映画コラム

REGULAR

2017年06月14日

濡れ場を演じる女優をジャンル分けするなら4つ

濡れ場を演じる女優をジャンル分けするなら4つ

■映画の濡れ場大好き芸人の濡れ話



Photo via VisualHunt


突然ですが「濡れ場」には4つの要素があると思っています。
要素1:「この映画で脱ぐ事で作品性と女優の価値を高める」という女優の意識高い系濡れ場。

要素2:「必要かどうかじゃない。私が有名になる為」という下剋上系濡れ場。

要素3:「脱ぎたくないけど、脱がないと映画出れないから・・」という事務所の意向+演技そっちのけ脱ぎ系濡れ場。

まずこの3つがあります。あと問題の1つがありますがそれは後ほど。

濡れ場を語る上で絶対に欠かせない作品
「丑三つの村」


あの頃映画 「丑三つの村」 [DVD]



1983年松竹富士系にて公開。田中登監督作品西村望の「津山事件」を題材にしたノンフィクション小説の映画化。

故 古尾谷雅人さんが頭は良いが病弱で戦争に行けず、後に大量殺人事件を起こす主人公「犬丸継男」を熱演。

戦時中の田舎独特の風習「夜這い」を覚えた秀才で純粋な継男は肺結核を患い兵役にも行けず村八分にされどんどん狂って行きやがて・・・

噂通りエロティックな内容とそれに関連する大量殺戮というショッキングな内容。

途中作風には合わないファンタジックなBGMが流れて「?」ってなる時あるけど、出演者の役者根性役者魂丸出しの文字通り「演技合戦」で観ごたえめちゃめちゃある作品。

当時R−18指定になったのも頷けます。

パッケージを観ると五月みどりさん、池波志乃さん、田中美佐子さん、大場久美子さんが皆艶っぽい表情で谷間を見せてデカデカと映っている。(別バージョンでは刃物持って頭に懐中電灯つけた古尾谷雅人さん)

しかもそれぞれの名前の前に漢字1文字ずつあり
淫 五月みどり
罠 池波志乃
惑 大場久美子
愛 田中美佐子

これをパッケージを見たら「あ、エロイ。多分脱ぐやん」と思うと思う。
いや絶対思う。とりあえず五月みどりさんは絶対脱ぐ。だって淫やもん。淫で脱がなかったら、配給会社を訴えても誰も文句言わないと思う。

あの頃映画 the BEST 松竹ブルーレイ・コレクション 丑三つの村 [Blu-ray]



そしてその通り。五月みどりさんは最初に脱ぐ。「淫を背負ってるんだから」と言ってるよう。かっこ良ささえある。

役柄は旦那は出稼ぎに行っており寂しい子だくさんの人妻。

みどりは若い男である継男に
「今旦那おらんのよ・・・女の1人の夜って長いんよ・・・遊びに来て・・」と妖艶に継男を夜這いへと誘う。

継男がみどりの家に行くと、子供に母乳をあげていたので乳首に母乳のしずくを垂らしながら出てくる五月みどり。

母乳まみれの乳首のアップのカット。それを食い入るように見てしまう雅人。恥ずかしそうにする訳でもなく、「ほれ、これあんたも吸いたいやろう?」の艶な顔で寝床に誘うみどり。5人くらいの子供が寝てる横で大胆に騎上位。着崩れた着物から胸がこぼれ、それを触らせ腰をくねらせる。

全裸でないのがまた一層エロい。エロすぎる。

雅人の指を口にくわえ、自ら出し入れ。

不謹慎にも「五月みどりはこんな感じでフェ◯をするんだな〜」と思わせる。ついにさつきはそのまま絶頂を迎える。そして言う「1人前の男になったね」と。

継男はイッてないのに。でも新たな世界を見てしまった継男。僕が継男なら結核なろうと一生ここでみどりといたい。イってなくてもいたい。

そう思わせる五月みどりさんは間違いなく冒頭の「女優の意識高い系」で脱いでいる。

「ほらどう?他の女優どもにこれできんのか?お?」と言わんばかりの濡れ場。

誇り高き女優。

負けじと池波志乃さんも戦争に行った旦那の寂しさから たわわな胸放り出して雅人のアソコを絞り出すように手コキする。その表情たるやまさにヤリ〇ンである。顔1つのここまでエロくできるのか。池波志乃さんも間違いなく「意識高い系」である

幼さが残る田中美佐子さんだって女優道登る一心で全裸を披露する。

1人お風呂で自分の体にお湯をかけるシーンが若干「ん?これいるか?」と思わせたが、そこは田中美佐子さんの女優根性。大女優相手に若さを武器に堂々と濡れ場で戦っていた。

まさに「下剋上系濡れ場」

まさに女優の戦い。高レベルな濡れ場の応酬。とてつもない幸せ。

しかし、ここで僕が気になったのは大場久美子。

継男に優しくし、病気と知るや冷たくあたる村1番の美女役。継男が狂うキーパーソン的な存在。ここは脱ぐはず・・・さあ大場さんはどんな濡れ場で戦うんだろうと僕は鼻息が荒くなる。

脱がなかった・・・大場久美子だけ脱がなかった・・・

なんで!?あれだけ大女優脱いでるのに!「惑」の1文字もらってて脱がないなんて!!

僕が大場久美子のマネージャーなら「いや大場!ここは脱ごう!俺他のマネージャーから完全に馬鹿にされる!お願い!脱いで!」と土下座するはず。

しかし脱がなかった・・・久美子は脱がなかった・・・僕と画面の間に空っ風が吹いた。

多分・・・大場さんは脱ぎたかったはず。でも事務所の意向のはず・・・そう願いたい。いやそう思おう。

そしてこれこそが濡れ場の要素最後の1つ
要素4:「脱がなければならない所で脱がない…濡れ場界の禁じ手・・大人の事情系NO濡れ場」

余談ですが大場さんは約30年後に林寛子さんとビキニでキングオブコント出てます。

僕はコントの用意しながら

「なんで周りにクソ芸人がいる大部屋で水着に着替えれて、この名作の時脱がへんのよ!?
仕事って何よ!!女優の分別って何よ!!そもそもなんでコントすんのよ?えーい!いいから片乳だけでも見せてよ!」

そう思ったものです。

そんな僕の怒りを知ってか知らずかクライマックスで怒りに満ち満ちた継男が村人を殺しまくる。

銃で撃ちまくって日本刀で斬りまくる。

大場久美子さんも銃を口の中に入れられる始末。継男と自分がリンクする。

そして圧巻のシーン
池波志乃さんに「ここがいかんのや〜」と銃で股間を打ち抜く。

股の間から潮のごとく血しぶきを上げる志乃。

エロいのかエグいのか・・エロいからエグいのか・・エグいからエロいのか・・・

業界やら女優やら事務所のパワーバランスが見え隠れするのに映画として最高な稀有な1本。

皆様是非。


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(文:南川聡史)

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