんとかやりきってるから!」ってメイクさんが声をかけてくださったり、いいスタッフの方たちばっかりですごく助けられました。環奈が座長としていい雰囲気を作ってくれていたのも助かったし、「やっぱりすごいな!」と思いましたね。方言には苦戦しましたが、今回神戸ことばの役ができて、すごくいい経験ができたと思っていますし、これを今後生かせたらいいな、自分の中でひとつ強みができたなと思っています。
Q4 視聴者へのメッセージと見どころ
結の大きな成長が見られるのがこの栄養専門学校編。人に対して、自分に対して恋人に対して、結の中で当たり前だった考え方がどんどん変わっていく、その力添えを沙智たちがやっているような、大人になっていく結の手助けを沙智たちがしている感じが見どころです。後半になるにつれて、結、沙智、カスミン、モリモリの絆が深まっていきますし、ひとつのことをみんなでやるっていうのはどの仕事でも大事なことだから、全く違う性格の子たちとどうやってうまくやっていくかっていうのを、視聴者の方々にも見ていただけたらいいですね。神戸ことばは…頑張ったのですが、あんまり期待してほしくないかな。まあ、ここは許してやろうかなぐらいの優しい気持ちで私の方言を見てください(笑)。
(文:木俣冬)
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