『ガールズ&パンツァー最終章・第1話』最速レビューやっぱりガルパンはいいぞ。いや、すごいぞ!

(C)GIRLS und PANZER Finale Projekt

戦車部に所属する高校生女子たちが、他校のさまざまな強豪チームと試合しながら日本一を目指す、熱くさわやかな青春スポーツ・バトル・アニメーションの画期的傑作『ガールズ&パンツァー』、通称ガルパン。

その奇想天外な設定の数々や、こだわりにこだわりぬかれた戦車のディテール(使用されるのは、第2次世界大戦時までの世界各国の戦車たち!)、そして数多く散りばめられた映画的オマージュの数々など、その面白さは映画ファンおよび戦車ファンを自認する方々であれば、もう先刻ご承知かと思われます。

TVシリーズ、OVA、そして堂々1年もの長きにわたってロングランヒットとなり、社会現象まで巻き起こした劇場版に続き、いよいよ『最終章』全6部作が始動! まずは12月9日より第1部が全国一斉公開されます……

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街vol.275》

もう待ちきれないので、9日0時すぎに開催された最速上映を見てまいりました!

下手な長編より濃密で充実した
時間を体感できる第1話!

『ガールズ&パンツァー 最終章』は、『劇場版』のその後のエピソードを、およそ45分前後の中編6部作で描くものと今は捉えられており、今回の『第1話』はその伝に沿ったものにはなっています。

ただし内容はかなり極秘裏に扱われていて、同時期に公開される『スター・ウォーズ』シリーズさながら、見た人たちの間でも、今はまだSNSなどでのネタバレは厳禁といったムードが濃厚。

で、私自身、今見終えたばかりの感想を申すと……

「ガルパンはいいぞ」

かつて劇場版が公開された折、観客の間で大流行したこの一言。

もう凡百の美辞麗句を並べ立てるよりも、このシンプルな一言が作品の素晴らしさをすべて言い表しているという奇跡的ともいえる言葉が、今再び口から洩れてしまいますが、今回はそれ以上に付け加えることができます。

「ガルパンはやっぱりすごいぞ!」

そう、今回のガルパンもただただひたすらに、すごい! 面白い! エキサイト! 素晴らしい!

正直、見る前は6部作の第1部で、しかも尺が50分もないと聞いていたので、『スター・ウォーズ』でいえばエピソード7『フォースの覚醒』の前半部分しか見られないような中途半端さを感じるのではないかと危惧していたのですが、これがもうまったくの無問題!少なくとも1時間半くらいはあるのではないかと思わせるほど、ぎゅっと凝縮した濃い内容で今回は迫っていきます。

(C)GIRLS und PANZER Finale Projekt

ネタバレは避けたいけど
でも、でも……!?

以下、なるべくネタバレしないように書き連ねていきますが、それでも心配な方は、ここから先は読むのを遠慮していただいても構いません。
(正直、本来は予備知識なしに素で接するのが一番の得策かもしれませんが、一応こちらも仕事なので⁉)

ファースト・カットからして、これまでシリーズを見てきたファンの方なら「こ、これは一体、何が起きているのだ!?」と仰天すること必至です。

そして佐咲紗花がエネルギッシュに歌う主題歌《Grand Symphony》とともに映し出されるメインタイトルのかっこよさ!

本編が始まり、味方にも敵にも、これまた期待を裏切らないユニークな新キャラが続々と登場します。

特に今回は味方側の描写に、水島努監督の暗黒面が見え隠れしているかのようです。

水島監督は多彩なジャンルを涼し気にこなし続けてきた才人ですが、その中でダークサイドを描かせたら実はかなりヤバい作品も多く、今回はそこまで突っ込むのではなく、むしろライトなブラックユーモア的に処理してはいますが、ここに水島監督の一面が如実に出ているなと感じました。

キャラが増えれば、当然戦車も新しいものが登場しますが、これはもう見てのお楽しみ!
(またすごいの出してきた!)

今回の敵となるチームも、これまでイギリスをはじめアメリカ、イタリア、ロシア、ドイツ、フィンランド、日本と、世界各国をあしらっての強豪校が登場してきたわけですが、そろそろあの国かな? という予測を立ててみるのも一興でしょう。

キャラや国が決まれば、当然音楽もまた、その国などをモチーフにした新曲の数々が披露されます。

名作映画のオマージュもチラホラ見られますが、今回はややコミカルなパロディとして扱われている感もありますね。

舞台となる時期くらいは書いておいてもいいでしょうか? 劇場版から数か月後、大洗女子学園の面々が着用している厚手の生地のPコートがとてもオシャレに映える冬の季節、それに伴い……おっと、これ以上はもうやばい!

あと、ガルパンといえば東京・立川シネマシティから大きく火が点いた爆音上映が有名ですが、今回もできる限り音響設備の充実したところで鑑賞されることを強くお勧めします。
(私は今回立川のチケットが最速&初日&二日目と、一気に完売してゲットすることはできませんでしたが、それなりの音響のシネコンでの鑑賞でしたので、大いに充実できました)

あとはまた何回見続けることになるのか?

個人的には、また4D上映もぜひ実施していただきたいところ。実際これまでガルパンほど4D上映にふさわしい作品はありませんでしたので、今回も大いに期待したいところなのです。

あっという間のような、しかし実に濃密な時間を体感させてもらえた今回の第1章、上映終了後は満場の客席から自然に拍手が沸き上がっていました。

俗に“ガルパンおじさん”と呼ばれて久しいファンの方々(もちろん中には若い人も、女性も意外に多く見受けられましたが)、上映中のマナーもよく、シリーズのツボを心得ているだけあって、実に画と巧みにシンクロしながら笑ったり驚いたりしているのが印象的でした。

あえて今回作品の欠点を挙げるとしたら、今回で終わらないということ。即ちまだまだ続くということで、では次はいつ見られるのか? といったジレンマはありますが、一方ではこれからもしばらく新たなガルパンと付き合っていける喜びがある! そう思うと“ガルパンおじさん”のひとりとしてはまだまだお楽しみはこれからなのでした!
(とりあえず毎週1回は見続けたいなあ……)

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(文:増當竜也)


    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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