『アントマン&ワスプ』は、キャスティング、見せ場、世界観まで何もかも楽しい!

 (C)Marvel Studios 2018

マーベル・スタジオが製作するスーパー・ヒーロー映画“マーベル・シネマティック・ユニバース”もかなりの数になってきましたが、みなさんそれぞれお気に入りのヒーローがいるかと思われます。

私が一番好きなのは、やはり何といってもアントマン!

無職で前科持ちで頼りなくて奥さんには逃げられ、でも娘はメチャクチャ可愛くて……という境遇からして既に同性としてナミダものではありますが、やはり何といっても小さくなったり大きくなったり変幻自在の活躍は、心ときめかせるものがあります(あのアントマン・スーツさえあれば、どんな映画館だって潜入してタダで映画を見れちゃう⁉)……

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街331》

そしていよいよ『アントマン』シリーズ最新作『アントマン&ワスプ』が日本にお目見え!

もちろんネタバレなんかはしませんけど、一つだけ確実に言えるのは、この作品、前作以上に面白い!

博士の愛妻を探しに
アントマン、量子世界へ!

『アントマン&ワスプ』は、正式には『アントマン』(15)の続編というよりも“マーベル・シネマティック・ユニバース”の時間軸でいうと『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(16)から直結するストーリーです。

『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』の中で描かれた、2年前のアベンジャーズの内乱。その中でアントマンことスコット・ラング(ポール・ラッド)はキャプテン・アメリカの側についたことから、彼はFBIの監視下に置かれているのでした。

そしてまもなく監視装置が外されようとしていた頃、スコットは不思議な夢を見ます。

そこで彼は、アントマン・スーツの開発者ハンク・ピム博士(マイケル・ダグラス)の妻ジャネット(ミシェル・ファイファー)の姿を見止めました。

まもなくして、スコットはピム博士の娘で彼同様アントマン・スーツ、いや羽で飛べるワスプ・スーツを着た“ワスプ”ことホープ(エヴァンジェリン・リリー)に家の外へ連れ出され、博士と再会。

どうも2年前のスコットの行動のせいで、博士親子も逃亡生活を強いられている様子。

それでも親子は研究を続け、ある極秘テクノロジーを開発。それによって、実験の失敗で30年間“量子の世界”をさまよい続けている愛妻ジャネットを連れ戻そうとしていたのです。

親子の計画に必然的に巻き込まれていくスコットですが、しかしそこに神出鬼没の謎の美女ゴースト(エイヴァ・スター)が現れて……。

 (C)Marvel Studios 2018

ヒューマン・ホームコメディ映画
としてのマーベル・ヒーロー

今回も伸縮自在のアントマンの活躍に加え、タイトルにあるようにワスプ=ホープの魅力をも強調しつつ、量子世界の冒険という、一瞬『ミクロの決死圏』(66)を彷彿させつつ(も、実際はそれよりもっとミクロな世界ですけど)SFならではのセンス・オブ・ワンダーをとくと満喫できる仕組みです。

今回の悪役(?)となるゴーストも、あらゆる物質をすり抜けられる力など、『4Dマン』(59)あたりのクラシックSFを思い出させたりして、それもまた楽しいところ。

またこのシリーズをより豊かに膨らませているのに、名優マイケル・ダグラスの存在を忘れることはできないでしょう。正直それまで『ウォール街』(87)など社会派や『氷の微笑』(92)などサスペンス作品の印象が強く、あまりSFっぽいオーラを感じることのなかった彼ですが(製作者としては、ジョン・カーペンター監督のSF『スターマン/愛・宇宙はるかに』(84)や、死後の世界に挑んだ『フラットライナーズ』(91&17)もプロデュースしています)、意外や意外、こういったファンタスティックなものもピタりはまる役者でした。

さらに今回はミシェル・ファイファー(彼女はファンタ系にも『レディホーク』(85)『イーストウィックの魔女たち』(87)など名作が多いですね。『バットマンリターンズ』(92)のキャットウーマンなんて、もう最高でした! ミャ~オ)まで登場するのですから、もう映画ファンとしては至福のひととき!

またこのシリーズ、他のマーベル・シネマティック・ユニバース作品とは一味も二味も異なり、アメリカのヒューマン・ホーム・コメディ的要素が多分に含まれています。

スコットと元妻と現在の夫の微妙な関係性、そして母方に引き取られつつもスコットのことが大好きな愛娘キャシー(アビー・ライダー・フォートン/マジにこの子は自分の娘にしたくなるほど可愛い!)の存在が、作品をさらに微笑ましいものに高めてくれています。

ルイス(マイケル・ペーニャ)などスコットのドジなワル仲間たちの楽しい描写も、もちろん今回も健在。

見どころとなる数々の特撮ショットも、もはや見てくれとしか言いようのない優れものばかりで、またそのダイナミズムも前作以上といっていいでしょう。

マーベル・シネマティック・ユニバースのヒーローたちはそれぞれ世界観や立ち位置が異なり、それゆえに全員が集合したときの面白さも奥深くなっていくわけですが、やはりアントマンはその明るさや楽しい味わいが他作品とは大きく異なるところです。

 (C)Marvel Studios 2018

しかも、マーベル社長のケヴィン・ファイギの弁によると今回の『アントマン&ワスプ』は、衝撃のラストを迎えた『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(ちなみに、この作品にアントマンは登場していません。なぜ?ってのも、本作を見ればわかる!)の続編『アベンジャーズ4(仮題)』に直接つながる物語でもあるとのことで、その意味でもこれは絶対に見逃し厳禁といえるでしょう。

時間のある方は、ぜひ『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』と『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』を復習した上で、本作に臨んでみてください。

(文:増當竜也)

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    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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