『ハロー!?ゴースト』ラスト10分の感動に涙が止まらない!「3つ」の魅力!

第4回:『ハロー!?ゴースト

新型コロナウイルス感染症の影響により、全国規模で映画館が休館中のため、ご自宅やスマホで配信作品を楽しんでいる方も多いと思います。

現在のように、劇場で新作映画鑑賞ができない状況では、自宅で手軽に楽しめる配信作品は、まさに救いの神とも言える便利なもの。

しかし、各配信サービスによって微妙に鑑賞できる作品が異なる上に、作品のリストも膨大で検索が難しいため、どの映画を観たらいいのか? 毎日の作品選びに頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。

そんな方たちのために、Amazonプライム・ビデオで鑑賞可能な韓国映画の中から、特にオススメの作品を紹介する、この連載。

今回取り上げるのは、2012年日本公開の韓国映画『ハロー!?ゴースト』です。

ラブコメ映画の枠を超えた、笑って泣ける大感動作として映画ファンの間でも非常に評価の高い本作ですが、果たしてその魅力と見どころとは、いったいどのようなものなのでしょうか?

ストーリー

不幸続きの人生に悲観して自殺を試みるが、何故かそのたびに助かってしまう、ドジな青年・サンマン(チャ・テヒョン)。
ある日4人のゴーストたちに取り憑かれてしまったせいで、死ねなくなってしまったサンマンは、自殺を成功させるために、ゴーストたちの願いを叶えることで彼らを成仏させてしまおうと考える。
ゴーストたちの自分勝手な要求に悪戦苦闘する中、やがてゴーストたちとの間に家族にも似た奇妙な感情が芽生え始めた頃、孤独だったサンマンの身に人生最大のサプライズが訪れるのだが…。

見どころ1:個性的な4人のゴーストたちに注目!

孤独な生活や仕事をクビになるなど、不幸続きの自分の人生に絶望して、安ホテルの一室で睡眠薬自殺を試みた青年・サンマン。

しかし、一時的な臨死体験を経て助かった彼は幽霊の姿が見えるようになり、同時に奇妙な4人のゴーストたちに取り憑かれてしまうことに…。

他人には見えないゴーストたちと会話するおかげで、病院でもすっかり変人扱いされてしまうサンマンですが、ゴーストたちの願いを叶えることで彼らを成仏させられると、相談に行った霊媒師から助言されることになります。

ヘビースモーカーのゴーストや、何故かいつも泣いている女性のゴースト、更にエロじじいゴーストや食いしん坊の少年ゴーストなど、どう見ても悪霊には見えない個性的な4人のゴーストたち。

性別や年齢も違う彼らが、なぜサンマンに取り憑いたのか? 映画の冒頭から続くこの疑問のおかげで、観客の興味が最後まで持続する点も実に上手いのです。

霊媒師の助言に従って、サンマンはゴーストたちを自分の体に乗り移らせ、車で海までドライブしたい、借りていたカメラを持ち主に返したい、アニメ映画を観たいといった、彼らの勝手な願いを代行して叶えることになるのですが、そのおかげでホスピス病棟に勤務する女性看護師のヨンスとの運命的な出会いを果たすことになります。

彼女に恋心を抱いたサンマンを見て、ゴーストたちは彼の体を借りて二人の恋の手助けをしようとするのですが、ゴーストに体を乗っ取られているサンマンは、彼女の前で不審者としか思えない言動を連発することに!

果たしてサンマンは無事にゴーストたちを成仏させて、ヨンスと結ばれることができるのか?

厄介者に思えたゴーストたちへの印象が180度変わるラストの展開とあわせて、ぜひお楽しみいただければと思います。

見どころ2:チャ・テヒョンの名演技が笑わせる!

主人公サンマンの目の前に、突然現れた4人のゴーストたち。彼らが生前にやり残した願いを叶えるため、サンマンは自分の体にゴーストたちを取り憑かせるのですが、泣き虫の女性から食いしん坊の少年まで、複雑に入れ替わる性格を瞬時に演じ分ける、主演のチャ・テヒョンの演技力は必見!

例えば、エロじじいゴーストに取り憑かれたサンマンの表情の変化や、少年ゴーストに取り憑かれた時の子供っぽさなど、大いに笑わせながらも主人公の好人物ぶりを、ちゃんと観客に伝えてくれるのです。

加えて、序盤のコメディ色の強い内容から、徐々に泣かせる感動的な展開へと移っても、観客が違和感なく作品世界に没頭できるのは、やはりチャ・テヒョンの存在があればこそ!

そのおかげでダメ男のサンマンにヨンスが次第に惹かれていく展開にも、観客が十分納得できるというわけです。

他人には不審者としか思えない、こうしたサンマンの奇妙な行動が、逆にヨンスとの距離を縮めてくれるのですが、実は彼女もホスピス病棟に入院する父親との関係に悩んでいることが、次第に観客にも分かってきます。

孤児院育ちで孤独な人生を送ってきたサンマンと、父親が家族にした過去の行いを許せずにいるヨンス。

同じように過去に囚われて生きている2人が、4人のゴーストたちのおかげで家族と向き合い、新たな人生に向かって一歩踏み出すという内容は、多くの人々が共感せずにはいられないもの。

実際、人生に絶望して自殺を繰り返していたサンマンが、ゴーストたちの願いを叶えるために次第に他人と深く関わるようになり、ついに自分の意思で生きようと決意する展開は、観る者に勇気と感動を与えてくれるものとなっているのです。

人生に見放されたダメ男として登場するサンマンが、果たして映画のラストではどう変わるか?

個性的な4人のゴーストに負けない彼の名演技を、ぜひご堪能頂ければと思います。

※注:以下は若干のネタバレを含みます。鑑賞後にお読み頂くか、本編を未見の方はご注意の上でお読み下さい。

見どころ3:ハートフルなラブコメと見せて、実は!

ここまで述べてきたように、4人のゴーストとヨンスを巡るラブコメや、主人公サンマンの人間的成長が描かれる本作。

ただ、序盤の30分は完全にコメディとして進行するため、観客の好みによっては評価が分かれるかもしれません。

しかしその後は、ホスピス病棟で最後の時を待つ患者たちの姿や、4人のゴーストたちとサンマンの擬似家族的な交流が描かれるなど、次第に深い人間ドラマの側面が明らかになっていくことになります。

この世に未練を残したゴーストたちの願いを叶えようと奮闘する中で、孤独だったサンマンの人生も大きく変化していくのですが、その先にはゴーストたちとの別れの時が待っています。

無事にヨンスと結ばれたサンマンと、願いを叶えてもらって成仏するゴーストたち。

ヨンスと2人で海苔巻きを口いっぱいに頬張るサンマンの姿に、観客も十分満足して物語はハッピーエンドを迎える。

もちろんここで終わっても、ラブコメ映画として大満足な内容なのですが、この作品が多くの映画ファンから絶賛されている理由は、実はこの後に続くラスト10分の感動的な展開にあるのです。

後に、ディズニー/ピクサーの『リメンバー・ミー』の元ネタでは? と、話題になったその展開は、ぜひご自分の目で確認して頂きたいのですが、ゴーストたちの何気ないセリフや彼らの願いの内容など、細かい部分で張り巡らされた伏線が一気に回収される脚本は見事!

加えて、「ゴーストは聞かれたことにしか答えられない」という設定のおかげで、ラストまでネタバレせずに物語が進むので、最後に観客が味わう多幸感と感動もより倍増することになるのです。

決して過度に説明することなく、あくまでも自然に伏線やヒントが散りばめられているため、鑑賞後にすぐもう一度見返したくなることは確実な、この『ハロー!?ゴースト』。

海苔巻きを口いっぱいに頬張って泣きながら走る主人公の姿が、これほど涙と感動を観客に与える映画は無い! そう断言できる個人的にもベスト1級の作品なので、全力でオススメします!

最後に

DVDのジャケットからは、ほのぼのとしたラブコメ映画といった印象を受ける、この『ハロー!?ゴースト』。

ゴーストたちの願いを叶えて成仏させようとする、主人公サンマンの奮闘ぶりが観客の笑いを誘うなど、映画の序盤は完全にコメディとして進行するので、この時点で「予想していたのと違う」「好みに合わない」と思う方も多いかもしれません。

しかし、ご安心を!

多くの方がネットのレビューや感想に書かれているように、その後に続く深い家族愛や人間ドラマの素晴らしさは、観客に涙と感動、そして鑑賞後の深い余韻を与えてくれるからです。

これからご覧になる方のために詳しく書くことは避けますが、何気ないセリフや小道具に隠された伏線やヒント、更にラスト10分間でそれまでの伏線が一気に回収され、サンマンが実は大きな愛の中に包まれていたことが判明する展開は必見!

加えて、生きている間は伝えられなかった父親の深い愛情を、サンマンの能力のおかげでヨンスが知る描写や、一見繋がりの無いように見えたゴーストたちの願いに込められた意味など、何度観ても号泣必死の名シーンの連続となっているのです。

物語の展開上、できれば事前の情報を遮断して観て頂きたい作品なのですが、全てが分かった上でもう一度見返すと、「あのシーンにはこんな意味があったのか!」と、より深く楽しむことができるのも事実。

ひとつだけ触れておきたいのが、映画の中でサンマンと少年ゴーストが観に行くアニメ映画『テコンV』についてです。

これは韓国の『マジンガーZ』とも呼べる韓国初のロボットアニメで、サンマンが買うのも『テコンV』に登場するロボットのフィギュアだったりします。

1976年の劇場公開以来、未だに多くの人々に愛されているこの『テコンV』を、サンマンと少年ゴーストを繋ぐ象徴として選んだ点は、実に賢明な選択と言えるでしょう。

前回紹介した『犬どろぼう完全計画』と同様、犯罪や復讐、殺人だけではない韓国映画の奥深さを知るためにも、ぜひ多くの方に観て頂きたい、この『ハロー!?ゴースト』。

多くの観客が感動したラスト10分の神展開も、自宅での鑑賞なら人目を気にせず思いっきり泣けるので、ぜひこの機会にご鑑賞頂ければと思います。

(文:滝口アキラ)

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    ライタープロフィール

    滝口アキラ

    滝口アキラ

    滝口アキラ 映画ライターにしてブルース・リー研究家。主な著書に、「ブルースリー超全集」「俺たちのジャッキーチェン」「俺たちの007」などがある。映画のコミカライズや、日本オリジナル映画主題歌などの、「失われた映画カルチャー」にも造詣が深く、TBSラジオ「ウイークエンドシャッフル」へのゲスト出演、今関あきよし監督作品への声優出演、更には「実際に映画に出演する映画ライター」として、現在「毎月1本必ず映画に出る」をノルマに活動中。その抜群の企画力と、交友関係の広さには定評がある。

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