『アラジン』ディズニー実写最高傑作になった「5つ」の理由!

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現在『アラジン』が上映中です。本作は日本での公開からわずか3日間で動員数は約96万人、週末興行収入は約13億9600万円を記録しています。これは約124億円というとんでもない最終興行成績を叩き出した『美女と野獣』(2017年)の初日3日間の成績をも超える数字!今回も歴史的なヒットになることは間違いないでしょう。

結論から申し上げると、その超大ヒットはもちろん、各所での絶賛ももう大納得するしかない、「ディズニーの実写映画作品における最高傑作である」と断言できる、素晴らしい作品に仕上がっていました!その魅力を大きなネタバレのない範囲で以下にお伝えいたします!

1:実写映画における“ビジュアル”が完璧!
ガイ・リッチー監督の采配もベストだった!

本作は1992年のディズニーアニメ映画のリメイク作です。「千夜一夜物語」で最も有名な「アラジンと魔法のランプ」を大胆にアレンジしたこのディズニーアニメ版が、そもそも高い完成度を誇っていたことは言うまでもありません。魔人や魔法も登場するというファンタジー要素も含め「実写映画化は難しいだろう」と思われることは当然、「そもそも実写映画化する意味があるのか?」と問われてもおかしくないでしょう。

しかしながら、今回の実写映画版は、舞台となる架空の都市のアグラバーを再現し、豪華絢爛な衣装や美術で装飾、加えて最新鋭のCGの技術を結集して、魔法の絨毯で空を飛ぶという夢のようなシーンから、心の底からハラハラできるダイナミックなアクションも実現しています。まず”見た目”という高すぎるハードルをクリアーできているということ……ディズニーアニメ版から27年という時を経ての実写映画化が成し得たのは、まずは映像技術の発達とスタッフの尽力のおかげ、実写映画化において最も難しいであろうビジュアルの説得力を最大限にまで高めることができたから、ということは間違いないでしょう。

その『アラジン』の実写映画化において、ガイ・リッチーという監督の采配もベストだったのではないでしょうか。『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』や『スナッチ』などテクニカルな構成が光る通好みの作品の他、『シャーロック・ホームズ』や『コードネーム U.N.C.L.E.』といったアクション大作も手がけているガイ・リッチー監督の作品は、その豪華な画作りやスタイリッシュな演出も大きな魅力です。見た目のゴージャスさやアクションのケレン味が必要とされる『アラジン』という題材に、ガイ・リッチーの作家性が存分にハマっていたと言っていいでしょう。

そして、アニメ版でのマスコットキャラクターであった“猿のアブー”や“魔法の絨毯”も実写で再現されており、そのキュートさがディズニーアニメ版からしっかり引き継がれているということも驚異的!その魔法の絨毯の一挙一動は、スーパーヒーロー映画『ドクター・ストレンジ』の“マント”を彷彿とさせました。こうした“擬人化”と言っても過言ではない可愛らしさを、実写映画で実現できているということにも、感動を覚えるのです。

2:主演2人のキャスティングが100点満点!
ウィル・スミスのランプの魔人も最高だ!

映画としてのビジュアルもさることながら、主演2人のキャスティングももう100点満点と言える采配だったのではないでしょうか。実は主演俳優選びははかなり難航していたようで、2年前の2017年には「2000人をオーディションしても、歌って演技もできる中東系もしくはインド系の新人俳優が見つからなかった」ことがニュースになっていたこともあったのです。

そして大抜擢されたのは、テレビドラマでの経験はあるものの、特に日本ではほぼ無名と言える1991年生まれのメナ・マスード。知名度などよりも役柄に合う将来性のある若手俳優をキャスティングしたことも素晴らしいのですが、誰もが賞賛するのはその身体能力でしょう。序盤から“パルクール”的に街を走り回り大ジャンプをし、“ブレイクダンス”的にキレキレな動きやバク転も披露していたりするのですから。メナ・マスードは崖から落とされるシーンのために、水深5メートル以上のスキューバダイビングを実際に学んでいたこともあったそうです。アラジンという役柄の軽妙さや親しみやすさにも、彼はバッチリとハマっていました。

ヒロインであるジャスミンを演じるのは、『パワー・レンジャー』でも主役級のキャラを演じていたナオミ・スコット。エキゾチックな外見は美しく、ハリウッド女優の中でも珍しいインド系の女優である彼女は早い段階で同役の候補に挙がっていたのですが、アラジン役との相性を見て最終的に決定するという意向により、なかなか正式にはキャスティングされなかったという経緯もあったそうです。実際に映画を観れば、メナ・マスードとナオミ・スコットが“お似合い”であることは誰の目にも明らかでしょう。“主体的に行動する”気の強いヒロイン像にもピッタリですし、その歌唱にはもう鳥肌が総立ちになるほどの感動がありました。

さらに、もう1人の主人公とも言える魔人のジーニーを演じるのは、誰もが知るウィル・スミス。ディズニーアニメ版でそのひょうきんさやハイテンションぶりが魅力になっていたキャラを、ウィル・スミスは声でも表情でも完璧に体現しているのですから賞賛するしかありません。初めてそのビジュアルが解禁された時には「ただの青いウィル・スミスじゃん」とSNSで盛大にイジられましたこともありましたが、その青い状態のウィル・スミスはなんと“100%CG”でもあったのだとか(!)。そのおかげでウィル・スミスは声の演技の自由さが増し、臨機応変にアドリブを試すこともできたのだそうです。しかも、ウィル・スミスはディズニーアニメ版で同作の声を務めた故・ロビン・ウィリアムズに(不安を覚えながらも)オマージュを捧げつつ、新たなジーニー像を作り上げようと努力もしたそう。その努力は完璧に実を結んでいたと言っていいでしょう。

余談ですが、ディズニーアニメ版でも今回の実写映画版でも、ジーニーが陽気でハイテンションにしゃべりまくるという性格であることは、これまで1万年(数千年)という気が遠くなるほどの時間を、小さすぎるランプの中で孤独に過ごしてきたことへの“裏返し”のようにも思えてきます。それを考えてみると、彼が辿る結末にもさらに感動できるかもしれませんよ。

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3:アレンジ楽曲や新曲にも大感動!
『ラ・ラ・ランド』のあのコンビも参加していた!

音楽の魅力を外さずに、本作の魅力を語ることはできないでしょう。巨匠アラン・メンケンが手がけた楽曲はディズニーアニメ版から、メロディアスであったり、時には底抜けに楽しかったり、時にはアラビアの美しくも妖艶な雰囲気も醸し出していたりなど、それぞれが耳に残るインパクトがありました。主題歌「ホール・ニュー・ワールド」が世界中で歌われ続けている名曲であることは言うまでもありません。

今回の楽曲がディズニーアニメ版そのままという訳ではなく、種々のアレンジも施されています。例えば、オープニングで披露される「アラビアン・ナイト」は楽器の使い方も含めてよりアラブ風になっていたり、追っ手から軽快に逃げる時の「ひと足お先に」はよりヒップホップ調になりアラジン(演じているメナ・マスード)の“子供っぽさ”が際立つように工夫されているのです。しかも、『ラ・ラ・ランド』や『グレイテスト・ショーマン』のベンジ・パセクとジャスティン・ポールが今回の楽曲制作に参加しているのですから、クオリティが世界最高レベルになっていることはもう疑いようがないのです。

さらに、そのアラン・メンケンとパセク&ポールが共同で手がけた、ディズニーアニメ版にはなかった新しい楽曲も追加されています。その楽曲のタイトルは『スピーチレス 〜心の声〜』。元々は長い1曲として制作されたのですが、物語に合わせ前半と後半の2回に分けたこともあって、作中で最大と言っても良いカタルシスと感動を呼ぶことにも成功しているのです。同楽曲は以下のミュージックビデオおよび本編映像でも聞くことはできますが、出来れば劇場で初めて聞いて欲しい! ナオミ・スコットの見事な歌唱はもちろんのこと、日本語への訳詞も素晴らしく、「I won’t go speechless(私は無言を続けない)」を「叫べ」という、より強い1語で表現にしたことも賞賛するしかない!


さらに、メナ・マスードとナオミ・スコットが劇中でデュエットする「ホール・ニュー・ワールド」が素晴らしいことはもちろん、エンディングではゼイン・マリクと、18歳の新鋭歌手であるジャヴァイア・ワードゼインによるバージョンも歌われています。ゼインはイギリスのバンドグループであるワン・ダイレクションの元メンバーで、現在はソロ活動をしている人物。その2人の美麗かつ伸びやかな歌声で、映画の最後の最後までうっとりできるとは……もう最高としか言えないではないですか!


4:日本語吹き替え版も絶賛するしかないクオリティ!
主演2人や山寺宏一はもちろん北村一輝や本業声優の活躍にも注目!

さらに絶賛するしかないのは、日本語吹き替え版のクオリティでしょう。実際に吹き替え版を観ると、中村倫也は野性味と愛らしさが同居しているアラジン役に、木下晴香も可憐さだけでなく芯の強さも感じさせるジャスミンの役にこれ以上なくハマっています。さらに、悪役のジャファーを演じる北村一輝も、悪どさと人間くささを兼ね備えた役にバッチリなのでたまりません。いずれも舞台俳優であることが、今回の見事な声の演技(および歌唱)の土台になったことも間違いないでしょう。特に木下晴香が「スピーチレス 〜心の声〜」において日本語で「叫べ」と歌った時には、もはや言語化が不可能なほどの感動がありました。劇中で披露される主題歌「ホール・ニュー・ワールド」でのデュエットも言わずもがなのクオリティです。

極め付けは、ディズニーアニメ版でもジーニー役を務めた山寺宏一が、今回も心から楽しそうに同役を演じているということ。山寺氏自身もジーニー役を「他の人には絶対に取られたくない」「オファーが来なかったら声優をやめる」と言うほどまで熱望していたそうで、実際に発表となった時には観客の反応をSNSでエゴサーチをしていて、ちょっとでもネガティブな声があったら落ち込んでしまったこともあったのだとか。

その山寺氏は今回「ウィル・スミスの声の演技および、映像に対して違和感のないように」という演技を心がけていたそうで、ディズニーアニメ版のジーニーの楽しさを引き続きつつも、“ウィル・スミスのジーニーならでは”の新たな魅力を引き出していました。「それな」や「神ってる」など現代らしい言葉が使われていることには賛否があるかもしれませんが、このジーニーの砕けた口調やキャラにはピッタリでしょう。もちろん、歌唱も最高です!

さらに脇を固めるのは、実力派の本職声優たち。多田野曜平がイアーゴ(インコ)を、平川大輔がおバカっぽい王子を、そして沢城みゆきが後述する実写映画版オリジナルキャラクターの侍女を、最高のクオリティで演じきっているのです。普段は字幕派という方も、すでに字幕版を観たという方も、この“プレミア吹き替え版”と銘打っただけのことも大納得できる最高の吹き替えを、ぜひスクリーンで堪能して欲しいのです。

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5:物語のアレンジも素晴らしい!
実写映画オリジナルキャラの侍女が重要な役割を果たしていた!

これまで書いてきたように、映画としてのビジュアルや監督の采配、キャスティング、楽曲のクオリティまで最高レベルに高められています。加えて、ディズニーアニメ版からの“物語”のアレンジも素晴らしかったこともお伝えしなければならないでしょう!

ネタバレのない範囲で挙げられる、ディズニーアニメ版からの大きな変更点の筆頭と言えるのが、“実写映画オリジナルキャラクターの侍女がいること”でしょう。彼女は王妃であるジャスミンの唯一の親友でもあり、気兼ねく助言もくれるという親しみやすさを備えていて、この2人が結婚観や恋愛について語り合う様はそれだけで微笑ましく観られるのです。この侍女の存在は「男性だけに(結婚することで)将来が左右されてしまう」ことへの危うさを指摘しているようでもありますし、侍女の助言があってこそジャスミンが主体的に決断や行動をしていくことの説得力が増しているとも言えます。

また、ジャスミンはディズニーアニメ版において「(トラのラジャー以外には)本当の友達だっていないわ」と口にしたこともありました。そのため、今回の実写映画で彼女に親友となるキャラを創造してくれたことそのものにも嬉しくなるのです。この侍女には他にも重要な役割が用意されており、それにも大きな感動を覚えるのですが、ネタバレになるので秘密にしておきましょう!ちなみに侍女を演じたナシム・ペドラドはテレビ番組のサタデー・ナイト・ライブでの出演でも知られるコメディエンヌであり、そちらでのパロディコントでジャスミン役を演じたこともあるそうですよ。他にも、ディズニーアニメ版では臣下となる人物が悪役のジャファーの他はほとんど登場しなかったのですが、今回は男性の臣下も新たに登場させ、彼にもやはり重要な役割を担わせており、実写映画として違和感のないような工夫もされているのです。

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さらに素晴らしいのは、ファンタジーの物語でありながら「ランプの魔人に願いを叶えてもらってオールオッケー」なんてことが全くない、魔法やファンタジー要素が最終的な解決になっていないということです。ディズニーアニメ版からあった「魔法ではなく登場人物がもともと持っていた力と行動で望むものを手にいれる」という尊い要素が、実写映画という現実により近い手法で作られたこと、ジャスミンが担う“役割”のとある変更点もあって、さらに強固に感じられるようになっていたこと……その点においても、今回の実写映画化およびリメイクの意義が確かにあったと思えたのです。それは、昨今のディズニー映画『アナと雪の女王』や『シンデレラ』(2015年)に通ずる「ありのままの自分を見てもらう(ありのままに愛する人を見る)」というメッセージにもつながっていました。

さらに、ディズニーアニメ版とは違う“物語の始まり”を告げるオープニングも後で重要な意味を持つようになっていたり、ラストのラストのあのシーンでも涙が出そうになるなど……もう、ディズニーアニメ版からのアレンジは隅から隅まで賞賛することだらけ!子供の頃にディズニーアニメ版を観たことがあるというオトナにとっても、新鮮な感動があることでしょう。

最後に余談ですが、“王妃とその親友の侍女”という関係性は、ディズニーのアニメ映画『塔の上のラプンツェル』のスピンオフ作品『ラプンツェル あたらしい冒険』および『ラプンツェル ザ・シリーズ』でも描かれていたりもします。こちらに登場する“カサンドラ”というキャラは頼りになる上に、王妃のラプンツェルに気兼ねなく助言をくれる親友でもあるという、やはり今回の『アラジン』の侍女と似た関係のキャラクターになっていました。実写映画版『アラジン』で「王妃と侍女の関係…尊い…最高…」となった方は、動画配信サービス“ディズニーデラックス”で配信中のこちらもぜひチェックしてみてください!

(文:ヒナタカ)

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