若手アニメーターの仕事を先物買い!《あにめたまご2017》4作品が公開!

■「キネマニア共和国」

《あにめたまご》というプロジェクトをご存知でしょうか?
これは文化庁がアニメーション業界の将来を担う若手アニメーターなど人材の育成を目的とする事業で、毎年4本のユニークな短編アニメが製作されてきました…….

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街vol.227》

その《あにめたまご2017》4作品が、4月22日から1週間、東京テアトル新宿にてレイトショーされます!

文化庁若手アニメーター等育成事業《あにめたまご》プロジェクト

文化庁委託事業「若手アニメーター育成事業」は平成22年度(2011年)《プロジェクトA》という名称で始まり、翌平成23年度(2012年)から《アニメミライ》、そして平成27年度(2016年)から《あにめたまご》と名を改めて活動されてきています。

毎年アニメーション・スタジオから企画を公募し、選出された4つのスタジオに所属もしくは契約している各若手アニメーター(これまでのケースだと、おおよそ8人ほど。キャリア3年前後の人が多いです)に原画を任せるとともに、作画監督や原画の先輩たちが彼らを随時指導。また彼らには月に1度の講習や宿題が課され、また残業は禁止で、土日はちゃんと休むように勤労体制にも目を配らせながら、次代を担う人材を育成していくものです。

毎年多彩でユニークなラインナップ!

では、今年のラインナップをみてみましょう。

『ちゃらんぽ島(ランド)の冒険』
(制作会社:スタジオコメット)

© スタジオコメット/文化庁 あにめたまご2017

毎日生活必需品が入った卵を産む不思議な大木が生えている南の島を舞台に、その樹の卵の中身が次第に空っぽになってきたことから起きる騒動を描いたドタバタコメディ。二頭身キャラの可愛い動物たちをいかに縦横無尽に動かすか? それこそ頭よりも短い腕で頭をかかせるには、いったいどうのように作画していったらいいのか? などなど意外にも難しい画の描出に、若手アニメーターたちが腐心しながらも、結果として躍動感あふれるキャラの動きを具現化しています。

『Red Ash-GEARWORLD-』
(制作会社:STUDIO4℃)

© Beyond C./文化庁 あにめたまご2017

特殊能力を持つが故に差別され、普通の人間になるための出術費用を稼ぐため危険な仕事に従事している種族の若者たちの冒険を描いたもの。『スチームボーイ』をはじめとする数々の名作SFアニメで知られるSTUDIO4℃が、今回初の本格CGアニメ制作に挑戦。手書きアニメーション同様に、CGアニメーターの教育育成の樹立を目指したものです。同時にアニメの基本ともいえる子どもから大人まで楽しめる冒険活劇のテイストをいかに保持するかにも挑戦しています。

『げんばのじょう―玄蕃之丞―』
(制作会社:日本アニメーション)

© 日本アニメーション/文化庁 あにめたまご2017

信州・塩尻に伝わる化け狐・玄蕃之丞の伝説を題材に、「フランダースの犬」「赤毛のアン」など数々の《世界名作劇場》などで知られる日本アニメーションが、日本の明治か大正かといったノスタルジックな日本の情緒を描出。今回は企画段階から若手社員たちが稼働しながら、このプロジェクトに取り組んでいきました。キツネをはじめとする動物たちの動きは、アニメーションの中でも実はかなり難しいもので、若いスタッフはそこにも果敢にチャレンジしています。

『ずんだホライずん』
(制作会社:SSS合同会社/スタジオライブ/ワオ・コーポレーション)

© SSS・STL・WAO/文化庁 あにめたまご2017

共に大豆を原料とする、ずんだ餅と納豆。しかし、その大豆が不作となり、貯蔵量が底をつき始めたとき、「納豆ファクトリー」の面々は、ずんだ餅を愛してやまない東北ずんだ勢力に猛攻を仕掛けてきた! 東日本大震災からの東北復興支援を標榜する東北ご当地キャラ東北ずん子を主人公に、3社共同で制作されたトンデモずんだVS納豆ウォーズ! とにもかくにも美少女キャラたちが、徹底してハチャメチャに「そんなアホな?」の世界がダイナミックに活写されています。

文化の充実こそが今後の国際交流の鍵となる!

この文化庁育成事業のアニメ作品、ちょっとお堅いイメージを抱かれる人も多いかもしれませんが、実はそういったものを払拭するに足る多彩でユニークなものばかり(中には「これでいいのか文化庁?」と問い質したくなるほど⁉ にブットンだ作品も多々あり!)。

また今年で8回目を迎えるこのプロジェクトにこれまで参加し、今では作画監督や原画チーフなど台頭してきた人も多数出てきています(ホームページには、そんなOBのインタビューもアップされています)。

実は文化庁では、アニメだけでなく実写の若手監督たちにも門戸を開いた「ndjc若手映画作家育成プロジェクト」も行ってきており、ここから『湯を沸かすほどの熱い愛』の中野量太監督などが巣立っています。

こういった国が映像文化に対する支援に対し、税金の無駄遣い的に批判する人もいますが、私自身は絶対にそうとは思いません。

国を真に豊かにするのは文化であり、それを愛でる心であり、これをなくしたとき、国家間の衝突などが起きていることはこれまでの歴史が証明していることです。
戦後の日本とアジア諸国との交流においても、もっとも友好関係が築かれている時期は、決まって文化交流が盛んになされている時期と相応します。

こういった映像に従事する人材育成を、映画ファンも温かい目で応援していただきたいものと切に願います。

なお、今回の劇場上映(連日20時50分開始/入場料金1100円均一)では、連日作品スタッフが登壇して、ミニトークショーが開催される予定です。

また来場者全員には《あにめたまご2017》公式パンフレットもプレゼント。

これからのアニメーション界を担う若手たちの活躍ぶりを、先物買い気分で、ぜひご堪能ください!

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(文:増當竜也)

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    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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