「おむすび」サブタイトルが英語で心機一転?【81回】

続・朝ドライフ

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2024年9月30日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「おむすび」。

平成“ど真ん中”の、2004年(平成16年)。ヒロイン・米田結(よねだ・ゆい)は、福岡・糸島で両親や祖父母と共に暮らしていた。「何事もない平和な日々こそ一番」と思って生きてきた結。しかし、地元で伝説と化した姉の存在や、謎のギャル軍団、甲子園を目指す野球青年など、個性的な面々にほん弄されていく。そんな仲間との濃密な時間の中、次第に結は気づいていく。「人生を思いきり楽しんでいいんだ」ということを――。
青春時代を謳歌した自然豊かな糸島、そして阪神・淡路大震災で被災するまでの幼少期を過ごした神戸。ふたつの土地での経験を通じて、食と栄養に関心を持った結は、あることをきっかけに“人のために役立つ喜び”に目覚める。そして目指したのは“栄養士”だった。
「人は食で作られる。食で未来を変えてゆく。」 はじめは、愛する家族や仲間という身近な存在のために。そして、仕事で巡りあった人たちのために。さらには、全国に住む私たちの幸せへと、その活動の範囲を広げていく。

ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。
今回は、第81回を紐解いていく。

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孝雄(緒形直人)が階段から落ちる

第17週のサブタイトルは「Restart」(演出:盆子原誠)。いままでのタイトルのパターンと違って英語です。いままでのパターンは「◯◯って何なん?」が多かったです。サブタイトルは新鮮ですが、変わらないのは、どんなときでも淡々としているリリー・フランキーさんの語り。語りがのちのちドラマに出ることがあるのが朝ドラですが、リリーさんは出るのでしょうか。

彼氏に泥棒されたチャンミカ(松井玲奈)は借金もできてしまってお店を閉店することになりました。2号店まで作るほど羽振りがよかったのに、商品もお金も盗られて立ち行かないようです。こういうときって保険に入っていれば補償がされるのかなと思いましたけど、全額補償されるわけではないようですね。火災保険だと上限20万円だとか。焼け石に水です。

でもチャンミカは、笑って乗り切ろうと健気です。歩(仲里依紗)は感情のアップダウンが激しいですが、チャンミカはドラマで見る限りは、いつもハイテンション。ギャルであることに誇りをもって、どんなときでも着飾って楽しく笑って生きているようです。たくましい。へんな男に騙されてしまいがちなのは、深く物事を考えていないということなのでしょう。でも、人のせいにしないし、「あいつに騙されたうちのせい」と泣き言を言わないのはすてきなところだと感じます。生きていればなんとかなるとチャンミカを見て、ちょっと思いました。

閉店することを決めたチャンミカ。歩も目下気持ちが上がっている時期のようで、最後に花火を打ち上げようと明るく言います。

その頃、商店街では。いつもの面々がヘアサロンヨネダに集まって作戦会議。孝雄(緒形直人)のところに土地買収の話が来ていることを聖人(北村有起哉)が報告し、戦々恐々。昔ながらの建物が亡くなって新たな建物に侵食されたら、商店街はますます圧迫されるでしょう。ショッピングセンターには1000円カットの店が入るので、客足はますます途絶える。って、もともと客は全然いないではないですか。毎日、いつもの面子のカットや顔そりして、近所のパン屋でパン買って、うちわで回しているだけなのでしょうか。

商店街にまったく人気(ひとけ)が感じられないのですが、昔ながらの素朴な商店街の空気感みたいなものは視聴者の想像に任されています。つまり、視聴者それぞれの、「私の好きな素朴な人情あふれる商店街」を想像すればいいのです。ただ、問題だと思うのは、昔ながらの人情あふれる商店街を記憶しているのは大人層であり、若者はそういう場所を知りません。もしも若い層を取り込みたいと考えているとしたら、このやり方ではなく、目に見えるものを用意しないといけないでしょう。日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」での軍艦島(端島)の再現のように。「おむすび」も震災で壊滅したところは再現してましたが。このドラマの時代当時、ギャルだった層だったら、かろうじて記憶があるかもしれません。当時ギャルだった層(30〜40代くらい?)のノスタルジーを刺激することを狙っているということなのかな。

閉店セールがはじまって、ギャル仲間が集まってきます。そこで、孝雄のカスタムシューズをはいた写真がバズっていることを知ります。孝雄に東京でコラボしないかという話が来ていて……。これがなにか起爆剤になる? と思ったらーー歩が孝雄にコラボの件で会いに行くと、孝雄は家の階段から落ちてうめいていました。阪神・淡路大震災から17年、修繕しないままだったので、階段の板が抜けてしまったのです。

見舞いに来た聖人に、孝雄は、亡くなった娘のまきの声や月命日を忘れはじめていると、嘆きます。

土地買収はともかく、家を修繕しないといけない時期が来ているのですが、思い出のつまった家を壊したらまきが消えてしまうと苦悩する孝雄。2012年ですと、そろそろ、全部改装ではなく、一部残してリノベーションもはじまっている頃かと思います。古民家再生ってやつです。昔の建具などを一部利用しながらというやり方を誰かに相談できればよかったですよね。でも、なかなかそういう知恵も浮かばないものであることもわかります。結局はその人のやる気なので、どうしてもこの家に住み続けたいという意志があれば、道は拓ける。チャンミカはきっぱり店を諦めて、前を向いています。孝雄はどこに向かうでしょうか。やろうと思えば古民家再生できると思います。役所の人も懇意なわけだし。資金があればですけれども。

それにしても「おむすび」はナラティヴアプローチがすごい。私は物語を自分の物語化することが苦手というか好みではなく、あくまで他者の物語と思って引いた視線で接したいのですが、「おむすび」を見ていると、自分の体験や記憶が湧いてくるのです。自分があぶり出されてしまう。わたしはいま、古民家再生や街の再開発に関心があるのだと今日見て感じました。

(文:木俣冬)

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–{「おむすび」第17週あらすじ}–

「おむすび」第17週あらすじ

第17週「 Re start 」 1/27-1 /31


店の高額品を根こそぎ盗まれたうえに容疑者が彼氏だったことでチャンミカは茫然
自失になったが、昔のギャル仲
間の励ましで気力を取り戻す。ただ店を閉店する意思は変わらず、歩はそれなら最後に出血大サービスの閉店セー
ルをやろうと言う。一方さくら商店街では、菜摘(田畑志真)の提案で飲食店が名物メニューを考案することになり、
それを聞いた結も、栄養士ならではのアイデアを出していく。

–{「おむすび」作品情報}–

「おむすび」作品情報

放送予定
2024年9月30日(月)より放送開始

出演
米田結(よねだ・ゆい)/ 橋本環奈
『おむすび』の主人公。平成元年生まれ。 自然豊かな福岡県・糸島で、農業を営む家族と暮らしている。 あることがきっかけで、人々の健康を支える栄養士を志すようになる。

【結の家族・米田家の人々】

米田歩(よねだ・あゆみ)/ 仲里依紗
主人公・結の8つ年上の姉。
福岡で“伝説のギャル”として知られる。 奔放な振る舞いで米田家に波乱を巻き起こすが、ギャルになった裏にはある秘密が…。
主人公・結の父。 娘のことが心配でしょうがない、真面目な性格。 奔放な父の永吉とは言い争うこともしばしば。 元理容師。今は糸島で農業にいそしんでいる。

米田聖人(よねだ・まさと)/ 北村有起哉
主人公・結の父。
娘のことが心配でしょうがない、真面目な性格。 奔放な父の永吉とは言い争うこともしばしば。 元理容師。今は糸島で農業にいそしんでいる。

米田愛子(よねだ・あいこ)/ 麻生久美子
主人公・結の母。
結の祖母・佳代と家事をしながら、聖人の営む農業を支えている。 絵を描くのが得意。

米田永吉(よねだ・えいきち)/ 松平健
主人公・結の祖父。
野球のホークスファンで、自由奔放な“のぼせもん”。 困っている人がいたら放っておけない、情に厚い性格。

米田佳代(よねだ・かよ)/ 宮崎美子
主人公・結の祖母。
古くから伝わる先人たちの知恵に明るく、結が困った時の良きアドバイザーでもある。

【福岡・糸島の人々】

四ツ木翔也(よつぎ・しょうや)/ 佐野勇斗
福岡西高校に野球留学中の高校球児。
四ツ木という姓と眼鏡姿から「福西のヨン様」と呼ばれている。 糸島に練習場があり、結と時々出くわす。栃木県出身。

古賀陽太(こが・ようた)/ 菅生新樹
結の幼なじみで高校のクラスメイト。野球部員。
父は糸島の漁師だが家業を継ぐ気はなく、IT業界を目指している。 ある約束により、結のことを何かと気にかけている。

風見亮介(かざみ・りょうすけ)/ 松本怜生
書道部の先輩。
結にとって憧れの存在。 書道のイメージを一新するような書家を志している。

宮崎恵美(みやざき・えみ)/ 中村守里
結のクラスメイトであり、高校での最初の友達。
結を熱心に書道部へと誘う。 派手なギャルが苦手。

真島瑠梨(ましま・るり)<ルーリー>/ みりちゃむ
結の姉・歩が結成した「博多ギャル連合」(略してハギャレン)の、現在の総代表。
ハギャレンの復興を目指している。

佐藤珠子(さとう・たまこ)<タマッチ>/ 谷藤海咲
ハギャレンのメンバー。
子どものころからダンス好きで、ハギャレンではパラパラの振付を担当。 筋が通らないことを良しとしない、一本気タイプ。

田中鈴音(たなか・すずね)<スズリン>/ 岡本夏美
ハギャレンのメンバー。
結と同い年で、いつもスナック菓子を食べている。 手先が器用で、ネイルチップ作りが趣味。

柚木理沙(ゆずき・りさ)<リサポン>/ 田村芽実
結のクラスメイト。
学校では校則を守るおとなしい女子高生だが、実は隠れギャル&ハギャレンメンバーでもある。ギャルの歴史を本にすることが夢。

ひみこ / 池畑慎之介
糸島の「スナックひみこ」の店主。
年齢、性別、経歴、すべてが不詳の謎の人物。 糸島の住人一人一人の事情をなぜか把握している。

草野誠也(くさの・せいや)/ 原口あきまさ
糸島の商店街で陶器店を営んでいる。
ホークスの大ファン。

古賀武志(こが・たけし)/ ゴリけん
結の幼なじみ・陽太(ようた)の父親。
糸島で漁師をしている。

大村伸介(おおむら・しんすけ)/ 斉藤優(パラシュート部隊)
糸島の商店街で薬店を営んでいる。
ホークスの大ファン。

井出康平(いで・こうへい)/ 須田邦裕
結の父・聖人(まさと)の幼なじみ。
糸島の農業を何とかしたいと日々奮闘している。

佐々木佑馬(ささき・ゆうま)/ 一ノ瀬ワタル
結の姉・歩と行動を共にする“自称・米田歩のマネージャー”。

大河内明日香(おおこうち・あすか)/ 寺本莉緒
結の姉・歩と対立していた、元天神乙女会のギャル。

飯塚恭介(いいづか・きょうすけ)/ BUTCH
福岡県博多のカフェバー「HeavenGod」の店長。


根本ノンジ

音楽
堤博明

主題歌
B’z「イルミネーション」

ロゴデザイン
大島慶一郎

語り
リリー・フランキー

制作統括

宇佐川隆史、真鍋 斎

プロデューサー
管原 浩

公式サイト

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