一途におバカで、真面目にかっこよく! 実写映画『銀魂』ついにお目見え!

■「キネマニア共和国」

銀魂 実写 WEB版ポスター

(C)空知英秋/集英社 (C)2017「銀魂」製作委員会

漫画やアニメの実写映画化が当たり前の時代になりましたが、それゆえにファンのチェックも厳しくなり、中には怒りでネットが炎上してしまう、そんな作品も少なくありません。

そんな中、炎上覚悟で実写映画化に臨んだ究極の作品が遂に完成しました。

そう、みなさんよくご存じのアレです……。

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街vol.243》

何と『銀魂』実写版、堂々完成してしまいました!

宇宙一バカな侍を主人公にした
宇宙一バカな侍映画の誕生!?

空知英秋が週刊少年ジャンプに看板コミックとして連載し続ける超人気漫画『銀魂』は、黒船ならぬ宇宙人によって鎖国を解かれたパラレルワールドの日本を舞台に繰り広げられる、通常はドタバタ・ナンセンス、時々シリアスなSF時代劇。

主人公は歌舞伎町で“万事屋の銀ちゃん”こと実は剣の達人で天然パーマの坂田銀時(小栗旬)。その万事屋ではたらく新八(菅田将暉)や宇宙人“夜兎族”の美少女・神楽(橋本環奈)を中心に、幕末をパロッた様々な変態、いや人物が織りなす群像劇でもあります。

アニメ化もされており、TVのほうは長寿シリーズとなり(とりあえず先ごろ完結しましたが)、再放送で修正を余儀なくされる回があるほど過激な毒まみれで、しょっちゅう危ない時事ネタなどを採り入れながら展開。映画もこれまでに2本作られていますが、冒頭いきなり配給会社のロゴマークで遊んでしまうなど、定石をことごとくぶち壊す痛快さで原作ファンにも大好評でした。

でも、そんな作品を実写化して、大丈夫なのか?

そんな不安をものともせず、果敢に挑戦したのが、かつてジャンプ連載されていた『変態仮面』を見事に映画化した福田雄一監督であり、その企画を発案した小栗旬なのでした。

(C)空知英秋/集英社 (C)2017「銀魂」製作委員会

既に予告編やスチル写真をご覧になった方々ならお分かりかと思いますが、今回は原作のイメージに近いキャスティングと、それに応じたメイクなどが施されており、まずは外堀から埋めていく作業が綿密になされており、それが見事に成功しています。

特に小栗旬はこれまでも『ルパン三世』など漫画原作の実写化に意欲的に取り組んで来ているだけに、今回も完全に役を掴み切って撮影に挑んでいるのがよくわかりますし、他の者たちも同様。

(C)空知英秋/集英社 (C)2017「銀魂」製作委員会

個人的に大爆笑してしまったのは、特殊警察真選組局長・近藤勲を演じた中村勘九郎で、歌舞伎の御曹司があの変態さんを喜々として演じているのには見ていてうれしくなってしまいました。「ヅラじゃない、桂だ」の名セリフでおなじみ桂小太郎(岡田将生)も漫画から飛び出してきたかのようです(でもこの場合、別の意味でヅラをかぶっているのではないかと……)。

実は映画を見る前、一番危惧していたのは桂の相棒エリザベスで、あのオバ◯みたいな宇宙生物をいかにして実写化するのかと思いきや、何と着ぐるみ!(また、そのことに関するツッコミ描写も大爆笑!)

日頃ゆるいギャグを駆使してのヒーローものに長けた福田監督ならではのセンスといえるでしょう。

また試写室では、武市変平太に扮する佐藤二朗が登場して一言何かを発するだけでどっと笑いが取れていました。

ひたすらくだらなく!
ひたすらかっこよく!

今回の作品は、アニメ映画化もされた“紅桜編”を基に構成されていますが、ギャグとシリアスとアクションが巧みに混在した屈指の名編なだけに、そのメリハリやバランスをどう処理したかも興味津々でしたが、やはりファンが一番そうあってほしいと願うのは、ひたすらくだらないところはくだらなくあれ、そしてかっこいいところはかっこよくあれということだと思います。

その点、本作は見事にその難題をクリアしていました。

とにかくくだらないところをとことん今どきの人気俳優たちが楽しく演じ切ってくれています。

かと思うと、クライマックスを含む殺陣の数々は、これまで見たことのない動きの連続で、アクション映画通を唸らせるほどのダイナミックさ! 当然ながら演じるキャストらの魅力も否が応にも輝くばかりなのでした。

唯一、アニメ版の声に慣れ親しんできた側としては、実写キャストの中で数名、どうしても最初は声に違和感を持ってしまったりもしましたが、まあ20~30分もすると慣れてきて、実写版『銀魂』ならではの声とみなして堪能することもできました。

よくぞここまで頑張った! と大いに讃えたい作品です。それこそ私などが子供の頃も漫画原作の実写映画化はありましたが、『男一匹ガキ大将』『あしたのジョー』『ゴルゴ13』『ドーベルマン刑事』『野球狂の詩』『ドカベン』『サーキットの狼』『こち亀』などなど、原作のイメージも何も関係なしの、「SNSのない時代でよかったね」としかいいようのないものが大半で(もっとも、それなりに嫌いではなかったりもしていますが)、それに比べると本当にいい時代になったものだと思います。

今、巷で話題のACジャパンのCM「苦情殺到!桃太郎編」(美輪明宏のナレーションが秀逸!)ではありませんが、みなさん、ここはひとつ温かい心で実写版『銀魂』を迎え入れてください……と結ぼうと思っておりましたが、この出来栄えなら何も心配なさそうです⁉

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(文:増當竜也)

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    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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