『インディ・ジョーンズ』シリーズはなぜ面白いのか?製作経緯と裏話からその理由を探る

フジテレビの「土曜プレミアム」枠にて、本日10月28日(土)より4週連続で『インディ・ジョーンズ』シリーズが放送されます。アクションアドベンチャー映画の代表格と呼ばれた本シリーズは、なぜこんなにも面白いのか? 製作経緯や裏話を交えて、4作それぞれの魅力をお伝えします!

※以下、核心的なネタバレはしていませんが、少しだけ内容に触れているところもあるのでご注意ください。

1:『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』 1作目なのに“途中から始まる”物語?

インディ・ジョーンズ/レイダース 失われたアーク《聖櫃》 (字幕版)

1977年に『スター・ウォーズ』が大ヒットしたことも手伝って、当時は人々からは単純な娯楽映画を求められている傾向があったようです。そこで作られたのが、1910年から20年代に流行していた連続活劇(毎週1本ずつ公開されていた、10?20分ほどの短編映画)を復活させたような、ヒーローが大活躍するアクション映画『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』でした。

本作が興味深いのは、シリーズ1作目にも関わらず、キャラクターの“今まで”を思い起こさせるセリフが多いこと。序盤からインディは行方不明になった仲間のことを語っていますし、ヒロインのマリオンは「私は恋に落ちた子どもだったのよ」と、かつてインディと恋人同士であったことを恥じたりもしています。「あれ?これが最初の話なの?」と思った方も多いのではないでしょうか。

これは、製作総指揮をジョージ・ルーカスが務めたためでもあるのでしょう。ルーカスはご存知『スター・ウォーズ』シリーズの監督・脚本(時には製作総指揮)を務めており、そちらでもシリーズ1作目が“エピソード4”という“途中から始まる”物語になっていました。『インディ・ジョーンズ』シリーズも、続く2作目『魔宮の伝説』がこの『失われたアーク』より1年の前の時系列に設定されていたり、3作目『最後の聖戦』では主人公の少年時代を描いたりと、シリーズそれぞれでキャラクターの過去や歴史が続々と分かるようになっていき、さらに物語に奥行きを感じられるようになっているのです。

なお、スピルバーグは『失われたアーク』の脚本を読んだ初めて読んだ時、映像化が難しそうな込み入ったシーンが続々と出てきたため、泣きそうになったと語っています。しかし、スピルバーグはテイクをできるだけ少なくして撮影日数を縮め、わずか73日で撮影を終了。ルーカスもエキストラを必要十分な人数だけを集めたり、戦闘機のエンジンの数を減らすなどして節約に節約を重ね、結果的に製作費を1800万ドルという中規模程度に抑えることに成功しました。

映画本編を観ると、ダイナミックな活劇の連続で、まったく安っぽさを感じさせません。CG技術がまだ未発達の時代だからでこその、作り込まれたセットも圧巻です。当時のアカデミー賞で視覚効果、編集、美術、音響賞を受賞したのも大納得できるものでした。

ちなみに、アラブの男が剣を振るって戦いを挑むも、インディが銃であっさり撃ってしまうという、笑ってしまうシーンがありますが、これはハリソン・フォードとスタッフたちが食中毒になってしまったので、フォードが「すぐに敵を撃ち殺してしまえば撮影が早く終わるよ!」という提案を採用して撮影されたのだとか。アクシデントを逆手にとって、面白いシーンが生まれていたのですね。

2:『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』 残酷描写が親たちの逆鱗に触れてしまった?

インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説 (字幕版)

スティーブン・スピルバーグ監督作品にはファミリー向けの映画がたくさんありますが……“子どものころのトラウマ”として語られることも少なくありません。海のサメどころか水まで怖くなる『ジョーズ』、人間がパクっと喰われる『ジュラシック・パーク』、スプラッターホラーのようなオープニングの『プライベート・ライアン』などなど……強烈な残酷描写もけっこうあるのです。

そんなスピルバーグ印の悪趣味なグロテスクさが最も表れたのが、この『魔宮の伝説』なのではないでしょうか。(地上波放送ではカットされてしまうかもしれませんが)「猿の脳みそのシャーベット」や「生贄の心臓を抜き取る儀式」のインパクトは半端なものではありません。ヒロインが虫に囲まれるシーンでは、なんと本物が2000匹も用意されたのだとか……。実際にこれらの残酷描写は子どもたちの親から大いに怒られ、PG-13(13歳以下は親の同意が必要)という新たなレーティングが作られるきっかけにもなりました。

こうした残酷描写もさることながら、本編でのアクションに次ぐアクション、息をつく暇もないほどのハラハラドキドキの連続こそが、『魔宮の伝説』の大きな魅力。特に、終盤のトロッコを使ったギミック満載のアクション、橋の上でのインディのクレイジーすぎる行動は今観ても「超面白い!」と大興奮です。本作の製作に着手する前から、スピルバーグは「映画製作者としての最大の不安は、人を飽きさせてしまうことだ」と語っていたそうで、本作はその監督自身の不安を打ち砕くために作られたところもあるようです。

また、今回の主人公の相棒は、大人よりも利発なところがある少年です。子どもから絶大な支持を得たのは、この少年に自分を投影し、「インディと一緒に冒険できる!」という楽しさでいっぱいになれたことも理由の1つでしょう。

3:『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』 ジェームズ・ボンドがインディの父親に!

インディ・ジョーンズ最後の聖戦 (字幕版)

実は、『インディ・ジョーンズ』シリーズは、スピルバーグが「ジェームズ・ボンド映画を作るのが夢なんだ」とこぼし、ルーカスも「僕も現代版の『007』を作りたいと思っていたんだよ!」と意気投合したことが誕生のきっかけになっています。『最後の聖戦』に初代ジェームズ・ボンドであるショーン・コネリーが起用され、インディの父を演じたのは、そのことが理由だったのです。映画の歴史上、インディ・ジョーンズはジェームズ・ボンドの息子である、と言ってもいいのかもしれませんね。

本作は、わずか23歳で生涯を閉じたリヴァー・フェニックスが、インディの少年時代を演じています。序盤のワクワクする列車のアクションでは、スピルバーグが初めて劇場で観たという映画『地上最大のショウ』のサーカス列車や、アルフレッド・ヒッチコック監督の『バルカン超特急』の“マジックで消える”シーンをオマージュしており、スピルバーグの映画愛をひしひしと感じさせます。この“過去”のシーンで、(おそらく)インディが初めてムチを使ったり、ヘビを怖がる理由がわかったりするのも面白いですよね。

本作の物語で強調されているのは、父と息子の確執です。実は、スピルバーグは両親が離婚し、父親と仲違いしたことを自身のトラウマとして語っていて、その経験は『E.T.』や『未知との遭遇』などで“家族を置き去りにする父親”という形で作品に反映されていたりします。本作で“冒険を通じて父と仲直りをしていく”というのは、ある意味ではスピルバーグの理想とも言えるのかもしれません。

4:『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』 終盤のトンデモ展開はスピルバーグらしい?

インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国 (字幕版)

『インディ・ジョーンズ』シリーズはもともと3部作で完結する予定でしたが、19年の時を経て続編が作られました。『失われたアーク』のヒロインであるマリオンが再登場するほか、図書館では『最後の聖戦』への皮肉たっぷりのセリフが登場するなど、今までのシリーズのファンサービスが多い作品になっています。

総製作費は1億8500万ドルと、『失われたアーク』のなんと10倍以上。興行的にも成功を収めましたが……その一方、序盤の核実験のシーンの必然性のなさや、終盤のトンデモな“超展開”、キャラクターの魅力に乏しいことなどから、作品の評価は4作中もっとも悪くなってしまいました。最低な映画を決めるラジー賞では最低リメイク及び続編賞を受賞し、出演したシャイア・ラブーフも「人々に愛されている名作を失敗させてしまった」と落胆したコメントをするほどだったのです。

しかし、筆者個人はこの『クリスタル・スカルの王国』が大好きです。歳をとったインディが寂しさを感じさせるセリフを口にしたり、しっかり残酷な描写も存在したり、ラストシーンが“粋”なものであったりと、『インディ・ジョーンズ』という冒険活劇を再び蘇らせたい、かつてのファンに喜んでもらいたい、という想いをひしひしと感じたからです。

また、終盤のトンデモ展開も、スピルバーグが今まで手がけていた作品群を振り返れば、十分に納得できるものでした。その監督作には、「今ここにある世界がすべてではなく、現実を超えた力に出会って、成長をする、または生まれ変わる」という一貫した作家性があり、それは『インディ・ジョーンズ』シリーズすべてでも共通しています。その“スピルバーグらしさ”が良い意味で極に達したのが、このトンデモ展開なのではないでしょうか。

おまけその1:『スター・ウォーズ』のネタもあった!

ジョージ・ルーカスが製作総指揮を務めているおかげもあり、実は作中で『スター・ウォーズ』シリーズの小ネタが込められています。

■『失われたアーク』
序盤の複葉機の胴体に書かれている“OB-CPO”は、オビ=ワン・ケノービとC-3POにかけたもの。また、R2-D2とC-3POが壁面に描かれているシーンもある。

■『魔宮の伝説』
冒頭での上海のクラブの名前が“クラブ・オビワン”になっている。

■『クリスタル・スカルの王国』
終盤にインディが「イヤな予感がする(I have got a bad feeling about this.)」と言う。

「イヤな予感がする」は、『スター・ウォーズ』と『インディ・ジョーンズ』シリーズの両方で、ハリソン・フォードが主演を務めていたからこそ、ニヤリとできるセリフですね。

さらに余談ですが、『インディ・ジョーンズ』シリーズすべてで、初めのパラマウントのロゴが、映画のファーストシーンとオーバーラップする(つながる)という演出がなされています。それぞれを見比べてみるのも、面白いですよ。

おまけその2:『インディ・ジョーンズ』と合わせて観て欲しい映画はこれだ!

最後に、『インディ・ジョーンズ』シリーズと合わせて観ると、もっと楽しめる3つの映画をご紹介します。

1:『ハムナプトラ 失われた砂漠の都』

ハムナプトラ失われた砂漠の都 (字幕版)

ギミックたっぷりのアクションや、気持ちの悪い虫の大群など、『インディ・ジョーンズ』シリーズの影響を存分に感じられるアクションアドベンチャーです。とにかく娯楽性がたっぷりなので、誰もが大いに楽しめることでしょう。

本作は『ミイラ再誕』というホラー映画のリメイク作であり、今年はトム・クルーズ主演で『ザ・マミー 呪われた砂漠の王女』という再リブート作も作られました。

2:『アポカリプト』

アポカリプト(字幕版)

マヤ文明後期のジャングルを舞台に、生贄にされそうになった男の逃亡劇をただただ追った作品です。手に汗握るサスペンスを徹頭徹尾楽しめる、娯楽性と重厚さを併せ持った傑作に仕上がっていました。

残酷描写はR15+指定になるほどに強烈なのですが、これがあるからこそ“追いつかれたら終わり”という緊張感があります。『インディ・ジョーンズ』もそうですが、やはり“死ぬかもしれない恐怖”のためには、こうしたグロテスクな描写も必要なのではないでしょうか。

3:『瀬戸内海賊物語』

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小豆島を舞台に、少年少女が協力して宝を見つけにいくという“ジュブナイルもの”です。冒険を主軸に、戦いあり、少年少女らしい悩みあり、よからぬことを企む敵との攻防ありと、子どもはもちろん、大人も存分に楽しめる作品に仕上がっていました。

“冒険に旅立つまで”をじっくり描いていたり“大人の世知辛い問題”が顔を出していたりと、丁寧な物語づくりにも唸らされました。「日本版インディ・ジョーンズ」のような映画を探しているのであれば、この『瀬戸内海賊物語』を大プッシュでおすすめします。

なお、『インディ・ジョーンズ』の第5作は、2019年7月19日に公開予定とのこと!現在公開中の『ブレードランナー 2049』にも出演しているハリソン・フォードが、年齢を重ね、さらなる“いぶし銀”な魅力を発揮することも期待しています!

【参考図書】
シネマの天才 スティーブン・スピルバーグ (シネマ・スター・ライブラリー・シリーズ)
ジョージ・ルーカス―ハリウッドを超えた映像帝国若き成功者

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(文:ヒナタカ)

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