細田守監督が語る映画作りへの思い…『バケモノの子』

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10月27日(火)、第28回東京国際映画祭「Japan Now」部門で『バケモノの子』が上映され、上映後、メガホンをとった細田守監督への質疑応答(司会:安藤紘平さん)が行われました。

『バケモノの子』は家族の物語

今年の7月より公開された長編アニメーション映画『バケモノの子』。バケモノたちが住む“渋天街(じゅうてんがい)”と東京・渋谷を舞台に、少年・九太と彼と師弟関係を結ぶバケモノ・熊徹の冒険を描いた物語です。

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作品について、「家族の物語と考えていいのか、どういうきっかけで作ったのか」という安藤さんの問いかけに、細田監督は「きっかけは、子供が生まれたこと。実の親だけではなく、自分の心の師匠を見つけてたくましく育ってほしいなという気持ちをこめて作った映画ですね」と答えました。

さらに、細田監督は「家族の物語って、僕らの小さいときは当たり前すぎて、映画の題材にもならないものだと思っていたんですが、現代になって、家族というものをもう一回問いなおさないといけない時代になってきた。『昔はこうだった』的な考えと『でも、今、自分が感じている環境はこうだ』というニつの世界の軋轢(あつれき)は、今の子のほうが感じているのでは?と考えながら作っているところはある」と映画作りを振り返って話しました

『バケモノの子』の舞台・渋谷は別世界をはらんだ町

『バケモノの子』の舞台となっているのは渋谷。細田監督がこの街を選んだ理由は「渋谷が一番別の世界をはらんでいる感じがする」からだったとのこと。

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「PARCO文化やスペイン坂に代表されるような地中海のようなおしゃれな雰囲気がある。渋谷にいながら地中海を見ている、すでにここに2つの世界があるわけです。この違う世界をそこに見ようとする力が他の東京の街に比べてすごくあるんじゃないかと思った。だから、『バケモノの子』の渋天街が地中海っぽいのは、PARCOのせいなんですよ」と映画の世界観について語りました。

行き詰まったときは?「すぐ寝ます」

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後半は、観客からの質問に細田監督がこたえるQ&Aのコーナーとなりました。

質問:最近、どんどんファンタジーの要素が強くなってきているが、バランスはどう考えているのか?

細田監督「表現する奥行きを考えたとき、ドラマだとどうしても辻褄を合わせてドラマとして完結すればよしということになるが、映画というのはそれだけだと不足しちゃうんですよ。『何でこうなるんだろう?』というところの先に飛び越えていく突発力が欲しくなっちゃうんです」

質問:作品を作るにあたって、寝る時間も食べる時間も惜しんでいたとテレビで見たが、その間のモチベーションは何だったのか。

細田監督「テレビに映っていないところでは、おいしいご飯をコンビニで買って食べていましたが(笑)、映画を作っているときがすごく好きなんです。何かアイデアを思いつくと、もうそれを表現せずにはいられない。『これは面白い』『みんなにうける』と思うと、いてもたってもいられず、それを形にしてみないことには気がすまず、作るという根本的な喜びに突き動かされているのが大きいと思います」

質問:作っているとき、行き詰まったりアイデアが思い浮かばなかったりしたら、どうするのか。

細田監督「すぐ寝ます。寝つけないときは、昼間からお酒を飲みます。で、起きてリセットするんです。寝ている間に問題が解決してるときもあり、してないときもあるけれど、一番効率的ですね。起きて二時間で行き詰まるときもあるけれど、それでもすぐ寝る。それが大事なとこです」

(取材・文/田下愛)

『バケモノの子』公式サイト
http://www.bakemono-no-ko.jp/index.html


    ライタープロフィール

    田下愛

    田下愛

    フリーランス・ライター。雑誌、書籍、Webメディアで、幅広いジャンルの仕事をこなして活動中。ファンタジー映画が大好物で、『オズの魔法使い』『ナルニア国物語』『アリス・イン・ワンダーランド』など、魔法やおとぎの国を扱った作品にはすぐ飛びついてしまいますが、一方、『レインマン』のような人間をきっちり描いたドラマも好き。石ノ森章太郎先生をリスペクトする昭和特撮フリークでもあります。

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