『エジソンズ・ゲーム』レビュー:発明王VS実業家の熱い電流覇権バトル!

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何を隠そう、私、トーマス・アルバ・エジソンと同じ誕生日(2月11日)であります。

小学校の時に図書館でエジソンの伝記を読んでそのことを知ったときは意味もなく得意気で、また彼が映画の発明者のひとりでもあった事実は、自分が後にこのような映画文筆の仕事などやらせていただいている礎にもなっているのかなと、ひそかに思ったりもしております。
(エジソンが開発した映画は覗き箱のようなもので、スクリーンに映し出された映像を大勢で鑑賞するシステムを開発したのはフランスのリュミエール兄弟です。そして今、映画は映画館で見るリュミエールのシステムと、スマホなどで映画を見るエジソンの発展形的システムが混在した時代に突入しています)

しかしこのエジソン、確かに偉大な発明王ではあるのですが、同時に自身の発明の権利を護るための訴訟王でもあり、またそこに関してはかなり悪どいことも平気でやってきた傲慢な輩というダークサイドも備えていたことを知るにつけ、なかなかに愕然とさせてくれていたのですが……

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街478》

映画『エジソンズ・ゲーム』は、そんなエジソンと実業家ウェステイングハウスとの電流開発をめぐる熾烈な覇権争いを描いたバトル・ムービーの意欲作なのでした!

電気の未来を制覇するのは
直流か? 交流か?

『エジソンズ・ゲーム』は1880年代のアメリカ、まだ世界の闇は炎によってのみ照らされていた時代に始まります。

1880年、発明家のトーマス・アルバ・エジソン(ベネディクト・カンバーバッチ)は実業家ジョージ・ウェスティングハウス(マイケル・シャノン)から手を組むことを提案されますが、発明の権利には執着しながらも金儲けそのものには興味のないエジソンは、彼の誘う晩餐会の出席をすっぽかしてしまいました。

1882年、エジソンは「夜を葬る」ことができる電球を開発しますが、それは大量の発電機を必要とする“直流”方式でした。

一方、ウェスティングハウスは発電機1基で遠くまで電気を供給できる安価な“交流”方式に目をつけ、1886年に実演会を開催しますが、そこに自分の電球が使われていたことを知ったエジソンは激怒し、新聞記者の前で激しくウェスティングハウスをののしり、さらには「交流は感電しやすく、死を招く」と非難してしまいます。

これにてエジソンの直流とウェスティングハウスの交流をめぐる電流戦争が勃発!

エジソンとそのスポンサー、J・P・モルガン(マシュー・マクガファン)から告訴されたウェスティングハウスは、電球の特許部分を作り変えることでそれを逃げ切り、アメリカ各地に交流方式の勢力地図を拡大していきます。

窮地に追い込まれ、さらには1884年に最愛の妻メアリー(タペンス・ミドルトン)まで亡くしてしまう悲劇に見舞われたエジソンに、秘書のインサル(トム・ホランド)は来る1893年の「シカゴ万国博覧会 光の街」への入札を提案。

それは全米国民の3分の1が集まる史上最大の電気ショーであり、もちろんウェスティングハウスも出店を狙っていて、かつてエジソンに交流のほうが効率的であることを説いて疎まれていたニコラ・テスラ(ニコラス・ホルト)を味方につけます。

訴訟に誹謗中傷、駆け引きに脅迫など、表と裏で繰り広げられていく電流戦争の攻防、果たして勝利をつかむのはエジソンか? ウェスティングハウスか?


    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画レビュー・コーナー『戯画日誌』を連載中。近著に『映画よ憤怒の河を渉れ 映画監督佐藤純彌』(DU BOOKS刊)がある。

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