「ブギウギ」新しいマネージャーに不安しかない<第105回>
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2023年10月2日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「ブギウギ」。
「東京ブギウギ」や「買物ブギー」で知られる昭和の大スター歌手・笠置シヅ子をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。歌って踊るのが大好きで、戦後の日本を照らす“ブギの女王”となっていく主人公・福来スズ子を趣里が演じる。
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第105回を紐解いていく。
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山下の親戚だった
山下(近藤芳正)がスズ子(趣里)のマネージャーを辞めると言い、新しいマネージャーを連れてきました。柴本タケシ(三浦獠太)は山下の親戚で、妹の息子でした。身内かい。
身内でも信頼できればいいですが、大学出ではあるものの、実績も経験もなく、
「やる気はある」「あいつやったらスズさんを支えてくれると思います」と山下は言いますが、逆に育ててくれという感じに思えます。
山下は最近は、愛子(小野美音)の面倒も献身的に見ていたので、好々爺という印象でしたが、そもそも、愛助(水上恒司)を甘やかして、トミ(小雪)に疎まれた人物で、単純に、実直で、勤勉で、優秀で、善人で、というタイプではありません。道楽者で、なんとなく調子のいい人であったのです。
第104回のシリアスな場面だけ見ると、そのことを忘れてしまいそうになりますが、第105回の、まだ何者でもない甥をスズ子に押し付けるいい加減さこそ、山下の真骨頂なのです。
未知数の人物が悪いわけではなく、何かを秘めている場合もあるし、これから成長していく可能性はあります。でも、どうやらタケシはとくに、芸能の仕事に興味があるわけでもないようで、そのうえ、おじさんに似たのか、調子がいい。そこが心配です。
歌に興味があると言いながら、羽鳥(草彅剛)に挨拶に行ったとき、どの歌が好きかと聞かれて答えられません。たぶん興味がないのです。
「一曲に絞るなんてとてもできません」とその場しのぎのことを言います。
このとき、羽鳥が「それは仕方ないよ。数えきれないほど作ってきたからねえ」と言って済ませてしまいます。タケシをかばったわけでもなく、天然なのでしょう。
タケシは、レッスン中に居眠りしてしまったりして、なんだかやる気が感じられません。スズ子は元々、山下が辞めることを肯定してないので、使えない若者に苛立ちます。
思えば、スズ子はこれまで、誰かに助けてもらうばかりでした。すごく恵まれていて、みんなが彼女に手を差し伸べてくれて、順風満帆でした。大事な人が次々死んでしまうとはいえ、羽鳥がいる限り、歌手としては困りませんし、山下が忠実に尽くしてくれていました。
羽鳥も「君はもう一人前だ」とスズ子に太鼓判を押したので(今更という気もしますが)、これからスズ子が、自分より若い者を引っ張っていく立場になるという流れなのでしょう。
「買物ブギ」をお披露目するワンマンショーに羽鳥が出られないということもあり、スズ子は、ほんとうにひとりで頑張らないとなりません。
ただ、タケシのいいところは、愛子のお守りには最適なところです。若くて体力があって、人も悪くない。
タケシの仕事はじめ、スズ子の家に迎えに来たとき、スズ子の家にある風見鶏が風に吹かれて向きを変え、新たなターンを思わせます。いいほうに向くといいのですが……。
(文:木俣冬)
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