映画で学ぶセフレの掟と破綻の道



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セックス・フレンド……略して「セフレ」。名前の響きはえらくポップなのに、意外と繊細でヘビーな関係だと思うのはわたしだけでしょうか。体だけの関係と割り切っていても、いつの間にか感情が生まれたり、相手に誰かが現れたら、急にガラガラと崩れ始めるという、なんとも脆くはかない関係……。

割り切っているつもりが、人間の感情ってのは、一筋縄ではいかないものですね。相田みつをが「にんげんだもの」と畳み掛ける気持ち、わかります。

さて、セフレ現在進行中だけど「イヤ待て、なにこの気持ち。もしかしてあいつのこと、好きかも?」と感情に迷いが出て「セフレお悩み」を抱えてらっしゃる紳士淑女のみなさん。自分と似た状況の映画を参考に、自分の気持ちに向き合ってみるのはいかがでしょうか。

「自分にはそういう関係は無理!」という方も、「セフレじゃなくて、運命の相手探し中なんですけど!」という方も、視野を広げるという意味でこちらの映画、意外と参考になったりするかもしれませんよ〜(実はセフレが運命の相手だったり)。あと、セフレにも恋愛にもあまり関心を示していなくても、とにかく美しい男女の肉体美でテンション上がるので、そこ注目して楽しんでいただくという手もあります。

それでは、ケーススタディ始めましょう。

『抱きたいカンケイ』〜エマとアダムの場合〜



抱きたいカンケイ (字幕版)



なんだか80年代のトレンディドラマみたいな邦題ですけど、そこは薄眼でスルーしておきましょう。

まず、エマ(ナタリー・ポートマン)とアダム(アシュトン・カッチャー)が美男美女なので、まぁ見ていて飽きません。特にナタリー・ポートマンの持ち味「知的セクシー」がこの映画では上手に爆発しています。エマは寝る暇もないくらい忙しい研修医。恋なんかしてる時間は一秒もないエマは、偶然再会した小学校からの知り合いアダムにセフレ関係を提案。

アダムくんは「君は僕に恋すると思うけどね」と恋愛モードですが、恋愛恐怖症のエマはセフレ条約を井伊直弼ばりに押し切って締結します。

ルール設定はしっかりとすべし



ここで参考にしたいのは、エマとアダム(ほぼエマの提案だけど)は、しっかりとルールを決めていること。「添い寝はしない」「夜を一緒に越さない」「嫉妬しない」「デートはしない」「見つめ合わない」「感情が生まれたら関係解消」など。

なぁなぁに関係が始まったセフレ現在進行形のみなさんは、今からでも相手と「セフレルール」の設定をしてみてはいかがでしょうか。共通の意識を持つというのは、チームプレイを成功させる鍵です。セフレもチームプレイ……ですよね!?

そういえば、いろんな意味で笑撃……いや衝撃的な官能映画『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』でも、性癖が異常なクセの強すぎる大富豪クリスチャン・グレイと、冴えない田舎の純粋な処女アナスタシアの場合も、食生活や睡眠にいたるまで細かくルールの書かれた契約書がありました。この映画に関しては、体が痒くなるくらいぶっ飛んだ設定なので参考にならないかもしれませんが、まぁここでわたしが言いたいことを総括すると「どんなビジネスにも明確なルールとコンセンサスは必要」ってことです(笑)。

ルール違反はうやむやにすべからず



ある夜、エマとアダムはベッドで話しをしたり、音楽を聴きながら寝落ちしてしまいます。「添い寝はしない」のルールを破りセックスせずに一晩普通のカップルのように過ごしてしまった2人。翌朝、「これは緊急事態、もう関係解消! 」と慌てるリケジョのエマ。ここからすべてが狂い出します。

ルールを破るに至るまでには、何かしら感情の変化があったはず。それをうやむやにして関係を続けると「割り切った関係」は破綻に向かいます。セフレはルールに忠実であれば、長続きするんではないでしょうか。でもそんな簡単にいかないのが、男と女であり、人間なんですけどね。

気持ちを認めずに時間を無駄にすべからず



しばらく会わない間に、自分の感情と向き合うことになった2人。特にエマは、ただのセフレだと思っていたアダムが自分の中で大きな存在になっていたことに気づきますが、恋愛恐怖症のエマは信じたくない。(エマよ、過去に何かあったのだ!?と聞きたくなります)

こうして関係を見つめ直すことで逆に無理に隠していた本当の気持ちに気づいたり、自分にとって大切なものは何かがわかることも。セフレとして裸をさらけ出す関係なんですから、時間を無駄にすることなく、気持ちも思いっきりさらけ出してください。

この先セフレ関係復活? それとも恋愛に発展?……というのがエマとアダムの場合。(まぁ結果はお分かりでしょうけど)。

『ステイ・フレンズ』〜ジェイミーとディランの場合〜



ステイ・フレンズ (字幕版)



さて、もう一本参考に見てみましょう。こちらの映画でセフレになるのは、ジェイミー(ミラ・クニス)とディラン(ジャスティン・ティンバーレイク)。この組み合わせ、なかなかいい感じのケミストリーあります。そしてミラ・クニスは、『抱きたいカンケイ』のアシュトン・カッチャーと実生活で夫婦です。なんなら、この2つの映画キャストをスワップしても違和感ないかも。

ちなみにキャストという点では、こちらはとても豪華。あのスノーボード・ハーフパイプの王者や『ラ・ラ・ランド』のあの子まで…...。映画通なら、使い捨てのようにちょい役でどんどん出てくる有名俳優たちと、キャストの過去作との繋がりに「あ〜!」っとなってしまうこと間違いなし。どんな役で出てくるのかはお楽しみに!

話を戻しましょう。ジェイミーはニューヨークのヘッドハンター。チャキチャキのニューヨーカーです。ディランは、ロサンジェルスの敏腕アートディレクター。ジェイミーがディランをGQに引き抜くために、ニューヨークに呼び寄せるところから始まります。

無事にGQへの引き抜きを成功させたジェイミーと、ニューヨークに引っ越して新生活を始めたディランは、すぐに意気投合。なんでも話せる友達になります。ある日、ビールを飲みながらゆるーく映画を見ている時に「セックスはいつも感情と面倒がつきもの。テニスするみたいにセックスできたら楽じゃない? 試合後は、握手して終了」という話からテニス……いや、セフレに挑戦することになります。

セフレには恋愛感情ゼロの友人を選ぶべし


『抱きたいカンケイ』の2人と違うのは、こちらの2人は最初から男女の垣根を超えた仲のいい友達で、お互いに恋愛感情ゼロ。「まったく魅力を感じていないし、そういう風にアンタのことは好きじゃない」とお互いキッパリ主張。本当にテニス仲間の感覚です。

なんでも話せる友達だったからこそ、セックスでも遠慮なし。あーしろ、こーしろ、あれはダメ、お前のそのワザキモい、など言いたい放題。お陰でテニスの腕を磨くように、お互いのベッドスキルを磨いてく2人。セフレを作りたい場合は、「こいつ絶対ないわ」くらいの異性の友人がセックスをスポーツのように純粋に楽しめるのかもしれません。

お互いの恋を応援すべし



順調なセフレ+親友関係を築いていた2人ですが、ジェイミーはそろそろデートする相手が欲しくなり、セフレ関係はとりあえず休止。いいですね、しっかりルールを守っています。それでこそ真のセフレ。そしてデートの相手を見つけに一緒にナンパに出かけます。

でもでもでも! ジェイミーがデートを始めるとなんだかつまらなくなってしまうディラン。皮肉を言いつつもジェイミーの様子を伺います。はいー、このパターンですね。相手に誰か新しい人が見つかると関係性が変わってしまうやつです。

結局、親友どうしであろうと、体を重ねるとやはり何か関係が変わるのです。何度も言いますが、にんげんだもの、感情が生まれないわけがない。素直に気持ちを認めずにジェイミーとディランもあるきっかけからケンカをして、親友でさえなくなってしまいます。

『抱きたいカンケイ』と同じですね、セフレ → ブレイクタイム → セフレ以上の大事な存在だと気づく法則です。

すいません、どうせ恋に落ちるんです。



散々ルールを決めろとか言いましたけど、たぶんセフレはいい感じには成立しそうにないです。嫉妬もあれば、感情も生まれる、お互いの気持ちが同じでなければ、ケンカになる。楽しいセフレが一転、友達でもなくなってしまう、というバッドエンドの方が多いのかもしれません。

やはり感情が生まれた時点で、セフレは解消、本当の気持ちを話すというのが一番です。するとこの2つの映画のように、セフレが実は最高のパートーナーだったっていうハッピーエンドになるかも。あ、結末言っちゃいました……。

(文:岩田 リョウコ)

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