24時間以内にSEXしないと死ぬ奇病の女を救え!注目の短篇映画「チェンジ」と、イタリア版鋼鉄ジーグの映画を観た!

話題の「イタリア版鋼鉄ジーグの映画」をついに観た!

今年、イタリアのアカデミー賞に当たる、ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で、最多の16部門にノミネートされ、その内の新人監督賞・最優秀主演男優&女優賞、最優秀助演男優&女優賞など、合計7部門を受賞した話題作。それがこの映画、「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」だ。

皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ

最近、日本の朝のワイドショーでも取り上げられていたこの作品が、GWに東京と大阪で開催される「イタリア映画際2016」で上映されると聞き、さっそく鑑賞してきました。

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はい、今「鋼鉄ジーグ」という言葉に思わず反応した人は、おそらく昭和40年代生まれの方だと思う。
そう、なんと本作は、日本のロボットアニメ「鋼鉄ジーグ」にインスパイアされて製作された、イタリア製のスーパーヒーロー映画なのだ!

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画像を見て頂ければお分かりのように、イタリア版オリジナルポスターにも、アニメ版鋼鉄ジーグのキャラを模したマスクと、日本語のタイトルが印刷されており、なんと映画が始まってスクリーンに映し出されるタイトルも、実は日本語だったりする。

ストーリー

無愛想で一匹狼のチンピラであるエンツォは、時計を盗んで警察から逃走中、偶然起きたアクシデントで超人的な力を得る。その力を犯罪に悪用するエンツォだが、日本のアニメ「鋼鉄ジーグ」の熱狂的ファンである女性アレッシアとの出会いが、彼の心を変えていく。次第に自身の生き方に疑問を持つようになるエンツォ。そして、彼の行く手には巨大な悪との対決が待っていたのだった。

海外で国民的人気を誇る日本アニメたち

えっ、「鋼鉄ジーグ」の熱狂的なファン、しかも若い女性って?日本では信じられない様なこの設定に、驚いた方も多いと思う。

実は、イタリア国内での鋼鉄ジーグの知名度はかなりのもので、想像以上に有名な歌手やジャンルを超えた多くのバンドがオープニング曲をカバーしている。実際、YOUTUBEを検索すると、その手の動画が山ほど出て来てビックリするくらいだ。中でも車メーカーであるルノーのCMのBGMに、「鋼鉄ジーグ」のオープニング曲が使われており(しかも水木一郎のオリジナル版!)、現在でも、その人気の高さが伺えるほどだ。

実は、日本のロボットアニメが海外で国民的な人気を得ている事実は、イタリアに限ったことではない。例えばフランスでは「UFOロボ・グレンダイザー」が「ゴールドラック」のタイトルでTV放映され、なんと視聴率100%を記録。最近日本のTVでも紹介されたように、フィリピンでは「ボルテスV」が国民的な知名度を誇っており、主題歌を日本語のままで歌える現地の人も未だに多数いるとか。他にもアニメではないが、なぜかハワイで大人気なのが「人造人間キカイダー」。ハワイ州知事により、毎年4月12日が「キカイダーの日」と定められているほどだ。

本作こそ、シビル・ウォーを越える男泣きのヒーロー映画だ!

そんな中で製作された本作だけに、個人的に非常に不安だったのは、単なる客寄せのために「鋼鉄ジーグ」の名前を使用しただけでは?あるいは、単にマニア層への目配せで終わるような、一般受けしない内容になっているのでは?という点だった。

しかし、そんな心配は無用だった。断言しよう、これこそ真のスーパーヒーロー映画だ!冗談抜きで、ある意味「シビル・ウォー」の100倍素晴らしいこの作品。(注、あくまでも個人の見解です)

正直ここまで真面目にスーパーヒーローの誕生と、彼が自身の使命感と為すべき正義に目覚める瞬間を見事に描いた映画は、サム・ライミの「スパイダーマン」かザック・スナイダーの「マン・オブ・スティール」以来だと言えるだろう。

映画の前半こそ、「鋼鉄ジーグ」のオリジナル映像が使われたりして、さえないコソ泥である主人公の怠惰な生活と、私利私欲のために特別な能力を使う様子が描かれる。

だが、終盤の「ある展開」をきっかけにして、本作は一気に「本気のスーパーヒーロー映画」へと見事に変貌して行く。

自堕落な生活を続ける主人公が偶然得た巨大な力。自分の利益のためにその力を使うことに何の疑問も持たなかった彼が、その力の真の目的、己が為すべき使命に気づいた時、彼が失ったものはあまりに大きかった。この場面、主人公の表情までもが一変し、前半の彼の容貌との落差と併せて、文字通り「ヒーロー誕生」の瞬間がスクリーンに炸裂する!この場面こそ、本作の中でも屈指の見所と言えるだろう。

演技賞独占も納得の、見事な俳優陣の演技力

今年のダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞において、主要な演技賞を独占したことからも判るように、出演している役者陣の演技の素晴らしさこそ、まさに本作の最大の魅力だと言える。特に本作で悪役を演じたルカ・マリネッリの存在感とキレた演技の素晴らしさ!まるで「ジェイク・ギレンホール」を思わせる外見と、まさに「ジョーカー」を思わせる見事な悪役っぷりは、観た人の記憶に強烈に焼きついて決して離れないだろう。

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エンドクレジットには、バラード調にアレンジされた、「鋼鉄ジーグ」主題歌のイタリア語版カバー曲が流れるのだが、実はこの曲、主演のクラウディオ・サンタマリア自身が歌っているので、日本で劇場公開された際にはその辺もぜひ要チェックして頂きたい。

最後に

「偉大なる力には、大きな責任が伴う」とはスパイダーマンの原作に登場する名セリフだが、終盤で真のヒーローとして行動を始める主人公の姿。そこには派手なコスチュームも、派手なCG合成による破壊も爆発も無い。しかし、そんなものはどうでもいいのだ。「自身の利益が得られない時に、それでもあえて行動する男」、我々観客全員の「頑張れ!」という心の応援を受けて行動する彼の姿こそ、真のヒーローとしてふさわしいのだから。

現時点では、一応日本国内の配給会社からのオファーは数件来ているようだが、残念ながら正式な日本公開予定は、まだまだ未定だとのこと。
今はとにかく、一日も早い劇場公開が実現することを祈るだけだ。

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(文:滝口アキラ


    ライタープロフィール

    滝口アキラ

    滝口アキラ

    滝口アキラ 映画ライターにしてブルース・リー研究家。主な著書に、「ブルースリー超全集」「俺たちのジャッキーチェン」「俺たちの007」などがある。映画のコミカライズや、日本オリジナル映画主題歌などの、「失われた映画カルチャー」にも造詣が深く、TBSラジオ「ウイークエンドシャッフル」へのゲスト出演、今関あきよし監督作品への声優出演、更には「実際に映画に出演する映画ライター」として、現在「毎月1本必ず映画に出る」をノルマに活動中。その抜群の企画力と、交友関係の広さには定評がある。

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